アニメーション映画『メアリと魔女の花』に登場する魔女の花、【夜間飛行】。この花は実在するのでしょうか?
この記事では、不思議な花【夜間飛行】のモデルとなった花について、検証してみたいと思います。
- 『メアリと魔女の花』に出てくる花、【夜間飛行】とは?
- 【夜間飛行】の名前の由来は?
- 【夜間飛行】は実在しない! モデルとなった花の候補はこれ!
- “魔女の花”“悪魔の草” ベラドンナ
- 7年に1度だけ咲く、超くさい花!スマトラオオコンニャク(別名:ショクダイオオコンニャク)
- 見た目だけなら、コレでしょ!
- まとめ
『メアリと魔女の花』に出てくる花、【夜間飛行】とは?
映画に出てくる【夜間飛行】とは、青紫色のつりがね型の花です。7年に1度、他の花が咲いていない時期に咲く、といわれています。見た目には、スズランの花にも似ています。
7年に1度しか咲かない禁断の“#魔女の花”🌼🌼🌼この花は一晩だけ #魔法 の力を授ける不思議な花なんです‼️もし魔法が使えるとしたら皆さんは何をしたいですか🤔💭#メアリと魔女の花 #平成最後の夏 #テレビ初放送 #魔法使い #ホウキに乗って空を飛ぶのはマスト pic.twitter.com/ZIBqDixmV1
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) August 29, 2018
(出典:アンク@金曜ロードショー公式 on X)
「赤い館」の庭師・ゼベディじいさんは、【夜間飛行】という花について、メアリに教えます。メアリは森の中で、この花とほうきを見つけたことがきっかけとなり、雲の中にある魔女の国に導かれることとなります。
物語内では、魔力を上げる不思議な力があるため、魔女たちは【夜間飛行】を探し求めているという設定です。
【夜間飛行】の名前の由来は?
映画に出てくる不思議な花、【夜間飛行】。この花の名前の由来は?
児童文学『星の王子さま』の作者・サン=テグジュペリの著作に、ずばり『夜間飛行』という小説があります。
『夜間飛行』は、郵便物を飛行機で届ける男たちの物語。
「手紙を届けてほしい」
というお客の要望に応えるため、命がけで任務にあたる飛行士たちの仕事ぶりが描かれます。
実は、小説『夜間飛行』はスタジオジブリとも縁が深い作品。
宮崎 駿さんも大好きな小説だと公言しており、『天空の城ラピュタ』や『風立ちぬ』には、『夜間飛行』の飛行士たちを思わせるキャラクターが登場します。
【夜間飛行】は実在しない! モデルとなった花の候補はこれ!
結論からいうと、【夜間飛行】は想像上の花です。実在しません。しかし、世の中にはこの花に似た不思議な花が、確かに存在しています。
そこで、3つの観点から【夜間飛行】のモデルとなった可能性がある花について探ってみたいと思います。
“魔女の花”“悪魔の草” ベラドンナ
ゲームなどによく出てくる植物に、マンドラゴラという花があります。魔女がこの植物をまぜ棒でぐるぐる回している姿を、見たことがある人もいるかもしれません。
マンドラゴラは、薬草として使われたり、魔術や錬金術の原料となったりするナス科の植物です。
同じナス科の植物で、“悪魔の草” の異名をもつのが【ベラドンナ】です。茎と根っこに強い毒をもち、この花を体内に入れると吐き気や興奮を起こし、死に至る場合もあります。
伝説では魔女が熱心に栽培していた、といわれています。ゲームなどで、魔女が壺に入った薬草をかき回している場面をよく見かけます。あれは、この言い伝えを参考にしているのでしょう。
年に一度、魔女がベラドンナの世話をしない日は、悪魔と交わる日だけです。
7年に1度だけ咲く、超くさい花!スマトラオオコンニャク(別名:ショクダイオオコンニャク)
『世界最大の花』と呼ばれる花があります。インドネシア原産のサトイモ科の植物で、スマトラオオコンニャク(別名:ショクダイオオコンニャク)という花です。
花の高さは2~3メートルにもなり、地中には重さ70㎏ものコンニャクイモが実をつけます。通常、花をつけるのは7年に1度といわれています。ただし強烈な匂いをはなつため、世界一「醜い」花、というありがたくない愛称で呼ばれています。
見た目だけなら、コレでしょ!
その1:ただ似ているだけなら、「ムスカリ」
ムスカリは地中海原産の花ですが、日本でも30年ぐらい前から市場に出回るようになりました。病気や害虫に強く、公園でもよく見かける花です。これといった特徴はありませんが、面白いのが花言葉。
明るい未来 ⇔ 失望
という、真逆の意味をもっています。
その2:公式Xでも紹介された、「サマームスカリ」(ヤブラン)
サマームスカリ(別名:ヤブラン)は、ガーデニングでも人気の多年草。
スタジオポノックの公式X(旧ツイッター)でも紹介されていた花で、見た目も【夜間飛行】にそっくりです。
#ニコニコ生放送 で育てていただいている、魔女の花に似ているというサマームスカリさん🌿(名はぼさ夫)が、中継のゲスト出演でスタジオポノック初来訪。Welcome to STUDIO PONOC🕛❗️#スタジオポノック pic.twitter.com/vOUq5hJLYL
— ポノック【公式】@映画「屋根裏のラジャー」 (@StudioPonoc) July 14, 2017
(出典:ポノック【公式】 on X)
サマームスカリの花言葉は「忍耐」。
「忍耐」「我慢」は、メアリに欠けている要素。主人公に成長をうながす意味で、「忍耐」を花言葉に持つサマームスカリを重要アイテムに選んだとすれば、しっくりきます。
その3:見た目も似ているし、不思議な言い伝えも!「ラベンダー」
紫の色がポピュラーな花、ラベンダー。観光地としても有名な北海道の富良野では、7月~8月下旬に開花します。
ハーブとして薬や料理に使われ、精神安定、殺菌などの効果があります。ヨーロッパでは悪魔祓いに効果があるとされていて、教会や住居のまわりにラベンダーの枝を撒いていました。
ラベンダーには、「清潔」「許し合う愛」「あなたを待っています」という花言葉があります。
「あなたを待っています」という花言葉は、ラベンダーにまつわるこんな言い伝えが由来となっています。
青い瞳と黄金の髪をもつ美少年に、恋をした少女がいました。少女の名前は、ラベンダー。彼女は燃えるような恋をしますが、いつもたくさんの女性に囲まれている少年に思いを伝えることができませんでした。
ひたすら待ち続けた少女は、いつしか一輪の花となっていました。
ラベンダーの花言葉「あなたを待っています」がモチーフとなっているのが、映画『時をかける少女』(1983)です。ラベンダーは、タイムリープの重要アイテムとして使われています。
まとめ
【夜間飛行】という花は存在しません。
青紫色の見た目は、ムスカリやサマームスカリ、ラベンダー。魔力をもつという伝説はベラドンナ、7年に1度咲くという設定はショクダイオオコンニャク。
原作の想像上の花である【夜間飛行】を、さまざまな花を参考にして、映像化したのではないでしょうか。