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『恋愛小説家』キャスト&解説【大人にもおすすめ!ハッピーな気持ちになれる恋愛映画】

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『恋愛小説家』キャスト&解説【大人にもおすすめ!ハッピーな気持ちになれる恋愛映画】

「いい人間になりたくなった」

 

口を開けば暴言ばかりの中年男性が、シングル・マザーに恋をした! 不器用な恋のてん末に、温かな気持ちになれる映画『恋愛小説家』がBSでテレビ放送されます。

 

この記事では、『恋愛小説家』のあらすじとキャストについてお伝えします。また、本作は亜流作品が生まれるほど、完成度の高い脚本。シナリオの素晴らしさも解説します。

『恋愛小説家』BSでのテレビ放送(2023)はいつ?原題の意味は?

『恋愛小説家』は1997年のアメリカ映画。

毒舌ばかりの小説家が唯一心を開いていたカフェの店員が、辞めることに? 引き留めようと必死になる、恋愛コメディです。

映画『恋愛小説家』概要
原題 As Good as It Gets
上映時間 139分
監督

監督ジェームズ・L・ブルックス(『ブロードキャスト・ニュース』)

脚本 マーク・アンドラス、ジェームズ・L・ブルックス
音楽 ハンス・ジマー(『ライオン・キング』)
出演 ジャック・ニコルソン、ヘレン・ハント
受賞歴 アカデミー主演男優賞、アカデミー主演女優賞
 『恋愛小説家』のテレビ放送は、2023年10月25日(水)。NHKのBSプレミアム「BSシネマ」にて。
13:00 ~ 15:20

 

原題の【 As Good as It Gets 】は英語の慣用句で、

  • 「せいぜいこの程度が限界」(否定的な意味)
  • 「完璧ではないが、満足できる状態」(肯定的な意味)

映画『恋愛小説家』では、後者の意味。“相手に完璧を求め過ぎない”というニュアンスで使っています。

『恋愛小説家』あらすじ【辞められたら困る!人間嫌いの売れっ子作家は,ウェイトレスを引き留めたい】

メルヴィン(ジャック・ニコルソン)は、マンハッタンに暮らす売れっ子の恋愛小説家。強迫性障害のメルヴィンは周囲に悪意をまき散らし、言わなくていい暴言ばかり吐いてしまいます。

メルヴィンの隣りに住む画家・サイモン(グレッグ・キニア)は、いちばんの被害者。ゲイであることをからかわれ、飼い犬のバーデルもメルヴィンから酷い仕打ちを受けてきました。

 

行きつけのレストランでも、メルヴィンは嫌われ者。ウェイトレスのキャロル(ヘレン・ハント)だけが、辛うじてまともに会話できます。

 

ある日のこと。サイモンの恋人が、絵のモデルとけんか騒ぎを起こします。メルヴィンが通報すると、ケガをしたサイモンは入院することになります。

 

(ソリの合わないサイモンが居なくなって、ラッキー!)

と、思ったのも束の間。サイモンが家を空けるため、メルヴィンはサイモンの犬を預かるはめになるのです。

 

さて。キャロルにはスペンサーという喘息もちの息子がいましたが、あるとき発作を起こしてしまいます。キャロルは看病のため、お店を休むことに・・・

「勤め先を家の近くに変えるかも・・・」

と、言い出したのです。

 

困ったのはメルヴィンです。厄介者のメルヴィンの給仕は、キャロルでないと務まらないからです。メルヴィンはキャロルの住所を調べ、会いにゆきますが・・・

犬の種類は?Wikiよりわかりやすい『恋愛小説家』登場人物&キャスト

犬の種類は?Wikiよりわかりやすい『恋愛小説家』登場人物&キャスト

メルヴィン・ユドール

演:ジャック・ニコルソン

売れっ子の恋愛小説家。

しかし、実生活では差別主義者で強迫神経症。憎まれ口ばかり叩くので、周りの人間から嫌われている。

【参考】恋愛小説家と強迫性障害-長崎大学医学部

 

ジェームズを演じたのは、アメリカの俳優ジャック・ニコルソン

『シャイニング』で狂気にとり憑かれた作家を演じ、全世界を震え上がらせた名優です。数々のヒット作に出演し、アカデミー賞(主演、助演あわせて)12回のノミネートを誇ります。

