タイムリープ。タイムトラベル。時間旅行は映画とも相性がよく、作り方によっては大傑作になる可能性を秘めてます。
今回ご紹介するのは、Netflix『シーユー・イエスタディ』。アフリカ系アメリカ人が活躍するタイムトラベル映画ですが・・・
Netflix映画『シーユー・イエスタディ』の概要
『シー・ユー・イエスタディ』は、2019年製作のSF映画。警察に撃たれてしまった兄を生き返らせるため、タイムマシンで昨日に戻る女子高生の姿を描いています。
シー・ユー・イエスタディ | |
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原題 | See You Yesterday |
製作国 | アメリカ |
配信開始 | 2019年 |
上映時間 | 86分 |
監督 | ステフォン・ブリストル |
出演 | エデン・ダンカン=スミス、ダンテ・クリッチロウ |
もともとは、新人監督ステフォン・ブリストルが作った同名の短編映画。これを、『マルコムX』のスパイク・リー監督のプロデュースのもと、長編に作り直した作品です。
動画配信サービスNetflixでのも、視聴できます。
『シー・ユー・イエスタディ』の内容
ブロンクス科学アカデミーに通う天CJは、天才女子高生。ブルックリンに住むアフリカ系アメリカ人です。CJは科学展に出品するため、友だちのセバスチャンと一緒に、タイムマシンを完成させます。
ある日のこと。CJの兄・カルビンが強盗と間違われて、白人警官に撃たれてしまいます。CJとセバスチャンは兄を救うため、1日前にタイムトラベルしますが・・・
『シー・ユー・イエスタディ』の評価
映画.com・・・★★★☆☆☆2.5
Filmarks・・・★★★☆☆2.9
IMDB・・・5.1/10
日本の映画サイトでは、5点満点中平均2.7。海外のデータベースでは、10点満点中5。評価は厳しめです。
感想:まじめすぎる時間旅行
前半をみた限り、「イマイチ」という世間の評価もうなづけます。この映画、社会問題を扱っています。残念なのは、
タイムトラベル > 人種問題
というバランスではないこと。
「今日は(1日前の)6月28日よ」
「強盗が発生したのは5:35、警察に通報したのは5:36」
みたいに全部セリフで説明してしまう。
時間ジャンプのワクワク感・疾走感が、映像から伝わってこないのです。それより、アフリカ系アメリカ人がデモを起こす場面とか、牧師がスピーチする場面が強調されます。
タイムトラベル < 人種問題
というバランスとなり、説教臭く感じてしまいます。
でも、終盤になるにつれ印象が変わります。CJは、1日前にタイムトラベルして、悲しい過去を改変しようとしますが、その度に新たな悲劇を招いてしまいます。
過去改変映画の名作『バタフライ・エフェクト』や、『ラン・ローラ・ラン』と似たパターンです。
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『シー・ユー・イエスタディ』が新鮮だったのは、何度も過去を変えようとする主人公に前向きなメッセージをこめたこと。
ハリウッドは、草創期からず~っと差別を描いてきました。人種問題しかり、性差別しかり。にも関わらず、社会から差別はなくなりません。
じゃあ、なくならないからといって、諦めるのか?
と言われたら、それはやっぱり違う。CJが何度失敗してもトライする姿から、
「差別がなくそうと声をあげることを、あきらめちゃダメだ!」
というポジティブなメッセージが伝わってきます。
この映画、冒頭にマイケル・J・フォックスが、先生役でカメオ出演しています。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にオマージュを捧げているのです。あの傑作と比べたら出来はイマイチだけど、清々しいものを感じる一本でした。