ロマンティック・コメディの名作『ローマの休日』は、今もなお映画ファンに愛され続けています。しかし、脚本の構成を調べると、これはただの恋愛映画ではないことがわかります。
この記事では、不朽の名作『ローマの休日』が伝えたかったことをシナリオ面から解説。また、日本語吹き替え版のDVDについてもご紹介します。
『ローマの休日』NHK-BSでのテレビ放送(2023)はいつ?主演女優は誰?
『ローマの休日』は1953年のアメリカ映画。公務にうんざりして逃げ出した王女と新聞記者の、たった1日の恋模様を描いています。
映画『ローマの休日』 | |
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原題 | Roman Holiday |
製作国 | アメリカ |
公開年 | 1953年 |
上映時間 | 118分 |
監督 | ウィリアム・ワイラー(『ベン・ハー』『おしゃれ泥棒』) |
脚本 | ダルトン・トランボ(『ジョニーは戦場へ行った』『スパルタカス』) |
出演 | オードリー・ヘップバーン、グレゴリー・ペック、エディ・アルバート |
主演女優はオードリー・ヘップバーン。絶大な人気を誇り、“ファッションアイコン”としても親しまれました。
Name a more iconic holiday? We'll wait... 🛵
— Cineplex (@CineplexMovies) March 22, 2023
The beloved film Roman Holiday starring Audrey Hepburn and Gregory Peck is coming back to the big screen this week! Gelato not included.
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13:00 ~ 14:59
字幕スーパーでの放送となります。
関連:『ローマの休日』ヘップバーンの声は胡蝶しのぶ?池田昌子さんの吹き替えを聴くには?
『ローマの休日』日本語吹き替え版のDVDはある?
『ローマの休日』吹き替え版のDVDをお探しながら、500円のような廉価版のDVDはおすすめしません。これらは「パブリックドメインDVD」といって、著作権が切れた作品を版権元の許諾なく製造しているからです。
吹き替えも、なじみのない【アン王女:岡村朋美、ジョー:てらそままさき】というのがネックです。
映画ファンが親しんできた【アン王女:池田昌子、ジョー:城 達也】の吹き替えで楽しみたかったら、パラマントから出ている商品がおすすめです。
※ここから先は、ややネタバレになる怖れがあります。映画をご覧になってからお読みください。
【ただの恋愛映画じゃない?】『ローマの休日』が伝えたいこととは?
原題の【Roman Holiday】の本当の意味とは?
『ローマの休日』の原題は、【 Roman Holiday 】。これは慣用句で、「他人を犠牲にして得られるお楽しみ」といった意味があります。
古代ローマではコロッセウム(=円形の闘技場)で、剣闘士どうしに殺し合いをさせる余興がありました。そこから派生した言葉です。
映画の序盤、22分17秒。
タクシーに乗せられたアン王女は、ジョーから住所を聞かれ、
「コロッセウム・・・コロッセウム」
と発言するシーンがあります。
(⇦ 原題の伏線回収になっている!)
メインプロットは、アンが“王女として自覚を持つ”成長譚?
主人公のアンは某国の王女で、戦後のヨーロッパをまわり、各地を慰問する役目を与えられています。しかし、アン王女は公務に嫌気がさして、大使館から逃げ出してしまいます。
新聞記者のジョーとローマ市内を観光するうち、アン王女は「祈りの壁」という場所を訪れます。戦時中、子ども連れの男が空襲に遭い、家族の無事を祈って壁に板をかけました。それ以来、平和の願いをこめた板がかけられるようになった場所です。
アンは、戦争の傷跡が残るヨーロッパ各地を慰問していたことに、意味があったと学びます。王族である自分には、人々をなぐさめ、元気づける力があるのだと。
公務をすっぽかして「自分の楽しみ」のためだけに行動していたアンは、王女としての本分(=戦後復興のために力添えすること)に目覚めてゆくのです。
このアン王女の成長こそが、『ローマの休日』のストーリーの骨格です。背景には、“欧州連合の創設”という平和への願いがこめられています。
映画のラスト。レポーターから“国家間の友好”について意見を求められたアン王女は、次のように答えています。
「個人の関係が守られるのと同様に、(国家間の友情も)守られると信じています!」
『ローマの休日』のシナリオを書いたのは、ダルトン・トランボ。『ジョニーは戦場へ行った』『パピョン』などを執筆した名脚本家ですが、労働組合に入っていたことから、「赤狩り」の標的となりました。
(⇦ 戦争に反対するだけで“売国奴”と決めつけ、弾圧する風潮があった)
ハリウッドから干されかけ、議会から証言を求められても決して“仲間を売らなかった”トランボ。スクープをあきらめ、アン王女の秘密を守ったジョーに通ずるものがあります。
“自分の幸せだけを求めるのではなく、みんなの幸せを”
『ローマの休日』が私たちの心を揺さぶるのは、アンやジョーが自分の欲望より“品位ある行動”を選択したところにあるのでしょう。
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映画『オールウェイズ』は、2023年4月27日(木)にBSで放送されます。