アラン・ドロン、オーソン・ウェルズ、カーク・ダグラス、ジャン=ポール・ベルモンド・・・名だたるキャストが出演する戦争映画『パリは燃えているか』が、NHKのBSでテレビ放送されます。
この記事では、映画『パリは燃えているか』のあらすじをご紹介し、魅力を解説してゆきます。
- 映画『パリは燃えているか』BSプレミアムでのテレビ放送(2023)は,いつ?音楽は加古隆ではない?
- 映画『パリは燃えているか』あらすじ【パリを瓦礫の山にしてはならない!反対派を説得せよ】
- 『パリは燃えているか』オールスター・キャスト!“主役不在”の魅力とは?2021年には,全編吹き替えでブルーレイ化も!
映画『パリは燃えているか』BSプレミアムでのテレビ放送(2023)は,いつ?音楽は加古隆ではない?
『パリは燃えているか』は1966年のフランス・アメリカ合作映画。
ナチス占領下のパリが舞台。フランスの解放軍が蜂起して、連合国軍とともにパリを解放するまでを描く戦争映画です。
映画『パリは燃えているか』 | |
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原題 | Paris brûle-t-il ? |
製作 | 1966年 |
ジャンル | 戦争 |
上映時間 | 173分(2時間53分) |
監督 | ルネ・クレマン(『禁じられた遊び』) |
脚本 | ゴア・ヴィダル、フランシス・フォード・コッポラ |
音楽 | モーリス・ジャール |
出演 | カーク・ダグラス、アラン・ドロン、ゲルト・フレーベ |
13:00 ~ 15:54
音楽を担当したのは、フランスの作曲家モーリス・ジャールです。
なお、1995年から1996年にかけて、NHKで『映像の世紀』というドキュメンタリー番組が放送されました。この番組のメインテーマ曲として、加古隆さん作曲の「パリは燃えているか」が使われいます。しかし、映画とは直接の関係はありません。
「パリは燃えているか」というタイトルは、ドイツ降伏の際にヒトラーが発した言葉からの引用です。
映画『パリは燃えているか』あらすじ【パリを瓦礫の山にしてはならない!反対派を説得せよ】
1944年8月。ドイツ占領下のパリに、勢いにのる連合国軍が迫っていました。
ヒトラーは、コルティッツ将軍(ゲルト・フレーベ)をパリの司令官に任命し、
「パリを敵の手に渡すな。撤退する場合は、パリの街を焼きつくせ!」
と指示します。
いっぽう。パリでは、レジスタンス活動(=抵抗運動)を行なっていたデルマ(アラン・ドロン)たちが、話し合いをしていました。ド=ゴール派のデルマは、
「連合軍が到着するまで待ったほうがいい」
と意見します。これに対して自由フランス軍のロル大佐(ブリュノ・クレメール)は、
「銃や弾薬が手に入り次第、決起すべきだ!」
と、自分たちだけでのパリ解放を主張します。
デルマは、ロル大佐らを説得できるのはレジスタンスの指導者ベルナール・ラべだけだ、と考えます。しかし、頼みのラべは、“政治犯”として刑務所に入っています。
デルマは、中立国であるスウェーデン領事館のノルドリンク(オーソン・ウェルズ)にはたらきかけ、ラべ救出を試みますが・・・
▲クリックすると動画が読み込まれます。
『パリは燃えているか』オールスター・キャスト!“主役不在”の魅力とは?2021年には,全編吹き替えでブルーレイ化も!
『パリは燃えているか』には、おなじみの俳優たちが総出演しています。
- アラン・ドロン(『太陽がいっぱい』)
- オーソン・ウェルズ(『市民ケーン』)
- カーク・ダグラス(『炎の人ゴッホ』)
- ゲルト・フレーベ(『007ゴールドフィンガー』)
- ジャン=ポール・ベルモンド(『勝手にしやがれ』)
- シャルル・ボワイエ(『ガス燈』)
- アンソニー・パーキンス(『サイコ』)
- シモーヌ・シニョレ(『悪魔のような女』)
古い映画に詳しい人なら、名のある俳優を探す楽しみもあるでしょう。
Jean-Paul Belmondo, René Clément and Alain Delon on the set set of Is Paris Burning?, 1966 pic.twitter.com/yUBg6OTkrN
— Films Cloud (@FilmsCloud) March 18, 2018
しかし、本当の魅力は、オールスター・キャストによる“豪華さ”ではありません。
「レジスタン内部の意見の対立」
「スウェーデン領事とナチス司令官との交渉」
「市街戦を避けるため、迂回してパリに入ろうとする連合国軍」
「解放が近づき、浮足立つパリ市民」
映画はひっきりなしに場面転換し、スポットがあたる人物もめまぐるしく変わってゆきます。
Is Paris Burning? (1966) is so good. The script is by Gore Vidal & Francis Ford Coppola (?!) The cast is nuts: Yves Montand, Orson Welles, Leslie Caron, Jean-Paul Belmondo, Kirk Douglas, Alain Delon, Tony Perkins, Glenn Ford & obviously a time travelling Paul McGann (below, r) pic.twitter.com/EfscmdKqKV
— Adrian McKinty (@adrianmckinty) September 1, 2022
いわゆる群像劇。特定の主人公はいません。
しかし、ドイツの将校からアメリカ人兵士、パリ市民に至るまで、登場人物が妙に人間くさい。
- 軍服を着たまま、酔って電車に乗るドイツ軍兵士。
- 降伏が決まり、「(暇になるから)『戦争と平和』を読めます」と語るドイツ将校。
- ドイツ将校を捕虜にしたのが嬉しくて、パパに電話するレジスタンスの運動員。
- 「4年も待ったのよ!」と、見ず知らずのアメリカ兵士に抱きつくパリっ娘。
さらに、パリ解放時のドキュメント映像も挟まれます。市民の表情は、俳優が演じたキャラクター以上に生き生きしています。
指導者から名もなき市民まで、扱いは平等。肩書や国籍によって、描き方が変わるわけでない・・・『パリは燃えているか』から伝わってくるのは、「歴史を作るのは為政者だけではない」というメッセージです。
ヒトラーの怒声が無人の指令室に響くシーンは、端的にそれを表しています。
監督は、ルネ・クレマン。『禁じられた遊び』(1952)や『太陽がいっぱい』(1960)を撮った巨匠です。
French filmmaker Rene Clement, the director of Forbidden Games (1952), Purple Noon (1960), Is Paris Burning? (1966), Rider on the Rain (1970) and more, was born on this day in 1913. pic.twitter.com/BwJ6zu5j56
— New Beverly Cinema (@newbeverly) March 18, 2021
『パリは燃えているか』はAmazonプライムやNetflixなど、動画サービス(VOD)は配信されていません。テレビでも滅多に放送されません。
『パリは燃えているか』をもう一度見たいなら、ツタヤのDVDレンタルサービス「TSUTAYAディスカス」がおすすめです。
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関連:『パリは燃えているか』もレンタル可能!
なお、2021年には『パリは燃えているか』全編吹き替えつきのブルーレイが発売されました。
吹き替え版は、1975年にテレビ放送された際のノーカット音源をもとに制作されています。字幕版の音声がほぼ英語だけなのは残念ですが、コレクターには嬉しいアイテムです。