「ずっと3人でいられる気がしてたんだよね。遅刻して功介に怒られて、球取れなくて千昭になめられて・・・」
高校生のさわやかな青春を描き、高い評価を受けたSFアニメ『時をかける少女』がテレビ放送されます。
この記事では、『時をかける少女』の簡単なストーリーと登場人物をご紹介。
また、本作が「泣ける名作」となったのは、脚本家の功績もあります。普段はフォーカスされないシナリオの上手さにも言及します。
※なお、極力ネタバレは避けます。
- アニメ映画『時をかける少女』地上波テレビ放送(2022)はいつ? 監督は誰?
- 『時をかける少女』(アニメ)簡単なあらすじ【ネタバレなし】
- “魔女おばさん”の芳山 和子とは?『時をかける少女』登場人物&声優
- 【考察】“泣ける名作”になったのは、脚本家のおかげ?「性格設定」と「省略」が上手すぎる!
アニメ映画『時をかける少女』地上波テレビ放送(2022)はいつ? 監督は誰?
『時をかける少女』は2006年のアニメ映画。
時間を飛びこえる“タイムリープ”の能力を得た女の子が、かけがえのないものに気付くSFです。
アニメ映画『時をかける少女』概要 | |
---|---|
英語タイトル | The Girl Who Leapt Through Time |
制作会社 | マッドハウス |
ジャンル | SF |
上映時間 | 98分 |
監督 | 細田守(『バケモノの子』『竜とそばかすの姫』) |
原作 | 筒井康隆『時をかける少女』 |
脚本 | 奥寺佐渡子(映画『八日目の蝉』) |
声の出演 | 仲里依紗、石田卓也、板倉光隆、原沙知絵 |
監督は、『サマーウォーズ』が国内外で高く評価された細田 守(ほそだ まもる)さんです。
アニメ映画『時をかける少女』の地上波テレビ放送は、2022年7月1日(金)。日本テレビ系列『金曜ロードショー』にて。
21:00 ~ 22:54
🌻発表🌻
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) June 2, 2022
2週連続 細田守監督作
7月1日🌞本編ノーカット
「#時をかける少女」
ひと夏の素敵で不思議な物語
7月8日🌞本編ノーカット
「#竜とそばかすの姫」
昨年公開の大ヒット作
早くも地上波初放送 pic.twitter.com/1cSYI4KmyH
原作は、筒井 康隆(つつい やすたか)さんの同名小説。1983年に製作された実写版『時をかける少女』は、“青春映画の名作”として愛され続けています。
『時をかける少女』(アニメ)簡単なあらすじ【ネタバレなし】
商店街で巻き戻る時間!“タイムリープ”で過去に戻った?
高校2年生の真琴(声:仲 里依紗)は、クラスメートの男子・千昭(声:石田卓也)や功介(声:板倉光隆)となかよし。放課後になると、3人でキャッチボールするのが日課でした。
7月13日。
理科準備室に立ちよった真琴は、“誰かがいる気配”を感じます。そのとき、空に浮いているような不思議な感覚になった真琴は、室内でころんでいました。
体験したことを千昭や功介に話しても、笑われます。
放課後。
自転車で踏み切りの前までやってきた真琴は、ブレーキが壊れていることに気づきます。しかし、すでに下り坂の途中でスピードを落とせず、真琴は踏み切りに突っこんでしまいます。
ところが!
気づくと、真琴は坂の途中。商店街の大時計の針も、少しだけ戻っています。
この映画の舞台は倉野瀬という架空の街です。商店街の坂道は新宿区・中井付近を参考にしているそうですよ。細田監督いわく「中井は坂がきれいな街で、前から目を付けていたんですよ」とのことです。「時をかける少女」放送中! #時かけ pic.twitter.com/AhQXlO2CnK
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真琴はおばの芳山 和子(声:原沙知絵)をたずね、いま体験したことを話します。すると和子から、
「“タイムリープ”で時間を飛びこえて、過去に戻ったのよ。真琴ぐらいの年の子には、よくあることね」
と、言われます。
和子おばさん、ほんとに魔女ですーーーー(・_・; 「時をかける少女」放送中ですーーーー☆ #時かけ #細田守 #kinro pic.twitter.com/nF1hzh1ZSr
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告白しないで!友だち関係を壊したくないから、タイムリープ?
