※この記事は、2021年10月に更新しました。
涙なしには見れないイタリア映画の名作、『ニュー・シネマ・パラダイス』。
2021年の年末に地上波放送されて話題となったこの映画が、BSシネマでテレビ放送されます。
この記事では、『ニュー・シネマ・パラダイス』の概要とあらすじをご紹介。
また、本作には<インターナショナル版>と<完全版>の2つのバージョンがあり、今回テレビ放送されるのは<インターナショナル版>です。 <完全版>とどこが違うのかについても、解説します。
※なお、なるべくネタバレはしません。
- 『ニュー・シネマ・パラダイス』のNHKでのテレビ放送はいつ?
- 映画におけるレターボックスサイズとは何?
- 映画『ニュー・シネマ・パラダイス』あらすじ【ネタバレなし】
- <インターナショナル版>と<完全版>の違いとは?
『ニュー・シネマ・パラダイス』のNHKでのテレビ放送はいつ?
イタリア映画『ニュー・シネマ・パラダイス』のテレビ放送は、2021年11月25日(木)。NHKのBSプレミアムにて。
13:00 ~ 15:04
映画『ニュー・シネマ・パラダイス』 | |
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原題 | Nuovo Cinema Paradiso |
製作年 | 1988年 |
製作国 | イタリア、フランス |
ジャンル | 人間ドラマ |
上映時間 | インターナショナル版:124分、完全版:174分 |
監督 | ジュゼッペ・トルナトーレ |
脚本 | ジュゼッペ・トルナトーレ |
音楽 | エンニオ・モリコーネ |
出演 | フィリップ・ノワレ、サルヴァトーレ・カシオ(子役) |
『ニュー・シネマ・パラダイス』は、主人公・サルバトーレの半生を描いた人間ドラマ。映画監督として成功した中年期を現在として、映画に魅せられた少年時代・青年期をノスタルジックに回想してゆきます。
数多くの映画音楽を手がけてきたエンニオ・モリコーネの切ない旋律も、胸を打ちます。
今回テレビ放送されるのは、内容的には124分の<インターナショナル版>です。
- 中年期のサルバトーレ・・・映画監督として成功したあと、故郷の村へ帰る
- 少年時代のサルバトーレ(回想①)・・・映写技師アルフレードとの交流
- 青年期のサルバトーレ(回想②)・・・初恋の相手・エレナとの燃えるような恋
このバージョンは特に少年時代に重きがおかれ、さびれた村の映画館を舞台に、人懐っこい少年と中年の映写技師の心の交流が描かれます。
映画におけるレターボックスサイズとは何?
NHKのBSプレミアムの公式サイトには、<レターボックスサイズ>という記載があります。これは、どういう意味でしょうか?
これは、作品の内容ではなくて、画面サイズに関する記載です。劇場用映画の画面サイズの比率(アスペクト比)は、16:9 です。これに対して、家庭用テレビのサイズ比率は、4:3 。劇場版のほうが、横長です。
横長の端っこの部分までテレビで映すために、あまった上下に黒い横帯が入る状態が「レターボックス」です。
これに対して、テレビ画面いっぱいに映像をうつせるように、4:3の比率に収まらない部分をカットしたものが「スタンダードサイズ」となります。
(通常のテレビ放送は、「スタンダードサイズ」を採用しています。つまり、テレビで放送される映画のほとんどは端っこがカットされており、劇場版とは違う映像が流れていることになります)
映画『ニュー・シネマ・パラダイス』あらすじ【ネタバレなし】
父のように慕い、親友のように接してくれた映写技師の訃報
ローマに住むサルバトーレ(愛称:トト)は、いまは映画監督として成功しています。彼のもとに、故郷の母から電話がかかってきます。
「アルフレードが亡くなったの」
アルフレードとは、サルバトーレが故郷の村にいた頃、父のように慕っていた映写技師です。サルバトーレはベッドの中で少年時代を思い出します・・・
第二次大戦後のイタリアのさびれた村。唯一の娯楽は映画だった!
・・・第二次大戦が終わってまもなくの、イタリア。
シチリア島にある小さな村では、教会の横にある映画館【パラダイス座】が唯一の娯楽施設でした。村民はこの映画館で、笑い、泣き、そしてラブシーンに興奮していたのです。
母と妹と暮らす少年・サルバトーレにとって、映画館はかっこうの遊び場所。サルバトーレは毎日のように映写室に潜りこんでは、映写技師のアルフレードに怒られていました。アルフレードは叱りながらも、人懐っこいサルバトーレが可愛くて仕方ありません。
やがてサルバトーレは見よう見まねで映写機の操作を覚え、アルフレードの仕事を手伝うようになります。
ところが、サルバトーレが青年へと成長した、ある日のこと。
映画の上映中、可燃性のフィルムが発火してしまいます。映写室にいたアルフレードは大火事に巻きこまれてしまい・・・
<インターナショナル版>と<完全版>の違いとは?
映画『ニュー・シネマ・パラダイス』には、世界各国の劇場で公開されたバージョンの<インターナショナル版>(124分)と、それより50分ほど長い<完全版>(174分)があります。
(厳密にいうと、母国イタリアで劇場公開されたときの<オリジナル版>(155分)もありますが、このバージョンは日本では出回っていません)
- インターナショナル版(124分)・・・各国の劇場で公開されたバージョン
- 完全版(174分)・・・いわゆるディレクターズカット版
- オリジナル版(155分)・・・イタリアで上映されたときのバージョン
この作品のエンディングでは、どのバージョンでも主人公サルバトーレの半生がダイジェストで流れます。ところが、<インターナショナル版>では見覚えのないシーンが含まれています。これが、カットされている部分。
では、<完全版>ではどこがつけ足されているかというと、主にサルバトーレの恋のてん末です。
サルバトーレは、青年期にエレナという美しい女性と出会います。エレナにひと目ぼれしたサルバトーレが、彼女に猛アタックするのが青年期の大きなトピックとなります。<完全版>では、二人の恋愛のその後に、多くの時間が割かれます。
また、<インターナショナル版>では、サルバトーレと家族のやりとりは殆ど描かれません。
このため、子供時代に厳しかった母マリアには、冷たい印象を抱いてしまいます。<完全版>では母の秘められた優しさも描かれ、私はこれを知ったとき、涙が止まりませんでした。
完全オリジナル版には、日本語吹き替え音声も追加されています。
<インターナショナル版>を観たあとに<完全版>を観ると、びっくりするほど印象が変わってきます。
- <インターナショナル版>は、サルバトーレと映写技師アルフレードとの年の離れた友情。
- <完全版>は、サルバトーレと初恋の相手・エレナとの大・大・大恋愛。
まるっきり別の映画。まさに編集のマジック!!