※この記事は、2022年2月に更新しました。
いや~。楽しかった! 時間も忘れて映画の世界に浸ることができました。
今回ご紹介するのは、ぶっ飛んだファンタジー映画『バロン ほら吹き男爵の冒険』です。
ファンタジー映画『バロン ほら吹き男爵の冒険』の概要
『バロン ほら吹き男爵の冒険』は、2012年製作のドイツのテレビ映画です。大げさなホラ話を語り歩く男爵と、彼のお話に魅せられた少女の冒険譚です。
バロン ほら吹き男爵の冒険 | |
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原題 | BARON MUNCHHAUSEN |
製作国 | ドイツ |
製作年 | 2012年 |
上映時間 | 184分 |
監督 | アンドレアス・リンケ |
原作 | ほら吹き男爵の冒険 |
出演 | ヤン・ヨーゼフ・リーファーズ、イザベル・オットマン |
原作となるのは、ドイツの民話『ほら吹き男爵の冒険』。
この本の成り立ちが面白い。主人公のミュンヒハウゼン男爵は、18世紀に実在したプロイセンの貴族。男爵は、晩年になると館に人を集めて、自身の体験談をフィクションを交えて語り聞かせます。
そのお話があまりに突飛で面白いので、聴衆のひとりが彼の話を書き写して、出版したのがはじまりだとか。
何度か映像化されていますが、もっとも有名なのは、1988年に公開されたテリー・ギリアム監督の『バロン』でしょう。
関連:映画版『バロン』も紹介!鬼才テリーギリアム監督おすすめ8選
今回ご紹介する2012年のドイツ版は、「エピソード1」「エピソード2」で構成されるテレビ映画。トータル3時間越えで、『ほら吹き男爵の冒険』の映像化作品としては、もっとも長いものとなっています。
映画『バロン ほら吹き男爵の冒険』あらすじと感想
簡単なあらすじ
中世のある酒場。ミュンヒハウゼン男爵と名乗る男は、オスマン帝国がロシアの都市・サンクトペテルブルクに攻め入ったときの話を、意気揚々と語っていました。
ミュンヒハウゼン男爵は、サンクトペテルブルクを治める女帝・エカテリーナの配下となり、オスマン帝国の軍隊を追い払った、と語ります。しかも、大砲の弾丸に乗って敵の本拠地に攻め入ったり、怪力の大男や韋駄天男(=ハイスピードで走れる男)たちと戦った、と語ります。
ミュンヒハウゼン男爵の語る奇想天外な物語に、あきれる観客もいました。
コンスタンツという女性などは、ミュンヒハウゼンを「ペテン師」呼ばわりします。しかし、フリーダという少女だけは違いました。
両親と生き別れ、サーカス団にいたフリーダは、ミュンヒハウゼン男爵のことを父親だと思いこみます。フリーダにつきまとわれたミュンヒハウゼンは、彼女をサンクトペテルブルクの母親のもとに返すべく、冒険の旅に出ます。
ミュンヒハウゼンは、フリーダにはこう言って聞かせます。
「わたしたちは月を目指すんだ。どっちが先に着くか、賭けをしよう!!」
▲クリックすると動画が読み込まれます。
感想・・・絵本のような愉快な物語!
わたしは空想が好きな子供で、中高生の頃はファンタジー映画が大好きでした。しかし、大人になるにつれ、このジャンルから遠ざかるようになります。
社会や現実の厳しさを知り、あまりに飛躍したストーリーに乗れなくなってしまったからです。ファンタジー映画を観ても、「あり得ね~」「嘘だろ~」みたいな感想しか持てなくなったのです。
ところがこの映画は、最上級クラスの「あり得ね~」「嘘だろ~」の連発!
原作が“フィクションを信じられなくなった大人”に向けて書かれているため、疑ってかかる観客を、斜め上の発想で驚かせてくれます。
「大砲の弾に乗る」「月から隕石を投げる」「短いロープの上を切って、下につなげる」などなど・・・
物理法則や常識にとらわれていた自分が、バカバカしくなってきます。忘れていたものを思い出させてくれる、楽しさに満ちています。
残念なのは、あまり出回っていないこと。レンタルショップで探すのも苦労します。
※追記:Amazonプライムビデオでも視聴できるようになりました。 2022年2月時点の情報です。
〈エピソード1〉
〈エピソード2〉
シリアスなシーンで軽快な音楽を鳴らすところ。ミュンヒハウゼンのひょうひょうとした性格。ゆるすぎる戦闘シーンの数々。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』を思わせるような、親しみやすい作りになっています。