トロント国際映画祭で話題となり、2021年度のアカデミー作品賞の呼び声も高い映画『シカゴ7裁判』の配信が始まりました。
この記事では、ネタバレなしの簡単なあらすじとキャストをご紹介します。
映画『シカゴ7裁判』概要
『シカゴ7裁判』は、2020年のドラマ映画。ベトナム戦争に対する抗議デモを企てたため、逮捕された8人の裁判の行方を描いています。
映画『シカゴ7裁判』 | |
---|---|
原題 | The Trial of the Chicago 7 |
製作国 | アメリカ |
配信開始 | 2020年 |
上映時間 | 130分 |
監督 | アラン・ソーキン |
脚本 | アラン・ソーキン |
出演 | エディ・レッドメイン、サシャ・バロン・コーエン |
動画配信サービスNetflixのオリジナル映画で、2020年10月16日より配信されています。また、10月9日より一部の劇場で限定公開されています。
They came to Chicago to end the war and started a revolution. The #TrialOfTheChicago7, written and directed by Academy Award-Winner Aaron Sorkin. In select theaters September and on @Netflix October 16. pic.twitter.com/DtK2HkAUZo
— The Trial of the Chicago 7 (@trialofchicago7) September 23, 2020
映画『シカゴ7裁判』あらすじ【ネタバレなし】
1968年。シカゴで、民主党の全国大会が開かれます。会場の近くでは、抗議活動を行なうために、ベトナム戦争に反対する市民や活動家たちが集まっていました。
平和的に行われるはずだった抗議デモは、次第にエスカレート。警官隊との間に、激しい衝突が起こってしまいます。
In 1968, Yippies, Black Panthers, students and pacifists came together with one common goal: 𝗲𝗻𝗱 𝘁𝗵𝗲 𝘄𝗮𝗿. #TrialOfTheChicago7 is on @Netflix this Friday. pic.twitter.com/pEt1yUhxy3
— The Trial of the Chicago 7 (@trialofchicago7) October 14, 2020
デモ参加者のうち、アビー・ホフマン、トーマス・ヘイデンら“8人”の男たちが起訴されます。ただし、ブラックパンサー党の委員長で唯一の黒人であるボビー・シールだけは、弁護士をつけさせてもらえません。不当な扱いを受け、異議を申し立てると猿ぐつわを付けられてしまいます。
その他の7人たちは《シカゴセブン》と呼ばれ、法廷のようすは全国に報道されるようになります。判事のジュリアス・ホフマンは、完全に検察側の味方。《シカゴセブン》は、圧倒的に不利な裁判を闘うはめになり・・・
Netflix『シカゴ7裁判』キャスト&吹き替え声優
役名、出演俳優/吹き替え声優の順番にご紹介します。
トーマス・ヘイデン
エディ・レッドメイン/平川 大輔
First track from my score to #TheTrialOfTheChicago7 just been released exclusively to @NME..
— Daniel Pemberton (@DANIELPEMBERTON) October 15, 2020
Have a listen to “Blood On The Streets” below... https://t.co/j4ivTUjIFw
民主社会学生同盟で反戦運動をしていた青年。《シカゴセブン》の中でも特におだやかで、模範的な態度で法廷に臨む。
レニー・デイヴィス
アレックス・シャープ/虎島 貴明
民主社会学生同盟のメンバー。
アビー・ホフマン
サシャ・バロン・コーエン/新垣 樽助
‘The Trial of the Chicago 7’ Review: Aaron Sorkin’s Counterculture Docudrama is a Knockout — the Rare Profound Movie about the 1960s https://t.co/JdSXjQWfNE
— Variety (@Variety) September 25, 2020
青年国際党のリーダー。警察を“ブタ”呼ばわりし、過激な抗議活動を行なっていた。
ジェリー・ルービン
ジェレミー・ストロング/上田 櫂司
アビーと行動を共にしていた青年国際党のメンバー。
ウィリアム・クンスラー
マーク・ライランス/原 康義
トーマス・ヘイデンら《シカゴ・セブン》の被告代理人。圧倒的不利な裁判に立ち向かう、魂の弁護人。
ボビー・シール
ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世/濱野 大輝
Disorder in the court. #TrialOfTheChicago7 pic.twitter.com/HGhagFGICk
— The Trial of the Chicago 7 (@trialofchicago7) October 2, 2020
民族解放運動を展開していた「ブラックパンサー党」の全国委員長。大陪審に起訴された8人のうち、唯一の黒人男性。弁護士を立てることも許されず、不当な扱いを受ける。
ジュリアス・ホフマン
フランク・ランジェラ/浦山 迅
Four hours. That’s how long Bobby Seale was in Chicago. #TrialOfTheChicago7 pic.twitter.com/gsBfb4PHmf
— The Trial of the Chicago 7 (@trialofchicago7) September 19, 2020
「シカゴ7裁判」の判事。被告人たちに厳しく、進行を妨げられると“法廷侮辱罪”を連発する。
リチャード・シュルツ
ジョセフ・ゴードン=レヴィット/川島 得愛(かわしま とくよし)
Eight defendants vs. The United States of America. #TrialOfTheChicago7 pic.twitter.com/rmJfWc5Z09
— The Trial of the Chicago 7 (@trialofchicago7) September 20, 2020
イリノイ州の連邦検事。33歳の若さで、「シカゴ7裁判」の主任検事に大抜擢された。
ラムゼイ・クラーク
マイケル・キートン/田中 正彦
ジョンソン政権下で司法長官だった人物。「シカゴ7裁判」のカギを握る重要な証言をする。
ちょこっと感想
『シカゴ7裁判』は、かなりトリッキーな構成になっています。冒頭からいきなり裁判が始まって、法的劇を中心に話は進みます。
「起訴された8人は、共同謀議で暴動を扇動したのか?」
が大きな謎となっており、法廷に呼ばれた証人が証言をするたび、事件の夜に何があったのかが少しずつ明かされてゆきます。“ミステリー仕立ての人間ドラマ”という印象。
登場人物はかなり多く、観るのに集中力を要します。
また、物語の舞台となる1969年には、民主党のジョンソン政権から共和党のニクソンへと政権が代わり、ベトナム戦争も引き継がれています。政権の交代前には閣僚が“自発的に辞める”ことが慣例となっており、この慣例をめぐる解釈が「シカゴ7裁判」の遠因となっています。
劇中、やたらと
「リベラルだ!」
「左派だ!」
という言葉が出てきます。
「民主党=リベラル」で「共和党=保守」だと知っていても、両党の違いが私たち日本人にはわかりづらいところ。多様な価値観を認め合おうとするのが民主党で、伝統を重んじるのが共和党。それなのに、ベトナム戦争を始めたのが民主党で、終わらせたのが共和党。
???
この辺りは、『民主党のアメリカ 共和党のアメリカ』という本に、民主党と共和党の思想の変遷みたいなものが詳しく載っています。
『シカゴ7裁判』では、特にどちらかの立場に肩入れはせず、“民主主義を諦めなかった男たち”という触れ込みで《シカゴセブン》を描いています。
それにしても、スピーディな会話劇がエンタメになるなんて! 監督・脚本のアーロン・ソーキンの演出力には驚かされます。
アーロン・ソーキンは脚本家としてのキャリアのほうが有名で、『ソーシャル・ネットワーク』や『マネーボール』、ドラマ『ザ・ホワイトハウス』の台本を書いています。
関連:Netflixで配信中の政治ドキュメンタリー。
政治の世界に飛びこんだ女性たちの、勇気あふれる姿を描いています。サンダンス映画祭で観客賞を受賞。