綾野剛&星野源W主演のドラマ『MIU404』が大詰めを迎えています。この記事では、第10話に登場した「バタフライ効果」「404 not found」「メフィストフェレス」の3つの要素にしぼって考察します。
なお、ネタバレを含みますので、第10話をご覧になってからお読みください。
関連:なお、最終話の考察もしています。
バタフライ効果が示すものは?
第10話の冒頭。久住が、道にとまっているアゲハチョウを掴み損ねるシーンがあります。
『バタフライ効果』という言葉があります。これは、「蝶の羽のはばたき」という小さな小さな振動が、風や波などさまざまな現象と影響し合って、やがて大きな竜巻を生んでしまうかもれない、という理論です。
『MIU404』第10話でいえば、SNSで発信された個人の小さなツイートが影響し合って、
- 警察は、闇を隠している
- 桔梗は、幹部と寝て出世した
事実がねじ曲げられて拡散されてゆきます。
ひとつひとつは、蝶の羽根のはばたき程度のツイートだけれど、それがまとまると巨大な悪意のかたまりとなってしまう・・・なんか、スイミーと似てる気がするなぁ。
ちなみに、バタフライ効果をそのまま物語にしてしまった映画があります。『バタフライ・エフェクト』(2004年)です。過去に戻り、誰かを救おうとするたびに、必ず別の誰かが不幸になってしまうというお話。
「404 not found 」の意味とは?
「 404not found」とは、存在しないエラーページのことです。
- ULRを間違えて入力してしまった
- すでに消去されたページを表示しようとしている
こんなときに、「 404not found」ページが表示されます。ホームページを見たとき、たまにお目にかかる「 お探しのページは見つかりませんでした」ってやつです。
(⇦ アクセスが集中してサーバーに負荷がかかったりして、開けないページのことは「503エラー」ページと呼びます)
『MIU404』第10話では、久住を「存在しない人間」と位置付けています。「404not found」ページは、「透明人間のような存在」の比喩だと思われます。
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— 【公式】『MIU404』最終回 9月4日(金)夜10時放送! (@miu404_tbs) August 28, 2020
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伊吹から
「久住って、何者なんだよ?」
と聞かれた志摩は、
「メフィストフェレスかもな。甘い言葉で人間の魂を奪う悪魔」
と、久住のことを評しています。
メフィストフェレスは、ゲーテの戯曲『ファウスト』に登場する悪魔です。創作の世界では、道化師のような格好で、狂言回し(=物語の進行役)をつとめることもあります。
第10話では、久住は
「それやったら俺は、人間やないんかなぁ」
と発言しています。
これは、久住を悪魔・メフィストフェレスに見立てたセリフでしょう。
ゲーテの戯曲『ファウスト』では、こんなエピソードがあります。人間のファウストは、哲学、医学、法律学、神学をおさめた学者です。ところが、ファウストは気づきます、あらゆることを勉強したはずなのに、自分はなに一つ世界のことを知らなかった、ということを。
わざわざ『ファウスト』を引用したのは、どんなに捜査網やSNSを駆使しても、久住の本質には迫れない、という意味かもしれません。
ゲーテの戯曲『ファウスト』には、さらに続きがあります。・・・悪魔メフィストフェレスは、どこまで人間を堕落させることができるか、天使と賭けをします。
そしてメフィストフェレスは、ファウストを誘惑します。
「この世にいるあいだは快楽を与えてやるから、あの世に行ったら魂までオレに服従しろ!」
ファウストは、悪魔メフィストフェレスと契約を結んでしまいます。ファウストの魂はどうなってしまうのか? というのが、この戯曲の見どころとなっています。
単なる引用じゃない。むしろ、 メフィストフェレス(悪魔) vs ファウスト(人間)の対立構造ありきで、このドラマは作られているのでは?
いずれにしろ、めけめけフェレットとは、全然ちがいますので。
ドラマ『MIU404』には、脚本家・野木亜紀子の様々な“仕かけ”が施されています。名前の由来。引用される用語の意味。サイドストーリーにこめた本当の狙い。
重層的に脚本が練られているので、何度も見返したくなるドラマです。