半信半疑だった真琴ですが、過去に戻る“タイムリープ”を試してみます。
- プリンを何度も食べる
- 問題を知ってからテストを解いて、好成績を上げる
- 調理実習で天ぷら油が燃えあがると知って、別の生徒に場所変わってもらう
真琴はちょっとした欲望のため、トラブルを事前に避けるため、“タイムリープ”の能力を使うようになります。
おばの和子は、真琴にこんな忠告をします。
「真琴がいいめを見ているぶん、誰かが悪いめを見ているかもしれないよ」
実際、真琴がトラブルを避けたぶん、不幸が他の人にふりかかるようになっていました。
そんなある日のこと。
巧介が、ボランティア部の後輩の女の子から告白されます。
その日の夕方。真琴は千昭と二人で帰ります。
真琴が
「ずっと3人(=真琴と千昭と巧介)でいられる気がしてたんだよね」
とつぶやくと、千昭は何を思ったか、
「真琴、オレと・・・付き合えば?」
と、告白してきます。
“3人の友だち関係を壊したくない”
そう思った真琴は、千昭が告白しそうになる度に過去に戻って、告白を避けるようになりますが・・・
“魔女おばさん”の芳山 和子とは?『時をかける少女』登場人物&声優
紺野 真琴(こんの まこと)
声:仲 里依紗(なか りいさ)
真琴「今日がもし…いつもの日だったら、何の問題もなかったはず。でも~忘れていた~~。今日が最悪の日だってことを~~」「時をかける少女」放送中! #時かけ #細田守 #kinro pic.twitter.com/N6f1vV53XW
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東京の下町にすむ女子高生。2年生。おっちょこちょいで不器用(⇦ 本人は否定している)。
時間を飛びこえる“タイムリープ”の能力を使えるようになる。
間宮 千昭(まみや ちあき)
声:石田 卓也(いしだ たくや)
千昭「わっかんねェ!」 細田守監督の名作「時をかける少女」放送中ですー☆ #千昭 #真琴 pic.twitter.com/yZPMVGLtXB
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真琴の男友だち。高2の春に転入してきたばかり。髪の色が明るい。野球が大好き。
真琴のクラスメート・友梨から好かれている。
津田 功介(つだ こうすけ)
声:板倉 光隆(いたくら みつたか)
真琴の男友だち。メガネをかけている。実家は病院で、功介も医学部をめざしている。
ボランティア部の後輩・果穂から告白される。
芳山 和子(よしやま かずこ)
声:原 沙知絵(はら さちえ)
「待ち合わせに遅れてき来た人がいたら、走って迎えに行くのがあなたでしょ?」
— スタジオ地図 (@studio_chizu) February 1, 2021
筒井康隆氏の原作の20年後を描いた本作で、「待つつもりはなかったけど、こんなに時間が経っちゃった」という原作の主人公・“魔女おばさん”こと和子が、真琴に贈った言葉。
Time waits for no one.#時をかける少女 pic.twitter.com/71mEOYj8DU
真琴のおば。美術館で、絵の修復をしている。真琴からは“魔女おばさん”と呼ばれている。
原作や実写映画『時をかける少女』(1984)のヒロインと同じ名前。その言動から、和子自身も“タイムリープ経験者”であることが伺える。
関連:大林宣彦版『時をかける少女』を視聴するには?作品を楽しむポイントは?
【時をかける少女 人物の相関図】
早川 友梨(はやかわ ゆり)
真琴と仲のよい女友だち。千昭のことが好き。
高瀬 宋次郎(たかせ そうじろう)
真琴のクラスメート。真琴の“身代わり”で調理実習で天ぷらを揚げたのがきっかけで、いじめを受けてしまう。
藤谷 果穂(ふじたに かほ)
声:谷村 美月(たにむら みづき)
一学年下で、引っ込み思案な女の子。ボランティア部で、功介のことが好き。
紺野 美雪(こんの みゆき)
声:関戸 優希(せきど ゆき)
真琴の妹。姉のプリンを食べてしまったことを気にしている。
【考察】“泣ける名作”になったのは、脚本家のおかげ?「性格設定」と「省略」が上手すぎる!
