“カルト映画”という言葉があります。公開当時は散々な評価を受けながら、独特な表現・特異なキャラが受けて、熱狂的なファンを獲得する映画のことです。
今回ご紹介する『悪魔の毒々モンスター』もそんなカルト映画のひとつ。エッチでグロくてナンセンスな笑いのある、B級ホラーです。
- B級ホラー映画『悪魔の毒々モンスター』の概要
- 『悪魔の毒々モンスター』あらすじ
- カルト映画『悪魔の毒々モンスター』の魅力
- 『悪魔の毒々モンスター』シリーズが、U-NEXT(ユーネクスト)で配信される!
B級ホラー映画『悪魔の毒々モンスター』の概要
映画『悪魔の毒々モンスター』は、1984年に製作されたスプラッター・コメディ。不良グループにバカにされていた青年が、醜悪な“悪魔の毒々モンスター”に変身。ひどいやり方で復讐をはたしてゆきます。
『悪魔の毒々モンスター』 | |
---|---|
原題 | The Toxic Avenger |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1984年 |
制作会社 | トロマ・エンターテインメント |
上映時間 | 92分 |
監督 | ロイド・カウフマン |
出演 | マーク・トーグル、ミッチェル・コーエン |
全体の雰囲気は、ナンセンスなコメディ。だけど、ゾッとするようなグロ描写がところどころ登場します。制作元の「トロマ・エンターテインメント」は、B級ホラー映画をたくさん手がけている会社です。
『悪魔の毒々モンスター』あらすじ
フィットネス・ジムで働くメルヴィンは、いじめられっ子。頭が弱く、顔もブサイクな彼は、常連客の不良グループ(=男2人、女2人)から、からかわれていました。それでもメルヴィンは、おとなしくモップで床を掃除します。
ある日のこと。不良グループの女が、メルヴィンを色仕掛けで誘惑。だまされたメルヴィンは、大勢の客から笑い者にされます。
逃げるメルヴィンを追いかける不良ども。パニックになったメルヴィンは窓を突き破って、地面に落下。下にあったドラム缶に、頭ごと突っ込んでしまいます。それは、有毒な廃棄物を違法投棄していたドラム缶でした。
化学反応によって、メルヴィンの顔はみにくく変化してゆきます。胸や腕まわりの筋肉も肥大。メルヴィンは、醜悪な見た目の“悪魔の毒々モンスター”となってしまったのです。
怪物となったメルヴィンの復讐の物語が、幕をあけます・・・
カルト映画『悪魔の毒々モンスター』の魅力
この映画をみた時の第一印象は、「『ロボコップ』(1984)みたいだな」でした。悪役もけっこう残虐な行為をしますが、主人公も敵に容赦しません。まさに、“毒をもって毒を制す”。
たとえば、不良グループは道路で遊ぶ子どもを車で轢いて、さらに証拠隠滅のためにもう一度轢きます。また、足の不自由なおばあさんを杖でめった打ちして、車を盗んだりします。
いっぽうの“毒々モンスター”も、非道さでは負けていません。カフェで悪党が暴れたときは、一人の片腕をもぎとり、別の一人の腕をフライヤーで揚げてしまいます。ショッキングなグロ描写が、ちょこちょこ登場します。
そうかと思えば、“毒々モンスター”には優しい一面もあります。お年寄りの荷物を持ってあげたり、ジャムの瓶のフタを開けてあげたり・・・いじめられっ子なんだけど実はリア充で、カワイイ女の子と同棲もします。
(⇦ お前、ふざけんな~!!)
ちなみに、DVDのパッケージで“毒々モンスター”が持っているのは、斧やカマじゃなくてモップです。わかりづらいけど。基本的には素手で闘います。正義の味方だからね
!!
映画の雰囲気は、80年代の学園コメディという感じ。健康的なオッパイがたくさん出てくるし、しょーもないギャグも連発されます。エロ・ナンセンス・グロ描写が絶妙なバランスで成り立っているのが、本作がカルト映画たる理由でしょう。
『悪魔の毒々モンスター』シリーズが、U-NEXT(ユーネクスト)で配信される!
『悪魔の毒々モンスター』は知る人ぞ知るカルト映画ですが、これまで配信で見ることはできませんでした。トロマ社の映画の多くは、日本ではDVDスルーさえされていません。
動画配信サービス・U-NEXT(ユーネクスト)では、「トロマ・エンターテインメント」社と独占契約。『悪魔の毒々モンスター』シリーズをはじめとする27作品を、独占配信することが決まっています。日本ではずっと見れなかった作品もあります。
配信は2020年9月19日(土)から。
U-NEXT(ユーネクスト)で配信される『悪魔の毒々モンスター』シリーズ
- 『悪魔の毒々モンスター』(1984年)
- 『悪魔の毒々ハイスクール』(1986年)
- 『悪魔の毒々おばあちゃん』(1988年)
- 『悪魔の毒々プラトーン』(1988年)
- 『悪魔の毒々モンスター 東京へ行く』(1989年)
- 『悪魔の毒々モンスター 毒々最後の誘惑』(1989年)
- 『悪魔の毒々モンスター 新世紀絶叫バトル』(2000年)
タイトルから漂うB級感に、ニンマリが止まりません。
U-NEXTで配信されるトロマ社作品:それ以外の注目映画
- 『ダスティン・ホフマンの100万$大捜査線』(1967)・・・ダスティン・ホフマン主演のクライム・コメディ。未公開。
- 『悪魔のしたたり/ブラッドサッキング・フリークス』(1976)・・・小人たちが女性を拷問するグロ・ムービー。趣味わるっ!
- 『死神ランボー』(1986)・・・ベトナムから帰ってきた兵士が格差社会に不満を爆発させる!B級ホラー版『タクシードライバー』?
- 『サミュエル・L・ジャクソンinブラック・ヴァンパイア』(1990)・・・セクシーな女性をみて、欲望を抑えきれくなる聖職者の話。ジャクソンの登場は数分のみ。タイトル詐欺?
- 『テラー・ファーマー』(1999)・・・『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のジェームズ・ガンが脚本で参加したえぐいホラー。未公開。
トロマ社の映画は、社会問題とか人間の“業”(ごう=どうしようもない醜い部分)も描かれていて、けっこう見応えはあります。だけど、演出がひどすぎて・・・B級どころか“Z級”とネタにされる事もあります。
安っぽい演出、俳優さんの大げさな演技は当たり前。ハードルは低く設定しておきましょう。「チープだとわかってて見る」ことが大事です。