そもそも“風”という言葉は、「空気が動くこと」を意味します。それでは、なぜ空気は移動するのでしょうか?
この記事では、風が吹く理由について、できるだけわかりやすく説明してゆきます。
空気にも重さがある?「気圧」とは?
風が吹くメカニズムを理解するには、まず「気圧」の存在を知らなくてはなりません。
空気は、ちっ素や酸素など、さまざまな気体の分子が集まってできています。この分子がたくさん集まっているほど、空気も“重く”なります。
わたしたちの目に見えない空気にも、実は重さがあるのです。
たとえば、低いところでは、山の上に比べて空気の重さがのしかかっています。押された側にも空気や地面があるので、同じ力で押し返そうとします。
空気は上からも下からも押されて行き場をなくし、横に移動しようとします。でも、横にも空気があるので、押し合うことになります。
このように、となり合う空気と押し合うちからを、「気圧」(きあつ)といいます。
風が吹く理由とは?どうして空気は移動するの?
空気はとなり合う空気と、常に押し合いをしています。
となり合う空気との間に「気圧」の差があるとき、つまり押し合うちからに差があるとき、気圧の高いほうから低いほうへ押し出されるかたちで、空気は移動することになります。
これが、「風が吹く」メカニズムです。気圧の差がなくなると、風は止みます。気圧の差があるほど、強い風が発生することになります。
実は太陽が関係?なぜ、気圧の差は生まれるの?
それでは、なぜ気圧の差は生まれるのでしょうか?
実は、元をたどると、太陽が関係しています。
太陽から地球へ届いた光は、地表や海面まで到達します。地面や海面があたためられると、そこに接している空気もあたためられることになります。
(⇦ 緯度や地形の違いによって、太陽の光が届く量に差ができます。あたためられ方が違うので、温度差が生まれます)
温度差が密度の差を生み、気圧の差を生む!
空気はあたためられるとボワ~ッとふくらみ、体積が増えます。するとスカスカになって密度が低くなるので、周りの空気より軽くなって上昇気流を生みます。
(=あたたかい空気ほど軽い⇧)
逆に、空気が冷えると縮んでギュ~ッとなり、密度が高くなります。すると重くなって下降気流が生じます。
(=冷たい空気ほど重い⇩)
あたたかい空気と冷たい空気がとなり合っているとき、冷たい空気はあたたかい空気の下に潜りこもうとします。
☆風がふく向き☆
下降気流(⇩) ⇨ 上昇気流(⇧)
温度の低いところ ⇨ 温度の高いところ
密度の高いほう(高気圧) ⇨ 密度の低いほう(低気圧)
上昇気流で密度の低くなった空気を補うように、冷たくなった空気が入りこんできます。これが空気の流れを生むことになり、風が発生するのです。
陸地と海は、昼と夜で風の向きが変化する!
なお、陸地と海の温度差によっても、風は生じます。
- 陸地(熱しやすく冷めやすい)
- 海(あたたまりにくく冷めにくい)
昼は、陸地のほうがすぐあたたまり、上昇気流が発生します。海の温度はそこまで上がらないため、空気は冷たいまま。
陸地 ⇦ 海
という風の向きとなります。
夜は、陸地のほうがが先に冷え、重くなって下降気流が発生します。海の温度はそこまで冷え切っていないため、陸側から冷たい空気が入りこんできます。
陸地 ⇨ 海
という風の向きとなります。
この陸地と海の性質の違いによって温度差が変わるため、昼と夜で風の向きも変わることになります。