※この記事は、2022年2月に更新しました。
絵が気持ち悪くて、内容も怖い! そんなトラウマ級のインパクトを残すアニメ映画『ファンタスティック・プラネット』が、NHKのBSでテレビ放送されます。
この記事では、世界のクリエーターに影響を与えた独創的な世界観を考察してゆきます。
- 『ファンタスティック・プラネット』テレビ放送(2022)はいつ? タイトルの意味は?
- トラウマ級?映画『ファンタスティック・プラネット』あらすじ【ネタバレなし】
- 考察:人間よ、犬やゴキブリの気持ちにもなってみろ!
- 幻の短編『かたつむり』も!『ファンタスティック・プラネット』のDVDやブルーレイはある?
『ファンタスティック・プラネット』テレビ放送(2022)はいつ? タイトルの意味は?
『ファンタスティック・プラネット』は1973年のフランス・チェコスロバキアの合作映画。巨大なドラーグ族が支配する惑星で、ペットや害虫のように扱われていた人間たちが反乱を起こすSFアニメです。
映画『ファンタスティック・プラネット』 | |
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原題 | La Planète sauvage |
製作 | 1973年 |
製作国 | チェコスロバキア、フランス |
上映時間 | 72分 |
監督 | ルネ・ラルー(『時の支配者』) |
原作 | ステファン・ウル『オム族がいっぱい』 |
脚本 | ローラン・トポール、ルネ・ラルー |
作画 | ローラン・トポール |
24:30 ~ 25:43
原題は【 La Planète sauvage 】。フランス語で、「野生の惑星、未開の惑星」を意味します。
トラウマ級?映画『ファンタスティック・プラネット』あらすじ【ネタバレなし】
惑星イガムでは、水色のボディに赤い目をした巨人・ドラーグ族が支配していました。小さな人類・オム族は、ペットのように飼われたり、害虫のように駆除されたりしていました。
ある日のこと。
巨人・ドラーグ族の不良たちがオム族の母親にイタズラをして、母親は赤ん坊を残して死んでしまいます。赤ん坊は、通りがかったドラーグ族の女の子・ティバに拾われます。
赤ん坊は「テール」と名付けられ、ティバのペットとして育てられます。テールは首輪をつけられ、いっさい自由がありません。
ドラーグ族の教育は、「レシーバー」という受信機を用いて行われ、脳波に学習内容を送りこみます。ティバは勉強のとき、いつもテールを手のひらに乗せていたので、テールも惑星イガムの歴史やドラーグ族の生態について学んでゆきます。
さて、成長したテールは、大人顔負けの知能を身に付けていました。
ペットとして生きることに疑問を感じたテールは「レシーバー」を持ち出し、ドラーグ族の住居から脱走します。
外の世界には見たこともない生物がいて、テールは死にかけます。テールを助けたのが、野生のオム族の女性でした。テールは彼女に連れられ、オム族の集落に案内されます。
やがて、テールの持ってきた「レシーバー」を使い、オム族の住人たちも知恵を身につけてゆきます。
巨人・ドラーグ族が「人間狩り」と称してオム族の絶滅計画を立てている、と知ったテールたちは反乱をくわだて・・・
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考察:人間よ、犬やゴキブリの気持ちにもなってみろ!
とにかく絵が気持ち悪くて、シュール。意味不明な描写の連続で、見るのをやめたくなってきます。
しかし、ストーリーの骨格はシンプル。支配される側の反逆を描いています。しかも、実は普遍的なテーマを突きつけています。
- テールの自由を奪う首輪(人間に飼われている犬のように)
- 巨人・ドラーグ族にペチャンコにされるオム族(人間に踏みつぶされるアリのように)
- バルサンのような駆除剤で命を奪われるオム族(人間に駆除されるゴキブリのように)
人間はたまたま“生物界の頂点”に君臨しているけれど、人間よりカラダが大きく、知能も上回る動物がいたらどうだろう?
人間に自由を奪われる犬やインコ、むやみに命を奪われるアリやゴキブリはどんな気持ちか、考えたことある?
こんな疑問を投げかけてきます。
SF映画の名作『猿の惑星』(1968年)とテーマが似ています。『猿の惑星』の原作者ピエール・ブールは、フランスの小説家。
『ファンタスティック・プラネット』の原作『オム族がいっぱい』を書いたステファン・ウルも、やはりフランスの作家です。
幻の短編『かたつむり』も!『ファンタスティック・プラネット』のDVDやブルーレイはある?
一度みたら忘れられない絵を描いたのは、フランスの画家ローラン・トポールです。本作がカルト映画化したのは、彼の独特な絵柄が大きいでしょう。
『ファンタスティック・プラネット』の魅力にハマった人は、同じルネ・ラルー監督&ローラン・トポール作画による映画『かたつむり』もおすすめ。カタツムリが巨大化して人間たちを襲うという、奇想天外な物語です。
わずか11分の短編で、『ファンタスティック・プラネット』のDVDに収録されています(⇦ 2016年に角川から発売されているバージョン)。
また、2013年に角川書店から発売されているブルーレイにも、短編『かたつむり』が収録されています。
のっそりしたカタツムリが巨大化して人を襲うとは・・・発想がスゴい!!