「たとえ、のけ者にされようとも、誠実に生きる人間は尊い」
家族愛とノスタルジー、そして人間賛歌にあふれた名作映画『わが谷は緑なりき』が、NHKのBSプレミアムで放送されます。
この記事では、映画『わが谷は緑なりき』のあらすじと見どころをご紹介します。
映画『わが谷は緑なりき』NHKのBSプレミアムでの放送はいつ? ロケ地はどこ?
『わが谷は緑なりき』は1941年のアメリカの白黒映画。ウェールズの炭鉱の町で育った青年が、家族と過ごした少年時代をふり返ってゆく人間ドラマです。
作品の舞台はイギリスの西南部・ウェールズ地方です。
ただし、当時はヨーロッパが戦争中だったこともあり、ロサンゼルスのサン・フェルナンド渓谷にセットを作って撮影されています。
あの美しい谷の風景が、セットだったとは!
映画『わが谷は緑なりき』 | |
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原題 | How Green Was My Valley |
製作 | 1941年 |
製作国 | アメリカ |
ジャンル | 人間ドラマ |
上映時間 | 118分 |
監督 | ジョン・フォード(『駅馬車』『怒りの葡萄』) |
原作 | リチャード・レウェリン『わが谷は緑なりき』 |
出演 | ロディ・マクドウォール、モーリン・オハラ、ウォルター・ピジョン |
映画『わが谷は緑なりき』のテレビ放送は、2021年10月26日(火)。NHKのBSプレミアムの「BSシネマ」にて。
13:00 ~ 15:00
映画『わが谷は緑なりき』あらすじ
ウェールズの炭鉱地帯。ロンダの谷には、雄大な自然が広がっています。
この炭鉱の街で生まれ育ったヒュー・モーガンは、少年時代を回想していました・・・
・・・モーガン家は大家族。
昔かたぎの父・ギルプ(ドナルド・クリスプ)と肝っ玉母さん、5人の兄さん達、美しい姉のアンハード(モーリン・オハラ)がいます。
ヒュー(ロディ・マクドウォール)は、だいぶ年の離れた末っ子でした。父と5人の兄は、みんな炭鉱夫です。
穏やかな日々が続く中、長男が結婚することになり、教会で式が行われます。谷には、若い牧師のグリュフィード(ウォルター・ピジョン)が赴任してきたばかり。
姉のアンハードとグリュフィード牧師は、ひと目でひかれ合います。
さて、不景気のため、炭鉱主は炭鉱夫たちの賃金カットを発表します。兄たちは組合をつくってストを起こそうとしますが、父は猛反対。意見が対立します。
兄たちは父に反発し、家を出て行ってしまいます。
ストに反対した父は、炭鉱夫仲間からも孤立します。吹雪の中で行なわれた集会では、父は名指しで非難されます。いきどおった母は、夫を援護する演説をぶちかまします。しかし、その帰り、母は川へ落ち、助けにきたヒューも凍傷にかかってしまうのでした。
ヒューを助けてくれたのが、グリュフィード牧師でした。これがきっかけでモーガン家に出入りするようになったグリフィード牧師と姉のアンハードは、親密になってゆきます。
ところが、炭鉱主が、自分の息子とアンハードの婚約話を進めてきて・・・
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『わが谷は緑なりき』感想【まるで動くアルバム!家族愛&ノスタルジーに溢れた名作】
映画『わが谷は緑なりき』の物語は、主人公ヒューが子供時代を回想するかたちで進んでゆきます。
父や兄たちの給料が減らされたり、牧師と恋に落ちた姉が陰口をたたかれたり、ヒュー自身も学校でいじめに遭ったり・・・起こっている出来事は悲惨なのですが、家族愛とノスタルジーにあふれた作品となっています。
- 不幸な状況にさらされながらも、前向きに生きてゆくモーガン家とグリフィード牧師
- ヒューのやさしく、詩的な語り口
- ロンダ渓谷の見事な風景
この3つのおかげで、ヒューの思い出が“美しくて懐かしい記憶”として、観客の心に伝わってくるのです。
監督は、巨匠ジョン・フォード。
ジョン・フォード作品というと、西部劇の傑作『駅馬車』(1939)では、スピード感あふれるアクションを見せてくれました。
『わが谷は緑なりき』では打って変わって、見とれてしまうほどの風景と、セリフなしで心の動きを表現した美しいシーンを、見せてくれます。
特に、姉のアンハードとグリュフィード牧師が初めて会う場面、2人が歌を歌っているうちに心を通わせてゆく場面は、鳥肌ものです。
※ちなみに、ブルーレイ版だとパッケージがカラーですが、中身は白黒映画です。
本作で、姉のアンハードを演じたのは、モーリン・オハラという女優さんです。
ジョン・フォード監督の西部劇『リオ・グランデの砦』や『静かなる男』でも、ヒロインとして起用されています。宮崎駿 監督が、“大好きな女優さん”と公言していましたね。
モーリン・オハラの美しさが際立っているという意味では、『三十四丁目の奇蹟』(1947)も外せません。
彼女は、サンタを信じられないデパートの人事担当に扮しています。酔っぱらいの老人(⇦ 本当はサンタ)と関わっているうちに、少しずつ心変わりしてゆく演技が素晴らしい!
モーリン・オハラの息を飲むような美しさと、繊細な演技。クリスマス映画としてもおすすめ。心が温かくなれる名作です。