映画ときどき海外ドラマ

テレビ放送や動画配信など、おうちで映画を楽しむブログ

トラウマ級?アニメ映画『風が吹くとき』感想!放射能によって衰弱してゆく老夫婦の運命とは?

スポンサーリンク

トラウマ級?アニメ映画『風が吹くとき』感想!放射能によって衰弱してゆく老夫婦の運命とは?

『火垂るの墓』 なみにトラウマ級のアニメ映画があると聞き、まったく前情報なしに『風が吹くとき』という作品を鑑賞しました。

 

約25分続く後半の鬱(うつ)展開にげっそりしながらも、それ以上に作品が突きつけてくる深いメッセージに感銘を受けました。

 

アニメ映画『風が吹くとき』概要

 

『風が吹くとき』は、1986年公開のイギリスのアニメ映画。片田舎に住む老夫婦が、危険性も知らずに放射能にさらされてしまうというお話。

アニメーション映画『風が吹くとき』
原題 When the Wind Blows
製作年 1986年
上映時間 81分(1時間21分)
監督 ジミー・T・ムラカミ
原作 レイモンド・ブリッグズ
声の出演(日本語版) 森繫久彌、加藤治子

原作者は、イギリスの漫画家レイモンド・ブリッグズ。雪だるまが出てくる絵本『スノーマン』の作者です。こんな社会派の作品も描いていたとは!

 

トラウマ級?『風が吹くとき』あらすじ

 

イギリスの片田舎。老夫婦のジムとヒルダは、質素な年金生活を送っていました。しかし、ラジオからは良くないニュースが流れてきます。世界情勢は悪化し、核戦争が勃発したようです。

 

老夫婦は核ミサイルに備えて、保存食を用意し、核シェルターも準備します。といっても、二人が頼りとするのは、政府から配られたパンフレットのみ。核シェルターとは名ばかりで、布で作ったテントのようなお粗末なものでした。

 

そんなジムとヒルダの住む街に、核ミサイルが打ち込まれます。爆発の被害から免れた老夫婦ですが、放射能の立ち込める屋外へ出てしまい・・・

 

 

感想:強烈なメッセージ! 先人たちが伝えてくれた知恵に感謝!

 

『風が吹くとき』はアニメ映画ですが、ときおり実写が挿入されます。原爆映画といっても、目を背けたくなる程の描写はなく、終始ほのぼのした絵柄で進行します。

(⇦ この絵柄で放射能の恐怖を描こうとした企画力が凄い!)

 

“トラウマ映画”という評判に興味をもって鑑賞したのですが、いやいや! 正直“すごい”映画だった。突き付けてくるメッセージが深すぎて、トラウマどころか人生観が変わるぐらい感銘を受けました。

 

“情報弱者”とバカにするなかれ!いまの知識は誰のおかげ?

 

ジムとヒルダは、現代でいうところの“情報弱者”。放射能の本当の怖さを知りません。でも、それも無理もないこと。当時は、役所のパンフレットや新聞ぐらいしか情報源がなかった訳ですから。

 

  • 放射能が目に見えないものである
  • 放射能のセシウムの半減期は、30年
  • 被爆すると吐き気・嘔吐などの症状が現われ、髪が抜けたり皮膚がただれたりする

 

現代の私たちが放射能の危険性を知っているのは、たまたま本やテレビで見聞きしていたから。先人たちが知恵を残してくれたおかげです。

 

年配者や昔の人に感謝のこころを忘れがちな現代人に、強烈なメッセージを投げかけています。ばあちゃんに礼を言わなきゃ! あ、じいちゃんにも!

 

 

絶望の中に見える人間性!いたわり合う夫婦の姿に涙!

 

放射能の危険性を知らなかったジムとヒルダですが、原爆症の症状が現われ始めてからは、様子が変わってきます。

 

「あの爆撃の影響が大きすぎたんだろ」

「痔なんだよ。わしら中年の共通の悩みだ」

「泣くなよ。これは体の震えのせいだよ。車酔いと同じだ」

 

経験したことのない身体の変化に、悲観的になってゆく奥さん。そんな妻を励ます旦那さん。放射能のせいだとうすうす気づきながらも、いたわる心がせつなすぎる!

 

日本語版では、森繫久彌さんと加藤治子さんが夫婦の声を担当しています。わかりやすく言えば、『もののけ姫』の乙事主(おっとこぬし)が旦那さんで、『魔女の宅急便』のニシンのパイのおばあさんが奥さん。

 

しみじみとした二人の名演技が心に染みます。