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『トゥルーマン・ショー』解説&考察【“無自覚な共犯者”とは?ホントは怖いコメディ映画】

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『トゥルーマン・ショー』解説!【“無自覚な共犯者”とは?ホントは怖いコメディ映画】

「外へ出たいんだ。この目で世界中を見てみたいんだよ!」

 

周りから操作された人生。自由を求めて、たった一人の男が抵抗する!

ジム・キャリー主演の映画トゥルーマン・ショー』が、NHKのBSでテレビ放送されます。

 

この記事では、映画『トゥルーマン・ショー』のあらすじをご紹介。

また、この作品はコメディでありながら、鋭い社会問題を突きつけてきます。『トゥルーマン・ショー』が伝えたいことを、脚本の視点から解説します。

映画『トゥルーマン・ショー』BSでのテレビ放送(2022)はいつ?原作は?奥さん役の女優は?

 『トゥルーマン・ショー』は1998年のアメリカ映画。

生活のすべてを「リアリティ番組」として放送されていると知った男が、自由を得ようと奮闘するコメディです。

映画『トゥルーマン・ショー』
原題 The Truman Show
公開 1998年
ジャンル コメディ、風刺ドラマ
上映時間 103分
監督 ピーター・ウィアー(『グリーン・カード』)
脚本 アンドリュー・ニコル(『ガタカ』)
出演 ジム・キャリー、ローラ・リニー、エド・ハリス
 『トゥルーマン・ショー』のテレビ放送は、2022年10月3日(月)。NHKのBSプレミアム「BSシネマ」にて。
13:00 ~ 14:44

原作はありません。『ガタカ』の監督アンドリュー・ニコルのオリジナル脚本となっています。しかし、

  • 主人公が、自分の住む世界に疑問を抱くこと
  • 主人公の生活を監視する者たちがいること

の2点は、SF作家フィリップ・K・ディックの小説『時は乱れて』にそっくりです。

(⇦ 『時は乱れて』は、クイズ番組で勝ち続ける男が主人公)

 

主人公・トゥルーマンの奥さんであるメリルを演じたのは、ローラ・リニー

リチャード・ギアと共演した『真実の行方』(1996)で知名度を上げ、『マイ・ライフ、マイ・ファミリー』(2007)ではアカデミー賞にノミネートされています。

『トゥルーマン・ショー』あらすじを簡単に【僕の人生は,世界中の人たちに向けて放送されている?】

離島・シーヘヴンに住むトゥルーマン・バーバンク(ジム・キャリー)は、保険会社につとめています。

「おはよう! 会えない時のために、こんにちは、こんばんは、おやすみ!」

が口ぐせの人当たりのよい青年で、看護師の妻・メリル(ローラ・リニー)もいます。平凡だけど幸せな生活です。

 

トゥルーマンにはトラウマがあります。幼い頃、父と乗ったヨットが水没し、父が亡くなってしまったのです。以来、“水恐怖症”となった彼は、島の外に出たことがありません。

 

ある日のこと。

新聞を買ったトゥルーマンに、ホームレスの老人が近づきます。

「パパ!」

老人は、亡くなった父とそっくりだったのです。しかし、トゥルーマンが話しかけようとすると、老人は通行人に連れ去られてゆきます。

また、トゥルーマンがフィジー諸島に旅行しようとすると、トラブルが重なって島の外に出られません。

 

実は、トゥルーマンの生活の一部始終は、リアリティ番組『トゥルーマン・ショー』としてテレビ放送されていました。

太陽も海も、会社もすべてセット。家族や友人たちも、みな俳優でした。
番組ディレクターのクリストフ(エド・ハリス)の指示のもと、いまの生活に満足し、島の中で一生を終えるように“仕向けられていた”のです。

 

“作られた生活”に違和感をおぼえたトゥルーマンは、島の外に出ようと抵抗しますが・・・

▲クリックすると動画が読み込まれます。

 

ここから先は、一部ネタバレを含む内容になっています。必ず映画本編をご覧になった上で読んでください。

『トゥルーマン・ショー』解説&考察【“無自覚な共犯者”とは?ホントは怖いコメディ映画】

『トゥルーマン・ショー』は、人によって見方が変わります。

  • 爽快な脱出劇ととらえれば、良作のコメディ映画。
  • リアリティ番組の製作者たちに怒りをおぼえる、胸糞悪い&気持ち悪い映画。

 

確かに、番組ディレクターのクリストフは、“わかりやすい悪役”として描かれています。リアリティ・ショーの出演者だったシルヴィアと、こんなやり取りがあります。

 

シルヴィア「あなたに権利はあるの? トゥルーマンの一生を見世物にする権利が!」

クリストフ「私は、彼に“普通の人生を送るチャンス”を与えている。君たちが生きている世界は病んでいる」

 

傲慢で自分勝手なクリストフ。しかし、トゥルーマンの私生活を見世物にしているのは、クリストフら番組スタッフや俳優たちだけではありません。

 

  • ピザを食べながら『トゥルーマン・ショー』を見る、警備員2人。
  • お風呂に入って『トゥルーマン・ショー』を見ている、おじさん。
  • トゥルーマンと父の再会に涙する、おばあさん姉妹。
  • コーヒーショップの店員とお客さん。

世界220カ国の『トゥルーマン・ショー』の視聴者たち。彼らは、監視カメラでトゥルーマンの私生活をのぞき見ていると知りながら、番組を楽しんでいます。

 

小さな島に閉じこめられたトゥルーマンの人生を“エンタメ”として楽しんでおいて、島から出られたら“感動の涙”を流す。

「トゥルーマンの人生を食い物にしている」という意味では、テレビ視聴者たちは加害者なのです。本人たちには自覚がありません。

いわば、“無自覚な共犯者”

 

 

さらに怖いのは、この映画は「メタ構造」になっていて、劇中のテレビ視聴者たちは“私たち観客”と合わせ鏡になっている、という点。

『トゥルーマン・ショー』解説!【“無自覚な共犯者”とは?ホントは怖いコメディ映画】メタ構造

私たちテレビ視聴者は、リアリティ・ショーが“台本のないリアルな映像”と信じ切っています。しかし、都合よくドラマチックな出来事ばかり起こるはずがありません。カメラが回っている以上、演出が入ることだってあります。

 

しかも、被撮影者(=カメラで撮られている出演者たち)は、あくまで素人

特定の出演者に肩入れするあまり、ある出演者にヘイトが向かってしまう・・・『テラスハウス』のような悲劇は、実は世界各国のリアリティ番組で起こっているのです。

>> 自殺者は3人に リアリティ番組が過激化したイギリスでの顛末

 

こういった悲劇を予見していたと思うと、背筋がゾクッとします。

 

  • どんなリアリティ番組だって、演出の入る余地がある
  • “被撮影者のプライベートを食い物にしている”という意味では、製作者も視聴者も同じ

映画『トゥルーマン・ショー』が突きつけてくる社会問題は、コメディとは思えない鋭いものがあります。