2023年10月。
X(旧ツイッター)界隈では、個人ブロガーのこんな嘆きの声が・・・
ブログのアクセスが激減した! さすがにモチベーションが下がるよ
ルールを守って「広告表記」に対応したのに、PR表記してない企業サイトが順位を上げるなんて!不公平だわ!
規則を守らない人たちが検索順位を上げていることに、不満をぶつけたくなる気持ちはわかります。
ただ、アフィリエイト広告を貼っているのにPR表記に応じないかたには
・広告主から提携を解除される
・過去にさかのぼって報酬がキャンセルされる
などのペナルティが課されます。
いずれ不公平感は是正されてゆくので、いまは辛抱です。
それよりも、本当に「PR表記」だけがアクセス減の原因なのか、冷静に分析する必要があります。
【2023年9月~11月】ブログのアクセスに影響を与える6つの事象とは?
通常なら、アクセス減の原因はGoogleのコア・アップデートだが・・
通常であれば、ブログのアクセス増減に大きな影響を与えるのは、Googleのコア・アップデートです。
イメージとしては、
- 記事のクオリティをどのくらい評価する?
- 表示速度をどのくらい重視する?
- ドメイン・パワーをどのくらい重要視する?
- 被リンク(=別のサイトからリンクをもらう)をどこまで評価する?
といった評価点の配点バランスを変え、順位を調整します。
コア・アップデートは年に3~4回行われ、この度にサイト運営者の「順位が上がった」「下がった」という声が聞かれます
アップデートは、検索ユーザーに役立つコンテンツを正当に評価するために行われます。ただし、検索エンジンをだますような行為にペナルティを与えるために、アルゴリズムに変更が加えられることもあります。
【アクセス減の原因はPR表記?】立て続けに行われた施策!
2023年9月から11月にかけては、異例中の異例! ブログのアクセスに影響を与える施策が立て続けに実施されました。
日付 | 名称 | 内容 |
---|---|---|
2023年8月30日~ | SGEの試験導入 | 検索結果に,AIが生成する回答が表示される |
8月23日~9月8日 | コア・アルゴリズム・アップデート | 分析が難しいが、個人ブログはよい影響を受けている |
9月15日~9月28日 | ヘルプフル・コンテンツ・アップデート | 検索エンジン向けではなく,検索ユーザーの役に立つコンテンツを評価する |
2023年10月1日 | ステマ規制対策のPR表記 | アフィリエイト広告を貼っている運営者に、「広告表記」が義務付けられた |
2023年10月4日 | スパムアップデート | ハッキング、自動生成スパムなどにペナルティを課す |
10月6日~10月19日 | コア・アルゴリズム・アップデート | YMYL(金融、法律)、旅行、グルメなどで大きな変動があったか? |
11月2日~11月27日 | コア・アルゴリズム・アップデート | YMYL(金融、法律)、健康などで大きな変動があったか? |
日付けを見ていただくとわかりますが・・・
大手ASPのA8.netで規約が改正され、ステマ規制対策として「PR表記」が呼びかけられたのが2023年8月31日。
9月初旬、通知が来てすぐに対応したブログ運営者は、ごく少数でした。
「8月のコア・アップデート」がロールアウト(=導入完了)したのは、9月8日。
9月末になって、慌てて「PR表記」に対応した運営者も多いはず。
「8月のコア・アップデート」から2~3週間も経ってから「PR表記」したなら、“アクセス激減”と“PR表記”との因果関係は考えにくいことになります
そもそも、このタイミングでのステマ規制は日本だけ。Googleが大規模なコア・アップデートに日本独自の指標を組み込むとは、考えづらいです。
【アクセス激減?】原因はSGE?ヘルプフル・コンテンツ・アップデート?
