※この記事は、2022年9月14日に更新しました。
最近のSNSには、人の失敗や変わった言動を攻撃する言葉であふれています。一般の基準から外れることがそんなに罪でしょうか? よってたかって他人を攻撃することに、何の意味があるのでしょうか?
映画は、草創期から「違いを認め合おう」「差異を受け入れよう」というメッセージを送り続けてきました。今こそ見るべきイギリス映画があります。それが、『キンキーブーツ』です。
- 実話? 映画『キンキーブーツ』とは?
- イギリス映画『キンキーブーツ』の簡単なあらすじ
- 感想&テーマ「誰かをありのままに受け入れるということ」
- 映画『キンキーブーツ』は、AmazonやNetflixで配信されている?
実話? 映画『キンキーブーツ』とは?
『キンキーブーツ』の概要
『キンキーブーツ』は、2005年に作られたイギリス・アメリカ合作の映画。実話をベースにしたハートフル・コメディ、または人間ドラマです。
キンキーブーツ | |
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原題 | Kinky Boots |
製作国 | イギリス、アメリカ |
公開年 | 2005年 |
監督 | ジュリアン・ジャロルド |
脚本 | ティム・ファース |
製作 | ニック・バートン、スザンヌ・マッキー |
出演 | ジョエル・エドガートン、キウェテル・イジョフォー |
倒産寸前の靴工場の若社長がドラァグクイーンと知り合い、セクシーなブーツを作って起死回生を狙います。
2012年には映画を基にしたミュージカルも作られ、ブロードウェイで上演されました。2016年には、小池徹平さん&三浦春馬さんのW主演で、日本でもミュージカルとして上演されています。
『キンキーブーツ』の意味は?「ドラァグクイーン」とは?
原題は、「 Kinky Boots 」。【kinky】はそのまま訳すと、「性的に倒錯した」「(性格・行動などが)変わった」という意味になります。
劇中に登場するローラは男性ですが、「ドラァグクイーン」という設定です。「ドラァグクイーン」とは、派手なメイクと女装でステージでパフォーマンスをする人のこと。映画の字幕では、「服装倒錯者」と訳されていました。
ゲイの男性がステレオタイプの女性の格好でパフォーマンスをすることが多いものの、パフォーマーが男性である必要はありません。
▲クリックすると動画が読み込まれます。
イギリス映画『キンキーブーツ』の簡単なあらすじ
チャーリー(ジョエル・エドガートン)は、田舎町にある靴工場【プライス社】の跡取り息子。チャーリーはロンドンに“マーケティングの勉強をしにゆく”という口実で、町を離れようします。
ところが、社長だった父の訃報が届き、チャーリーは【プライス社】を継ぐことになります。彼は会社の経営状態を知って、がく然とします。財政は火の車。人の良すぎる父は従業員の解雇もできず、地下室は在庫の山だったのです!
ロンドンでやけ酒を飲んでいたチャーリーは、不良に絡まれている女性を助けようとします。しかし、彼女は不良たちを叩きのめし、巻き添えをくらったチャーリーも意識を失ってしまいます。
彼女の名は、ローラ(キウェテル・イジョフォー)。男性が女装してパフォーマンスを行なう、“ドラァグクイーン”でした。ローラはセクシーなブーツを履いていましたが、足に合う靴がないという悩みを抱えていました。
「このまま普通に靴を作り続けても経営は厳しい。だから、ニッチな市場を開拓すべき」
社員の一人にこう言われたチャーリーは、あるアイディアを思いつきます。それは、ドラァグクイーン専用のセクシーなブーツ(=キンキーブーツ)を作ることだったのです・・・
感想&テーマ「誰かをありのままに受け入れるということ」
労働者映画の新たな名作誕生!
『キンキーブーツ』はアメリカ資本が入っていますが、典型的なイギリス映画です。地方の労働者に焦点をあて、厳しい現実をコメディタッチで描く手法は、イギリス映画の得意とするところだからです。
- 炭鉱の町の少年がバレエ団に入る『リトル・ダンサー』(2000年)
- 失業したダメ親父たちがストリッパーになる『フル・モンティ』(1997年)
- 炭鉱労働者たちのブラスバンド部を描いた『ブラス!』(1996年)
など、イギリスでは“労働映画”の名作がたくさん生まれています。
『キンキーブーツ』では、4代目社長となったチャーリーは、15人もの従業員をクビにします。また、“ドラァグクイーン”向けのブーツに作ることになってから、会社を去る者も現れます。
経営者側の視点で、イギリスの片田舎の厳しい現実が描かれます。
他人を受け入れること&自己を肯定すること
『キンキーブーツ』に登場する“ドラァグクイーン”のローラは、普段は黒人の大男。ローラは女の子の真似事をしては、父に叱られました。チャーリーの靴工場にデザイナーとして招かれてからも、ローラは従業員のドンから偏見をもたれます。
この作品の素晴らしいところ。
それは、ローラの姿勢です。ローラは、自分を認めようとしないドンに、「私、どうしたら男らしくなれるかな?」と教えを乞います。自分に偏見を持っている人間に、わざわざ自分から歩み寄ってゆくのです。
偏見をもっている人に、「違いを認め合おう」と訴えかける映画はたくさんあります。しかし、差別されている側みずから、相手を受け入れようとアクションを起こす作品はそうはありません。
ローラの懐の深さ、人間としての寛大さには胸を打たれます。
この作品は、あくまで性的に変わった趣向をもった人を扱っています。
しかし、作品が投げかけるメッセージ「誰かをありのままに受け入れるということ」は、私たちみんなに当てはまります。人を攻撃することでなく、受け入れることにエネルギーを使ったほうがずっと生産性があります。
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映画『キンキーブーツ』は、AmazonやNetflixで配信されている?
映画『キンキーブーツ』を動画サービスで視聴できるのか? 大手5つの動画サービスの配信状況です。
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字幕 | 〇 | 299円 | ✕ | 〇 |
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