おもな出演作

『カッコーの巣の上で』(1975)・・・精神病院に入院した男が、人間を抑圧する病院から自由を勝ち取ろうとする人間ドラマ。ジャック・ニコルソンは、アカデミー主演男優賞を受賞。

『シャイニング』(1980)・・・親子3人でホテルに泊まった小説家が精神に異常をきたし、妻子に襲いかかるホラー。

『バットマン』(1989)・・・バットマンがゴッサムシティを牛耳るジョーカーに闘いを挑む、ヒーロー映画。ジャック・ニコルソンは悪役ジョーカーを怪演。

『最高の人生の見つけ方』(2007)・・・余命6カ月を宣告された2人の男が、やり残したことを実行するため旅に出る人間ドラマ。

キャロル・コネリー

演:ヘレン・ハント

(出典:Michael Warburton on X)

レストランのウエイトレス。わがままなメルヴィンに給仕できる、唯一の人物。

病弱なひとり息子・スペンサーがおり、心に余裕がない。

 

キャロルを演じたのは、アメリカの女優ヘレン・ハント

子役からスタートし、TVのシチュエーション・コメディ『あなたにムチュー』で知名度を挙げます。パニック映画『ツイスター』に出演した後、『恋愛小説家』でアカデミー主演女優賞を受賞しています。

おもな出演作

『ツイスター』(1996)・・・竜巻を研究する学者夫婦が、巨大竜巻の観測にいどむパニック映画。

『ハート・オブ・ウーマン』(2000)・・・プレイボーイの広告マンが女性の心を読めるようになる、ハートフル・コメディ。

『セッションズ』(2012)・・・首から下が動かない男性が、恋愛セラピーを受けるヒューマン・コメディ。ハントは、アカデミー助演女優賞にノミネート

サイモン

演:グレッグ・キニア

(出典:Radio Times on X)

メルヴィンの隣りに住む画家。バーデルという犬を飼っている。

同性愛者であることをからかうメルヴィンとは、犬猿の仲。

バーデル

サイモンが飼っている犬。犬種はブリュッセル・グリフォンです。

ダスターシュートに入れられるなど、メルヴィンから散々な目に遭わされる。ひょんなことから、メルヴィンに預けられる。

スペンサー

演:ジェシー・ジェームズ

キャロルの息子。

ぜん息持ちで、ほこりにアレルギーがある。

ビバリー

演:シャーリー・ナイト

キャロルの母。スペンサーの面倒を看てくれるだけでなく、キャロルに鋭い助言をする。

フランク

演:キューバ・グッディング・Jr

美術商。サイモンの絵の販売をあつかう。

有色人種であることをメルヴィンにからかわれ、腹を立てていた。

ヴィンセント

演:スキート・ウールリッチ

サイモンの絵のモデルになる青年。

【解説】ドラマ『結婚できない男』へも影響を与えた,圧巻の脚本!『恋愛小説家』は大人の恋愛映画!

  • 主人公が中年男性で、自己中心
  • 仕事では成功し、音楽が好き
  • 隣人の入院で、犬の世話をするハメになる

阿部寛さん主演のドラマ『結婚できない男』と、映画『恋愛小説家』には共通点が見られます。それもそのはず。脚本を書いた尾崎 将也(おざき まさや)さんは『恋愛小説家』の大ファン。オマージュを捧げる形で『結婚できない男』を執筆したからです。

 

亜流作品を生み出すほど、『恋愛小説家』の脚本が上手すぎるのです。

“イヤな奴”を好きにさせてしまう、魔法の脚本テクニック!

3分1秒

「ゲイ画家の絵なんか、誰がどこで売ろうと無関係だ」

仕事を邪魔されたくないメルヴィンは、サイモン(隣人の画家)とフランク(美術商)を目の前にして暴言を吐きます。

 

恋愛映画の主人公とは思えないほど、“イヤな奴”。観客の誰ひとりとして、メルヴィンを好きになる要素が見当たりません。

ところが、サイモンが入院し、サイモンの犬・バーデルを飼うようになると、メルヴィンへの印象は一変します。

 

29分14秒

メルヴィンは、バーデルに“仕方なく”ビーフジャーキーをあげます。

 

29分42秒。

メルヴィンは、

「人生 前向きに生きていこう いつも 前向きに生きていこう」

と、ピアノの弾き語りをします。

 