2023年9月から11月に実施された施策のうち、アクセス激減の大きな要因となりそうなのが
- SGEの試験導入(8/30~)
- ヘルプフル・コンテンツ・アップデート(9/15~9/28)の影響
- 10/6開始のコア・アップデート
- 11/2開始のコア・アップデート
の3つです。
Knowクエリ(知識系の記事)だけアクセス減なら、SGEの可能性が高い
2023年8月30日より、Googleの「SGE」(Search Generative Experience)の試験運用が始まりました。「SGE」は、検索ページの上部にAIが生成した回答が表示されるサービスです。
「SGE」は、Googleアカウントがあれば誰でもすぐに利用できます。
(⇧ 筆者が運営する別サイトに移動します)
これまでGoogle検索を使いこなせなかった子供たちやお年寄りには、朗報です。AIが検索をサポートしてくれるからです。
しかし、ブログ運営者にとっては、「SGE」の出現は脅威です。
特に、いわゆる「Knowクエリ」、ユーザーの“知りたい”という思いに応える記事は、「SGE」の影響を受けやすくなります。
当ブログにも、こういった知識系・雑学系の記事がいくつかあるのですが・・・
「SGE」の試験運用が始まってから、知識・雑学系記事のアクセスは激減しました。検索順位はほとんど変わらないのに、ページまで訪れてもらえなくなったのです。
AI検索を利用する人は次々に増えてゆきますので、「Knowクエリ」系記事がアクセスを取り戻すのは難しい状況です。
- プログラミングのコードを教えてくれるサイト
- 入試問題の解法を教えてくれるサイト
- 辞書サイト
このようなサイトは、「ChatGPT」や「SGE」で代用できてしまうので、今後の運営は厳しそうです。
図や表、グラフなどテキスト以外の要素を含めてコンテンツとなるような記事を書くなど、「SGE」対策も考えねばなりません
9月下旬にアクセスが激減したら、「ヘルプフル・コンテンツ・アップデート」の可能性が高い
「ヘルプフル・コンテンツ・アップデート」とは、読者満足度の高いコンテンツを評価し、読者の期待に応えられないコンテンツと区別する施策です。
ざっくりいうと・・・
検索順位ばかり気にしてテクニック的なSEOに走り、読者のほうをしっかり向いていない記事は低評価を受ける、というアップデートです。
- キーワードを盛りこみ過ぎる。
- 網羅性を意識しすぎるあまり、読者がいちばん知りたいことへの回答が浅い。
このように、検索意図に応えられないコンテンツを多く含むサイトは、検索順位が下がりやすくなります。
Google検索セントラルでも、検索エンジンだけを意識した記事作成に警鐘を鳴らしています。
・価値を付加することなく、主に他の人の意見を要約していますか。
・既存のユーザー層のためではなく、ただ話題になっているという理由で記事を書いていますか。
・検索トラフィックを獲得できると考えて、実際の経験がないにもかかわらず、ニッチなトピックを扱うことにしましたか。
・コンテンツを実質的に変更していないにもかかわらず、ページを新鮮に見せるためにページの日付を変更していますか。
・なんらかの方法でサイトを「新鮮」に見せれば全体的な検索ランキングが向上すると信じて、大量の新しいコンテンツを追加したり大量の古いコンテンツを削除したりしていますか(そのようなことをしてもランキングは向上しません)
(出典:「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」-Google検索セントラル)
ここで書かれている注意書きには、従来のSEO対策では有効とされてきた施策も含まれています。
- ブログ内に大量の記事があり、クオリティにバラつきがある人
- 毎日更新をしており、ひと記事ひと記事の内容が薄い人
- 体験や専門性に基づかず、ネットの情報をまとめただけの記事を書いている人
- かつてはSEOを勉強したけど、古い知識のままの人
思い当たるかたは、いま一度「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツ」の定義を確認しておく必要があります
筆者も、この機会に勉強し直します。
10月&11月にアクセスが激減したら、「コア・アルゴリズム・アップデート」の可能性が高い
10月6日(金)。
Google は、「October 2023 core update」(=2023年10月実施のコア・アップデート)のリリースを発表しました。
Today we released the October 2023 core update. We'll update our ranking release history page when the rollout is complete: https://t.co/pooeFs6tEC
— Google Search Central (@googlesearchc) October 5, 2023
10月19日(木)に、ロールアウト完了が発表されています。
The rollout was complete as of October 19, 2023.
— Google Search Central (@googlesearchc) October 19, 2023
今回のコア・アップデートでは、YMYL(金融、法律)、旅行、グルメなどのジャンルで大きな順位変動があったようです。かつ個人ブログが大きくランキングを下げ、公式サイトや企業サイトが上がっている、という報告が見られます。
また、11月にコア・アップデートでは、YMYL(金融、法律)に加え、医学・健康ジャンルの変動が見られています。
コア・アップデートの仕組みと順位が下がったときの改善方法については、検索セントラルに書かれています。
ただ、どんなに「読者ファーストな記事」を書き、リライトも頑張っていたとしても、下がるときは下がります。
個人ブログを運営している限り、アップデートでサイトが飛ばされる可能性は常にあります。私は半減どころか、アクセスが1/6になった経験もあります。
個人ブログはドメインパワーが弱く、アップデートの変動を受けやすいからです。
これに対して、ドメインが強く、被リンクが多い
- 公式サイト
- 企業ドメイン(co.jpドメイン)
- 大手サイトのサブディレクトリを借りているサイト
は、アップデートの影響を受けにくい傾向があります。
あくまで一般論として、アプデを被弾したときの対応策を挙げると・・・
- 質の高い記事を書き続ける
- ロングテール・キーワード(※)に狙いを切り替える
- 被リンクを獲得して、ドメイン評価を上げる
- SNSやYouTube、noteと連携し、複数の流入経路をつくる
- 複数のブログを運営し、いざという時には鞍替えする
- ブログ全体のアフィリエイトリンクの数を減らす
(※ 検索ボリュームが少なく、3つ以上の組み合わせからなるキーワード)
上記に加えて、ここ2~3年の傾向として、E-A-T(専門性・権威性・信頼性)が重視されています。個人ブログが“信頼性”を証明するのは難しいので、いかに専門的な視点・独自の切り口を盛りこめるかが焦点となります
まとめ
アクセスが激減したときは、いま一度SEOの基本「読者ファースト」に立ち返って、ブログ全体を見直すことが必要です。
新しい評価基準が加わることもあるので、私たち自身も知識をアップデートしてゆかないと、ブログが読まれ続けることは難しいでしょう。
個人ブログである限り、アップデートはいつかは被弾するもの。
モチベーションを切らさずに、ブログ、頑張りましょう!