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カルト映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』解説!なにがスゴいのか?動画の配信はどこ?

カルト映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』解説!なにがスゴいのか?動画の配信はどこ?

1986年に公開されたゲオルギー・ダネリヤ監督の『不思議惑星キン・ザ・ザ』。“カルト映画”というと必ず名前の上がる、ソビエト連邦の不条理なSFコメディです。

この記事では、『不思議惑星キン・ザ・ザ』のあらすじ、動画を視聴できる配信サイトをご紹介。さらに、なぜ“カルト映画”と言われるのか、その理由について考察したいと思います。

 

英語の題名は? 原作は?カルト映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』概要

 『不思議惑星キン・ザ・ザ』は1986年のソビエト連邦の映画。空間転移装置によって砂漠の惑星に飛ばされた建築技師と学生が、地球に戻ろうと奮闘するSFコメディです。 

映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』
原題 Кин-дза-дза!(英語タイトル:『Kin-dza-dza!』)
製作 1986年
製作国 ソビエト連邦
ジャンル SFコメディ
上映時間 135分
監督 ゲオルギー・ダネリヤ
脚本 ゲオルギー・ダネリヤ、レヴァズ・ガブリアゼ
出演 スタニスラフ・リュブシン、レヴァン・ガブリアゼ、エフゲニー・レオーノフ

 日本では1991年に初めて公開された後、2001年と2016年にもリバイバル上映され、2021年5月にも劇場公開される予定です。

原作はなく、監督のゲオルギー・ダネリヤらのオリジナル脚本となっています。

合言葉は「クー!」『不思議惑星キン・ザ・ザ』あらすじ【ネタバレなし】

1980年代の冬、モスクワ。

建築技師のマシコフは妻から買い物を頼まれ、外出します。マシコフは街中で、バイオリンを抱えた音楽大生・ゲデバンから

「あそこに自分のことを“異星人”だと名乗る男がいるんだけど・・・」

 と話しかけられます。

 

自称“異星人”の男がもつ「自動転移装置」を触ってしまったマシコフとゲデバンは、砂漠のど真ん中にワープします。なんと、そこは地球からはるか離れたキン・ザ・ザ星雲にある惑星プリュクだったのです。

 

二人が地球へ帰る手がかりを求めて歩いていると、釣り鐘型の宇宙船がやってきます。中から小汚い格好をした二人のおっさん(異星人)が出てきて、

 「クー!」

 と、しゃべります。

 

彼らの話す言葉は、「クー」と「キュー」ばかり。英語もフランス語も通じません。マシコフとゲデバンは街まで乗っけてもらおうと帽子やコートを差し出しますが、異星人は物だけもらうと宇宙船に乗って去ってしまいます。

ところが、マシコフが一服しようとマッチに火をつけた瞬間、宇宙船はUターンして戻ってきます。どうやら、プリュク星ではマッチが貴重品らしいのです。マシコフとゲデバンは宇宙船に乗せてもらい、街をめざします。

 

すると、今度はタマゴ型の宇宙船が現れます。おっさん二人の異星人は、出てきた別の異星人の前で両手を広げ、

「クー!」

と挨拶。

 

この星にはチャトル人パッツ人の2つの人種がいて、支配される側のパッツ人は権力をもつチャトル人に対して礼儀を重んじなければならないようです。

マシコフとゲデバンは惑星プリュクのルールに従いつつ、地球に戻ろうとしますが・・・

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カルト映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』解説!なにがスゴいのか?

『不思議惑星キン・ザ・ザ』成立の背景!厳しい検閲があったソビエト連邦時代

 この映画は、ペレストロイカ(=ソビエト連邦の解体に至る政治改革運動)の直前、グルジア(現在のジョージア)で製作されています。

ソビエト連邦時代、出版物は厳しい検閲にさらされていました。映画も、音楽も、美術も、共産主義体制を批判するような作品は公開できなかったのです。

監督のゲオルギー・ダネリヤはグルジア出身。グルジアは独裁者スターリンの生まれ故郷なので、共産党員の多い地域。つまり、検閲が厳しかった地方のひとつなのです。

 

物資の不足。警官の汚職。密告社会。日照権のない集合住宅。

こういった共産主義体制の矛盾が、『不思議惑星キン・ザ・ザ』では異星人の儀礼を通して“間接的”に描かれます。

検閲を逃れるために“比喩”としてオブラートに包みながら、表現されているのです。それをシュールなSFコメディでやってのけたのが、カルト映画たる理由です。

 

映画の中盤、地球のようすを聞いた異星人はこんなセリフを発します。

「地球でもそんな人種差別があるのか。きっと、能なしのウグイスがいばってるんだな」

(⇦ 檻の中に入っているべき囚人(=汚職警官)が、のさばっているという皮肉)

「クー!」や「キュー!」の意味するものとは? グルジア語衰退の危機感?

物語の中盤、惑星プリュクで使われる言葉をまとめた『簡易版 チャトル=パッツ語辞典』が登場します。

  • カーツェ・・・マッチのこと
  • ツァク・・・鼻につける鈴
  • エツィフ・・・囚人の入る箱
  • エツィロップ・・・特権階級(⇦ 警察官【police】を逆から読むと・・・)
  • ペペラッソ・・・宇宙船
  • ラピツァード・・・モーター部
  • キュー・・・相手をののしる言葉
  • クー・・・残りの言葉全部

実際には、ほとんどが「クー」という言葉だけで足りるようになっています。極端に言葉が少ないのは、何かのメタファーでしょうか?

 

ひとつは、権力に対して反論が許されないことを象徴している、という説。市民が為政者や警官に対して、口答えできないことを表しているという解釈です。

 

もうひとつは、グルジア語衰退に対する危機感、という説。

ソビエト連邦の各地域では、共通語のロシア語とは別に、タタール語、ウズベク語、グルジア語、アルメニア語など、民族固有の言語が使われていました。

ところが1938年から、ソビエト連邦では、段階的にロシア語拡充政策がとられます。就職にしろ論文を書くにしろ、母国語よりもロシア語が優位になりつつあったのです。

グルジアでも1978年、「グルジア語=国家語」と定める規定が削除され、ロシア語を格上げする法案が通りそうになりました。

この案は反対デモが起こったため撤回されましたが、グルジア出身のダネリヤ監督は、民族のアイデンティティが奪われてゆく危機感を感じたはずです。

 

「クー!」という言葉で事足りるということは、裏返せば“豊かな言語表現ができなくなっている”ということ。これは、多種多様な民族の言葉を奪おうとする共産党員たちへの抗議なのではないでしょうか?

 

 

「クー!」

実は、日本のジュース界にも、『不思議惑星キン・ザ・ザ』の熱狂的ファンがいた? 

 ・・・なんて事はないようです。「Qoo(クー)」の名前の由来は、大人がビールを飲んだ後に発する「クーッ!」という言葉からイメージしたものだそうです。

 Amazonプライム? ネットフリックス?『不思議惑星キン・ザ・ザ』動画の配信は?

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