楽しそうに見えない顔なのに、前向きな歌詞。思わず笑ってしまうシーンです。この2つのシーンを経て、観客はいつの間にかメルヴィンを好きになっています。

 

40分55秒

精神科医のもとを訪れたとき、初めてメルヴィンが「強迫神経症」を患っている、と観客に知らされます。

 

ここまでが1セット。

「こいつ、イヤな奴だな」⇨「ちょっと好きかも」⇨「病気だったのね」

観客が“メルヴィンの味方”になるように、シナリオが観客の感情をコントロールしているのです。

 

そして、神シーンがやってきます。

43分55秒

レストランを追い出されるメルヴィンを見て、常連客たちは大喜び! 嫌われ者のメルヴィンを拍手喝采で送り出します。

しかし、私たち観客はメルヴィンを好きになりかけています。このシーンを見て

「メルヴィン、かわいそう」

という感情になります。

 

観客は、“自分だけがメルヴィンの味方になっている”ような感覚になるのです。

さりげなく“主人公の欠点”を気付かせる、キーとなるセリフ!

主人公が自分の欠点に気づき、欠点を克服しようとする姿(=成長)を見せたとき、私たちは感動します。

 

『恋愛小説家』の場合・・・

自己中心的で相手の気持ちを考えられないメルヴィンが、相手の立場になって発言できるようになるのがメルヴィンの成長です。

 

実は、メルヴィンの“克服すべき欠点”を知らせるシーンがあります。

41分23秒

精神科医のもとを訪れたメルヴィンは、こんな会話をします。

メルヴィン「(クリニックの)内装替えを?」

精神科医「(内装を変えたのは)2年前だ。ついでに言うと、ヒゲも生やした」

 

このやり取りは、自己中で相手の変化に気づけないという、メルヴィンの“克服すべき欠点”を示しているのです。何気ない会話も、実はものすごく計算されているのです。

映画『恋愛小説家』思わずメモしたくなる、名セリフの数々!

『恋愛小説家』キャスト&解説【大人にもおすすめ洋画、名セリフ】

「人の食器を信用するのが、外食の楽しみ」

潔癖症で人がさわったものに触れられないメルヴィンに、キャロルが言ったセリフ。

キャロルの人生観を表しています。

「突然彼らの表情が変わる。どういう理由か、外からはわからない。人間が美しさを見せる瞬間だ」

画家のサイモンが、絵のモデルの青年に言ったセリフ。

このセリフは、サイモンがメルヴィンの内面性に興味を持つきっかけにもなっています。

「カーテンを開けてすばらしい世界を見せてあげて。悲しいことも喜びに変わります」

サイモンのお手伝いさんが、メルヴィンに言うセリフ。

メルヴィンは「どうせ、どっかで又聞きしたんだろ?」とからかいますが、あしらい方も含めて上手い!

「腹が減った。君のおかげで何も食ってない」

仕事を休んだキャロルに会いに行ったメルヴィンが、放ったセリフ。

本人は気づいてないものの、ある種の“告白”になっていて、キャロルがメルヴィンを意識するきっかけにもなっています。

「いい人間になりたくなった」

すっかりキャロルを怒らせてしまったメルヴィン。キャロルから

「私を喜ばせるようなことを言って」

と言われ、絞りだしたのが上記の台詞。

「理想の恋人なんてどこにもいないのよ」

メルヴィンのような変り者を好きになれない、というキャロルを、母・ビバリーが諭すシーン。

原題【As Good as It Gets】(最上ではないけれど、満足できる状態)を受けた、主題となるセリフ。“相手に完璧を求め過ぎない”ことが、よりよい人間関係を構築できることを教えてくれます。

「今までの生き方を見失ってしまった。彼女のせいだ」

キャロルを失いそうになったメルヴィンが、サイモンに助言を求めるシーン。

このセリフに出会えるだけでも見た甲斐がある、素敵なセリフ!

 

 

『恋愛小説家』の大部分のシナリオを書いたのは、マーク・アンドラス。監督のジェームズ・L・ブルックスも、リライトに加わっています。

 

マーク・アンドラスは、『海辺の家』(2001)や『最高の人生のつくり方』(2015)の脚本も書いています。

また、監督のジェームズ・L・ブルックスは、『愛と追憶の日々』(1983)や『ブロードキャスト・ニュース』(1987)、『ザ・エージェント』(1996)といった名作を手がけています。

 

 

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