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映画『スパイの妻』NHKでテレビ放送!【わからないという人へ,序盤のストーリーを解説】

映画『スパイの妻』NHKでテレビ放送!【わからないという人へ,序盤のストーリーを解説】

「私は狂ってはいないのです。ですが、それがこの国では狂っているという事なのです」

 

思わせぶりなセリフと、観終わったあとに残る余韻。ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲った黒沢清 監督の『スパイの妻』が、テレビ放送されます。

この記事では、映画『スパイの妻』のあらすじと歴史的背景を解説。ネタバレしない範囲で、『スパイの妻』を楽しむための予備知識をお伝えします。

映画『スパイの妻』テレビ放送はいつ? ドラマ版との違いは?

『スパイの妻』は2020年の日本映画。

国家機密を世に知らしめようとする貿易商の男とその妻が、時代の波にのまれてゆく戦争ドラマです。

もともとは、NHKのBS8Kに向けて作られたテレビドラマ。映画版はスクリーンサイズと色調だけを変えたもので、内容はドラマ版と同じです。

映画『スパイの妻』
製作年 2020年
ジャンル 戦争ドラマ、サスペンス
上映時間 115分
受賞歴 ヴェネツィア国際映画祭 銀獅子賞
監督 黒沢清(『CURE』『回路』)
脚本 濱口竜介、野原位、黒沢清
出演 蒼井優、高橋一生、東出昌大

映画『スパイの妻』のテレビ放送は、2022年1月10日(月・祝)。NHKの総合テレビにて。

13:05 ~ 14:59

映画『スパイの妻』あらすじ【ネタバレなし】

太平洋戦争が始まる直前の、1940年。

貿易商といとなむ福原優作(高橋一生)とその妻・聡子(蒼井優)は、洋館で優雅な生活をおくっていました。優作の趣味は、9.5㎜フィルムで自主映画を撮ること。

洋風の生活をたしなみ、舶来品を楽しむ優作は、当局からもマークされる存在でした。

 

聡子の幼なじみで、陸軍の憲兵である津森泰治(東出昌大)は、目立った行動をつつしむように助言します。しかし、優作は聞き入れません。

 

 

あるとき、優作は甥(おい)の竹下文雄(坂東龍汰)とともに、満州へ出かけます。優作の帰国は予定よりだいぶ遅かったため、聡子は夫を不審に思います。

 

そんな中、聡子は、津森泰治に呼ばれ、夫にある疑惑がかかっていることを聞かされます。旅館「たちばな」の仲居だった草壁弘子(くさかべひろこ=玄理)が何者かに殺され、夫に嫌疑がかかっているというもので・・・

映画『スパイの妻』【わからないという人へ,序盤のストーリーを解説】

まず、歴史的背景です。

『スパイの妻』の冒頭は、1940年。日中戦争が長引き、アメリカやイギリスとの戦争を間近に控えた時期にあたります。

 

高橋一生が演じる福原優作は貿易商という仕事柄、「外国と通じているのではないか?」と日本軍からマークされる存在です。

 

《映画『スパイの妻』 舞台となる歴史的背景》

映画『スパイの妻』NHKでテレビ放送!【わからないという人へ解説】731部隊、生体実験

優作は仕事のため満州に出かけた際、驚愕の事実を知ります。

関東軍(※)が細菌兵器を開発し、捕虜を使って人体実験をしている、というのです。

(⇦ 「満州」はいまの中国の北東部にあたる地域で、「関東軍」とは満州に配属された日本陸軍の部隊のこと)

 

関東軍の731部隊の生体実験については、2017年8月に放送された「NHKスペシャル」でも取り上げられました。

 

優作は、“コスモポリタン”的考え方の持ち主。

「コスモポリタン」とは、国籍や民族などにとらわれず、全人類を仲間とみなす考え方です。優作は世界的視野に立って、関東軍の秘密を公表しようとします。

 

いっぽう。

東出昌大が演じる津森泰治は、日本陸軍の立場から、秘密を漏らそうとする優作を追います。

価値観の異なる2人の「正義」がぶつかる、というのが『スパイの妻』の大きな構図のひとつ。

 

 

また、優作の妻・聡子(蒼井優)は、はじめは何も知らない一般人。

夫の考えを知ってから、「スパイの妻」と世間から罵られながらも、夫についてゆく覚悟を決めます。彼女の変貌ぶりも、見どころのひとつ。

ただし、優作は妻・聡子にすべてをさらけ出している訳ではなく、

「妻を守ろうとしているのか? 妻をも利用しようとしているのか?」

解釈を観客にゆだねる作りとなっています。

 

 

 

サスペンス要素はあるものの、はっきりと答えを示してくれる映画ではありません。自分なりに解釈した上で、「他の人はどう感じたのだろう?」と比べるのが『スパイの妻』の楽しみ方でしょう。

 

「スパイの妻 考察」

などと検索すると、映画を観たさまざまな人の解釈を知ることができます。

 

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 『CURE』や『回路』、『アカルイミライ』など、クロサワ映画を語る上では欠かせない作品をご紹介しています。