※この記事は、2021年10月に更新しました。
サスペンス映画について調べていると、やたら色んな本やサイトで紹介されているのが『砂の女』。1964年に製作された日本映画です。
名だたる洋画に混じって、なぜ60年代の邦画が? そのワケを知りたくて、鑑賞してみました。
映画『砂の女』概要とキャスト
概要
『砂の女』は、1964年に製作された日本映画。昆虫採集にやってきた高校教師が、砂に囲まれた一軒家に泊まっているうちに、抜けられなくなってゆくサスペンスです。上映時間は、2時間27分。
砂の女 | |
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製作年 | 1964年 |
上映時間 | 147分 |
ジャンル | サスペンス |
監督 | 勅使河原 宏 |
出演 | 岡田英次、岸田今日子 |
原作は、安部 工房(あべ こうぼう)の同名小説です。原作は、世界30か国に翻訳されています。砂の家に囚われた男を通じて、現代社会の不条理さを描いたとされ、国内外で高く評価されています。
アイドルグループ・乃木坂46の齋藤飛鳥さんも、原作小説のファンだとか。
キャスト
- 男/仁木 順平・・・岡田 英次(おかだ えいじ)
- 砂の女・・・岸田 今日子(きしだ きょうこ)
- 村の老人・・・三井 弘次(みつい こうじ)
映画『砂の女』ストーリー
真夏のある日。日常にうんざりしていた高校教師の男が、ハンミョウを捕まえるため、砂丘へやってきます。
その夜。男は村人に案内され、砂の穴の底にある、ぼろぼろの一軒家に泊まることになります。家には、夫をなくした若い女が住んでいて、男をもてなしてくれます。
翌日。男が目を覚ますと、女が裸で寝ています。家の外に出ようにも、縄ばしごがなくなっていて、砂の穴から出られません。
この村には、風で砂が飛ばされてきて、砂を搔き出さないと村が埋もれてしまいます。男は、そのための労働力としてここに連れてこられたのです。男は、女を縛って人質にとり、村人と交渉しますが・・・
感想:極上のサスペンスが伝えたいテーマ・メッセージとは?
極限状態での会話が笑けてくる!
砂の穴の底のぼろ屋で、若い女と共同生活しながら、砂をかき出す日々。そんな閉塞のなか、男と女が交わす会話が妙におかしい。
砂の穴に閉じこめられた男は、脱出を試みますが失敗。床にたたき落とされ、骨を折ってしまいます。女は、男を心配し・・・
女「揉みましょうか?」
男「骨が折れてるんだぞ! そんな親切心があるなら、医者を呼んでくれたっていいじゃないか!」
罠にかけられたと知った男は、女を縄でしばって拘束。閉じこめた村人たちと交渉しようとします。そんな状況で、女は突然もだえ出し・・・
女「すみませんけど、右の耳のうしろ、搔いてもらえませんか?」
男「えっ? ・・・ここか?」
作品が伝えたいテーマ・メッセージとは?
しかし、笑えるのもここまで。映像は怖くないのですが、作品が突きつけてくる現実が怖い!
「人間は犬じゃない。鎖につなぐ訳にはいかない」
と語っていた男が、いつの間にか砂をかき出すだけの日常に順応してゆく・・・これは、現代の私たちにも当てはまります。
いまの生活に不満を持っているなら、職場を変えればいい。引っ越せばいい。スマホを捨てたっていい。いくらでも変える方法はあるはず。なのに、一歩踏み出せない。日常のアリ地獄に囚われた自分を見ているようで、ゾっとします。
(⇦ 色っぽい美人がとなりで寝ていたら、抜け出せませんが・・・)
不満があるのに原因を社会や他人のせいにして、自分を変えようとしない・・・作品からは、そんな皮肉なメッセージが伝わってきます。
映画『砂の女』の動画配信はどこ? DVDは?
大手4つの動画サービスの配信状況は以下の通り。
サービス名 | 配信状況 | 無料体験 |
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U-NEXT | ✕ | 31日間 |
Amazonプライム | ✕ | 30日間 |
Netflix | ✕ | なし |
Hulu | ✕ | 14日間 |
※2021年10月時点のデータ。
やはり、1960年代の作品は動画サービスでも手薄。なかなか、視聴できる配信サービスはありません。ちなみに、『砂の女』と『砂の器』は違います。
『砂の器』は、松本清張 原作の推理もので、これはこれで傑作です。
DVDやブルーレイは高価なので、レンタルがおすすめです。