アニメ版『時をかける少女』には、過去の映画版・ドラマ版と比べても、「泣ける」「名作だ!」という声が寄せられています。
「泣ける」という感想は、“真琴の気持ちに寄りそえた”人が多かったから。感情移入できないと、そんな感想は出ません
でも、「回想」とか「過去と現在を行ったり来たり」とか、時制を飛ばすような演出はホントは難しいんです。
なぜなら、感情移入がいったんリセットされてしまうから、です。
【観客の感情移入と、時制のジャンプ】
「このキャラクター、好きだな」「この子の望みがかなってほしい」
観客がそんな思いでストーリーを追っていても、「回想」や「過去と現在を行ったり来たり」するシーンが挟まれると・・・観客の感情は、いったん途切れてしまいます。
“場所”や“登場人物”が変わると、現実に引き戻されるからです。
ハリウッド映画がほとんど「回想」を使わないのは、このメカニズムを知っているから
でも、『時をかける少女』は、真琴が何回も“時間を飛びこえる”物語。本来なら、感情移入させるのが難しい物語構造なんです。
そこで、アニメ版『時をかける少女』では、原作から「性格設定」を変えています。
・アニメ版の紺野真琴は、“能動的”な主人公。誰かれ構わず話しかけ、おっちょこちょいで時間にルーズ。目に見える欠点があります。
脚本📖を読んで、「今(『時をかける少女🏃🏻♀️』を)作るのであれば、こういう作り方であろう、と思いました」という筒井康隆🖋さん。新しい時代のヒロインは、原作よりも行動的🧗🏻♀️でなければいけない、と感じたんですってー😃 #kinro #時をかける少女 #細田守 pic.twitter.com/wI2HCS2ZIY
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) July 20, 2018
真琴は“時間を飛びこえる”能力を得たあと、妹に取られたプリンを食べるため、前日(7月12日)にタイムリープします。
(⇦ このシーンに時間を使っているのは、“能力の説明”をするため)
真琴は、その後も何回もタイムリープ能力を使います。ただし、過去に戻って能力を使う場面はできるだけ省略しています。
ここで生きてくるのが、真琴の「わかりやすい欠点」です。
・運動オンチ ⇨ (能力を使った?)⇨ 野球のボールをとる
・テスト中に寝てしまいがち ⇨ (能力を使った?)⇨ いい点をとる
“真琴のビフォーアフター”が明確なので、いちいち過去に戻る場面を見せなくても、タイムリープしたことがわかります。
時制ジャンプを「省略」することで、観客の“真琴を応援したい気持ち”が途切れずに済みます。テンポもよくなります。
原作者の筒井康隆さんも認める、シナリオの上手さ!
「時をかける少女🏃🏻♀️」は筒井康隆🖋さんが1965年に発表した小説📖です。これまでに何度も映像化🎞されてきましたが、筒井さんは初のアニメ化となるこの作品を「初めての、本当の意味での2代目」だとおっしゃっています😊 #kinro #時をかける少女 #細田守 #筒井康隆 pic.twitter.com/qlApIKO9fl
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) July 20, 2018
アニメ版『時をかける少女』の脚本を書いたのは、奥寺 佐渡子(おくでら さとこ)さん。「タイムリープ系」「回想シーン」を書かせたら、日本でも屈指の脚本家です。
- 映画『八日目の蝉』(2011)・・・女の子を誘拐し、逃亡する女の“疑似親子”の話。
- 映画『望み』(2020)・・・自分の息子は加害者か?被害者か? 回想シーンの組み換えで、サスペンスを生む。
- ドラマ『リバース』(2017)・・・湊かなえ原作。1/3は回想シーン。
特に、映画版『八日目の蝉』はすばらしい。回想シーンを何度も入れているのに、永作博美さん演じる“誘拐犯”への感情移入が途切れません。
過去と現在が入り組んでいるので、集中力が必要ですが、映画のシナリオに興味がある人はぜひ見てほしい。ホントに上手い!