「笑い」というのは、人によって感覚が違います。そのため、ひと口にコメディ映画といっても、合う合わないがあります。下ネタが好きな人がいれば、ドタバタ劇が好きな人もいるでしょう。
ここでは、“オフビートな笑い”が魅力のコメディ映画をご紹介します。
- オフビートな笑いとは? 芸人に例えると?
- オフビートなオタク・・・『ナポレオン・ダイナマイト』
- オフビートな幽霊・・・『ゴーストバスターズ』
- オフビートな潜水艦・・・『ライフ・アクアティック』
- オフビートなヒロイン・・・『インスタント沼』
- オフビートなバンド・・・『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』
- オフビートなカップル・・・『横道世之介』
- オフビートなタイムスリップ・・・『ビルとテッドの大冒険』
- オフビートなプレイボーイ・・・・『ブロークン・フラワーズ』
オフビートな笑いとは? 芸人に例えると?
『オフビート』とは、もともと音楽用語で、通常とははずれた場所にアクセントがあるリズムを指します。
映画では、一般的な起承転結からはずれた“ゆるい”作品、ちょっとズレた“不器用な人たち”を描いた作品に用いられます。
(⇦ 必ずしも、コメディだけを指す言葉ではありません)
オフビートな笑いを芸人さんに例えるなら、「スリムクラブ」。彼らの脱力した感じが好みなら、ここで紹介する作品も合うと思います。
オフビートなオタク・・・『ナポレオン・ダイナマイト』
全米公開:2004年(日本では未公開)
監督:ジャレッド・ヘス
出演:ジョン・ヘダー
毎日バスで高校に通うナポレオンは、、見た目も趣味もダッサダサのオタク。叔父さんは怪しげなビジネスに夢中だし、兄ちゃんはチャット越しの恋愛にハマってます。当然のごとく、周りからは馬鹿にされています。
さて。ダンスパーティの季節がやってきます。非モテ男のナポレオンは、ダンスの相手をゲットできるでしょうか?
全米で話題となった脱力系コメディ。オタクでも馬鹿にされても、気にしない姿が素晴らしい。むしろ、自信もってる。DVD発売時は、『バス男』という“ダッサダサ”な邦題をつけられてしまいました。
オフビートな幽霊・・・『ゴーストバスターズ』
公開:1984年
監督:アイヴァン・ライトマン
出演:ビル・マーレイ、ダン・エイクロイド
超常現象の研究をしていたピーター、レイモンド、イーガンは、勤めていた大学をクビになります。3人は、幽霊退治をする会社【ゴースト・バスターズ】を立ち上げます。
3人が人気者となった頃。ニューヨークでは、2つの神が人間の体に取りついて、恐ろしい悪魔が生まれようとしていました・・・
ゴーストバスターズの3人も、宿敵の怪物も、ゆる~い。2021年には、続編の公開も控えている人気シリーズの第1弾。
オフビートな潜水艦・・・『ライフ・アクアティック』
製作:20004年
監督:ウェス・アンダーソン
出演:ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン
海洋ドキュメンタリー監督のスティーヴは、ここ最近ヒット作に恵まれていません。大切な仕事仲間も、サメに食われてしまいます。
リベンジを誓うスティーヴは、自称息子や女性記者と新たな航海へ出ますが・・・
左右対称のスタイリッシュな画面。危機感ゼロの主人公。ストップ・モーションで描かれた海洋生物も楽しい。
『ライフ・アクアティック』にハマったら・・・
- 『天才マックスの世界』(1988)
- 『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001)
ウェス・アンダーソン監督は、最近では『犬ヶ島』も話題となりました。不器用な人たちを、あたたかな眼差しで描く監督さんです。
オフビートなヒロイン・・・『インスタント沼』
公開:2009年
監督:三木聡
出演:麻生久美子、風間杜夫
人生が泥沼になっていたOLのハナメ。会社を辞めて、行方不明の父を探すことに。行きついたのは、ヘンテコな骨董屋。店主たちに影響されたハナメは、みずからも骨董屋をはじめますが・・・
「困ったときは、水道の蛇口をひねればいい」
アドバイスも変なら、出てくる人も変。麻生久美子のコミカルな演技が楽しいヘンテコ・コメデイ。
『インスタント沼』にハマったら・・・
- ドラマ『時効警察』
- 『イン・ザ・プール』
- 『亀は意外と早く泳ぐ』
脱力系の笑いが得意な三木聡 監督。麻生久美子、オダギリ・ジョー、松尾スズキ、上野樹里など、この手の作品にぴったりの俳優を起用しています。
オフビートなバンド・・・『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』
製作:1989年
監督:アキ・カウリスマキ
出演:マッティ・ペロンパー、ジム・ジャームッシュ
シベリアからアメリカ大陸を渡り、メキシコを目指すバンド【レニングラード・カウボーイズ】。音楽性に悩む彼らは、行く先々で出会う音楽に影響され、どんどんバンドの方向性が変わってゆきます・・・
独特のユーモアで人生の素晴らしさを描く、フィンランドのアキ・カウリスマキ監督。そんな彼のロード・ムービーです。セリフはほとんどなし。無表情で無言。笑わない男たちが、笑わせてくれる。
オフビートなカップル・・・『横道世之介』
公開:2013年
監督:沖田修一
出演:高良健吾、吉高由里子
長崎で生まれ、大学進学を機に上京した横道世之介。お人好しな世之介は、のんきな同級生や年上女性、世間知らずのお嬢さまなど、さまざまな人たちと出会ってゆきます。
周囲の人々にとっても、世之介と過ごした日々はかけがえのないものになっていました・・・
ゆる~い会話と絶妙の間が、じわじわきます。高良健吾と吉高由里子の不器用なカップルに心をくすぐられ、ラストに心が洗われる一本。
オフビートなタイムスリップ・・・『ビルとテッドの大冒険』
製作:1989年
監督:スティーヴン・へレク
出演:キアヌ・リーヴス、アレックス・ウィンター
ロックスターになることを夢見るビルとテッドの2人は、高校生。
ある日。歴史のテストで落第した2人は、謎の男と出会います。男は、電話ボックス型のタイムマシンで、2人を過去へ連れてゆきます。
歴史の勉強をさせるのが目的ですが、2人は想像を越えるおバカさんだったのです・・・
『マトリックス』のキアヌ・リーヴス初期作。アメリカでは大ヒットし、『ビルとテッドの地獄旅行』という続編も作られています。
オフビートなプレイボーイ・・・・『ブロークン・フラワーズ』
製作:2005年
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:ビルマーレイ、ティルダ・スウィントン
かつてはプレイボーイで、数々の女生と浮名をながしたドン。そんな彼の元に、差出人不明のピンクの手紙が。
「あなたと別れて20年。息子は、もう19になります」
自分に子供がいたなんて・・・でも、誰からの手紙? ドンは、手紙の差出人を確かめるべく、昔の恋人たちの元を訪れますが・・・
まず、どう見ても個性派俳優のビル・マーレイが、プレイボーイという設定に笑ってしまいます。ひとりひとり、昔の恋人を訪ねては冷たくあしらわれる主人公に、ユーモアと悲哀を感じます。
『ブロークン・フラワーズ』にハマったら・・・
- 『ダウン・バイ・ロー』(1986)
- 『デッド・ドント・ダイ』(2019)
ジム・ジャームッシュ作品は、派手なアクションや感情をぶつけ合うシーンがほとんどありません。そのため、“オフビートな”作風として知られています。