「地下鉄を見られたの?」
「ううん。年を取っただけ」
生意気ざかりの少女から見た、大人の世界。おっかぱ頭がかわいらしいコメディ映画、『地下鉄のザジ』がテレビ放送されます。
この記事では、『地下鉄のザジ』のあらすじと、映画の見どころについて解説します。
- 『地下鉄のザジ』NHKのBSプレミアムでの放送(2023)はいつ?子役&女優はどんな人?
- 映画『地下鉄のザジ』あらすじ【おませな女の子の大冒険!キュートなコメディ映画】
- 『地下鉄のザジ』解説【原作は俗語で“権威”にたてつく&映画は表現技法への挑戦】
『地下鉄のザジ』NHKのBSプレミアムでの放送(2023)はいつ?子役&女優はどんな人?
『地下鉄のザジ』は1960年のフランス映画。
地下鉄を楽しみにパリにやってきた女の子が、大人と関わりながら騒動を巻き起こすコメディです。
映画『地下鉄のザジ』 | |
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原題 | Zazie dans le métro |
上映時間 | 93分 |
監督 | ルイ・マル(『死刑台のエレベーター』『鬼火』) |
原作 | レーモン・クノー『地下鉄のザジ』 |
音楽 | フィオレンツォ・カルピ |
出演 |
カトリーヌ・ドモンジョ、フィリップ・ノワレ、カルラ・マルリエ |
13:00 ~ 14:33
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10歳の女の子・ザジを演じたのは、カトリーヌ・ドモンジョ。本作でデビューし、ゴダール監督の『女は女である』でも、ザジ役で特別出演しています。
ZAZIE DANS LE MÉTRO (1960), Louis Malle. pic.twitter.com/8JRPe51gY7
— MUBI France (@mubifrance) April 23, 2022
また、若く美しい叔母さん・アルベルティーヌを演じたのは、カルラ・マルリエです。サスペンス映画の傑作『地下室のメロディー』では、アラン・ドロンの恋人役でした。
Style Icon: Mr Alain Delon, seen here on the set of 'Any Number Can Win' with Ms Carla Marlier in 1963 #MRPORTER pic.twitter.com/HdVhtPc4el
— MR PORTER (@MRPORTERLIVE) May 25, 2014
映画『地下鉄のザジ』あらすじ【おませな女の子の大冒険!キュートなコメディ映画】
10歳の少女・ザジ(カトリーヌ・ドモンジョ)は、母と一緒にパリにやってきます。母は恋人とどこかへ行き、ガブリエル叔父さん(フィリップ・ノワレ)がザジの面倒をみてくれます。
ガブリエル叔父さんの本業は、ナイトクラブの芸人。ザジは、酒場の部屋に2日間だけ泊めてもらうことに。叔父さんの若い妻・アルベルティーヌ(カルラ・マルリエ)も、快く迎えてくれます。
Louis Malle’s ZAZIE DANS LE MÉTRO opened in France 60 years ago today.
— The Daily (@CriterionDaily) October 28, 2020
“The first film I would watch over and over again.”@RichardAyoade — https://t.co/a6KYjOBkZY@criterionchannl — https://t.co/ReOo8Q9cUa pic.twitter.com/CDvVpZQADX
ザジの楽しみは、地下鉄をこの目で見ることでした。ところが、パリの地下鉄はストライキ中で、門が閉まっています。乗り場にやってきたザジは、がっかりして泣き出してしまいます。
すると、あやしい男(ヴィットリオ・カプリオーリ)が声をかけてきます。ザジはその男とパリの街を探索します。ノミの市を見に行ったり、レストランに入ったり・・・
さて、ザジが部屋に戻ってくると、ガブリエル叔父さんが待っていました。叔父さんはザジを連れ、エッフェル塔の観光に出かけますが・・・
『地下鉄のザジ』解説【原作は俗語で“権威”にたてつく&映画は表現技法への挑戦】
『地下鉄のザジ』の原作は、フランスのレーモン・クノーによる同名小説です。
原作の『地下鉄のザジ』は、10歳の少女が発するとは思えない“俗語のオンパレード”。ナポレオンのことを「〇〇みたいな帽子をかぶった水ぶくれ」と表現したり、ガブリエル叔父さんに「ホントは同性愛者じゃないの?」と詰め寄ったり・・・
警官や高貴な婦人をこき下ろす場面もあり、“権威への挑戦”とも受け取れます。
いっぽうで、映画では卑猥(ひわい)な言葉は、原作よりも抑えめ。チャップリンを思わせるスラップスティック・コメディ(※)となっています。
(※ 叩いたり、追いかけたり・・・体を張った笑いを中心とするドタバタ劇)
また、数々の映画技法にもチャレンジしています。
- 人物だけが移動する、バラエティ番組のようなカット技法
- マンガ的な爆弾の表現
- ヘリウムを吸ったときのような、早回しの音声
- 会話の主導権が変わると、カメラも高速でパン(=水平方向に移動)
- 叔母さんにひと目ぼれした警官が、いきなりカメラ目線
これらの技法は現代ではあまり使わないため、一周まわって新鮮に感じます。
監督はルイ・マル。
Jeanne Moreau strolling through the streets of Paris to the jazz of Miles Davis in the unforgettable scene of Louis Malle's ‘Elevator to the gallows’ (1958) pic.twitter.com/HwtYsCvAPU
— Lost In Film (@LostInFilm) January 23, 2023
25歳のときに撮った『死刑台のエレベーター』(1958)で絶賛され、追いつめられた男の孤独を描いた『鬼火』(1963)も高く評価されています。
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