「外へ出たいんだ。この目で世界中を見てみたいんだよ!」
周りから操作された人生。自由を求めて、たった一人の男が抵抗する!
ジム・キャリー主演の映画トゥルーマン・ショー』が、BSでテレビ放送されます。
この記事では、映画『トゥルーマン・ショー』のあらすじをご紹介。
また、この作品はコメディでありながら、鋭い社会問題を突きつけてきます。『トゥルーマン・ショー』が伝えたいことを、脚本の視点から解説します。
- 映画『トゥルーマン・ショー』BSでのテレビ放送(2024)はいつ?原作は?奥さん役の女優は?
- 『トゥルーマン・ショー』あらすじを簡単に【僕の人生は,世界中の人たちに向けて放送されている?】
- 『トゥルーマン・ショー』解説&考察【“無自覚な共犯者”とは?ホントは怖いコメディ映画】
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映画『トゥルーマン・ショー』BSでのテレビ放送(2024)はいつ?原作は?奥さん役の女優は?
『トゥルーマン・ショー』は1998年のアメリカ映画。
生活のすべてを「リアリティ番組」として放送されていると知った男が、自由を得ようと奮闘するコメディです。
映画『トゥルーマン・ショー』 | |
---|---|
原題 | The Truman Show |
公開 | 1998年 |
ジャンル | コメディ、風刺ドラマ |
上映時間 | 103分 |
監督 | ピーター・ウィアー(『グリーン・カード』) |
脚本 | アンドリュー・ニコル(『ガタカ』) |
出演 | ジム・キャリー、ローラ・リニー、エド・ハリス |
19:00 ~ 21:03
原作はありません。『ガタカ』の監督アンドリュー・ニコルのオリジナル脚本となっています。しかし、
- 主人公が、自分の住む世界に疑問を抱くこと
- 主人公の生活を監視する者たちがいること
の2点は、SF作家フィリップ・K・ディックの小説『時は乱れて』にそっくりです。
(⇦ 『時は乱れて』は、クイズ番組で勝ち続ける男が主人公)
主人公・トゥルーマンの奥さんであるメリルを演じたのは、ローラ・リニー。
🎂 58 años cumple hoy Laura Linney. Me parece que está genial como Meryl Burbank en “The Truman Show” (Peter Weir, 1998). pic.twitter.com/PeUXhIcg7m
— Eva Bold (@Eva_al_desnudo_) February 5, 2022
(出典:Eva Bold on X)
リチャード・ギアと共演した『真実の行方』(1996)で知名度を上げ、『マイ・ライフ、マイ・ファミリー』(2007)ではアカデミー賞にノミネートされています。
『トゥルーマン・ショー』あらすじを簡単に【僕の人生は,世界中の人たちに向けて放送されている?】
離島・シーヘヴンに住むトゥルーマン・バーバンク(ジム・キャリー)は、保険会社につとめています。
「おはよう! 会えない時のために、こんにちは、こんばんは、おやすみ!」
が口ぐせの人当たりのよい青年で、看護師の妻・メリル(ローラ・リニー)もいます。平凡だけど幸せな生活です。
トゥルーマンにはトラウマがあります。幼い頃、父と乗ったヨットが水没し、父が亡くなってしまったのです。以来、“水恐怖症”となった彼は、島の外に出たことがありません。
ある日のこと。
新聞を買ったトゥルーマンに、ホームレスの老人が近づきます。
「パパ!」
老人は、亡くなった父とそっくりだったのです。しかし、トゥルーマンが話しかけようとすると、老人は通行人に連れ去られてゆきます。
また、トゥルーマンがフィジー諸島に旅行しようとすると、トラブルが重なって島の外に出られません。
実は、トゥルーマンの生活の一部始終は、リアリティ番組『トゥルーマン・ショー』としてテレビ放送されていました。
番組ディレクターのクリストフ(エド・ハリス)の指示のもと、いまの生活に満足し、島の中で一生を終えるように“仕向けられていた”のです。
“作られた生活”に違和感をおぼえたトゥルーマンは、島の外に出ようと抵抗しますが・・・
▲クリックすると動画が読み込まれます。
ここから先は、一部ネタバレを含む内容になっています。必ず映画本編をご覧になった上で読んでください。
『トゥルーマン・ショー』解説&考察【“無自覚な共犯者”とは?ホントは怖いコメディ映画】
『トゥルーマン・ショー』は、人によって見方が変わります。
- 爽快な脱出劇ととらえれば、良作のコメディ映画。
- リアリティ番組の製作者たちに怒りをおぼえる、胸糞悪い&気持ち悪い映画。
確かに、番組ディレクターのクリストフは、“わかりやすい悪役”として描かれています。リアリティ・ショーの出演者だったシルヴィアと、こんなやり取りがあります。
シルヴィア「あなたに権利はあるの? トゥルーマンの一生を見世物にする権利が!」
クリストフ「私は、彼に“普通の人生を送るチャンス”を与えている。君たちが生きている世界は病んでいる」
傲慢で自分勝手なクリストフ。しかし、トゥルーマンの私生活を見世物にしているのは、クリストフら番組スタッフや俳優たちだけではありません。
- ピザを食べながら『トゥルーマン・ショー』を見る、警備員2人。
- お風呂に入って『トゥルーマン・ショー』を見ている、おじさん。
- トゥルーマンと父の再会に涙する、おばあさん姉妹。
- コーヒーショップの店員とお客さん。
世界220カ国の『トゥルーマン・ショー』の視聴者たち。彼らは、監視カメラでトゥルーマンの私生活をのぞき見ていると知りながら、番組を楽しんでいます。
The Truman Show (1998) pic.twitter.com/Yy2mqqwIFH
— Final Frame of Movies (@lastframemovie) September 23, 2022
「トゥルーマンの人生を食い物にしている」という意味では、テレビ視聴者たちは加害者なのです。本人たちには自覚がありません。
いわば、“無自覚な共犯者”。
さらに怖いのは、この映画は「メタ構造」になっていて、劇中のテレビ視聴者たちは“私たち観客”と合わせ鏡になっている、という点。
私たちテレビ視聴者は、リアリティ・ショーが“台本のないリアルな映像”と信じ切っています。しかし、都合よくドラマチックな出来事ばかり起こるはずがありません。カメラが回っている以上、演出が入ることだってあります。
しかも、被撮影者(=カメラで撮られている出演者たち)は、あくまで素人。
特定の出演者に肩入れするあまり、ある出演者にヘイトが向かってしまう・・・『テラスハウス』のような悲劇は、実は世界各国のリアリティ番組で起こっているのです。
>> 自殺者は3人に リアリティ番組が過激化したイギリスでの顛末
こういった悲劇を予見していたと思うと、背筋がゾクッとします。
- どんなリアリティ番組だって、演出の入る余地がある
- “被撮影者のプライベートを食い物にしている”という意味では、製作者も視聴者も同じ
映画『トゥルーマン・ショー』が突きつけてくる社会問題は、コメディとは思えない鋭いものがあります。