勧善懲悪? 世の中、かんたんに善と悪で割り切れるのか?
そんな声が聞こえてきそうなほど、皮肉が効きまくった映画『荒野のストレンジャー』がテレビ放送されます。
この記事では、映画『荒野のストレンジャー』のあらすじをご紹介。イーストウッドの描く“アンチ勧善懲悪”について考察します。
- 映画『荒野のストレンジャー』BSプレミアムでのテレビ放送はいつ?
- 映画『荒野のストレンジャー』あらすじ【皮肉の効きまくった西部劇】
- 『荒野のストレンジャー』考察:アンチ勧善懲悪!正体は心の中にある怖れ?それとも幽霊?
映画『荒野のストレンジャー』BSプレミアムでのテレビ放送はいつ?
『荒野のストレンジャー』は1973年のアメリカ映画。
鉱山の町にやってきた正体不明の男が、町の住人たちに雇われ、3人のならず者から町を守ろうとする西部劇です。
映画『荒野のストレンジャー』 | |
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原題 | High Plains Drifter |
製作 | 1973年 |
製作国 | アメリカ |
ジャンル | 西部劇 |
上映時間 | 130分 |
監督 |
クリント・イーストウッド(『グラン・トリノ』『運び屋』) |
脚本 | アーネスト・タイディマン(『フレンチ・コネクション』) |
出演 | クリント・イーストウッド、ヴァーナ・ブルーム、マリアンナ・ヒル |
監督は、今なお精力的に映画を撮り続ける、クリント・イーストウッド。『恐怖のメロディ』(1971)に次ぐ、2作目の監督作品となります。
13:00 ~ 14:46
映画『荒野のストレンジャー』あらすじ【皮肉の効きまくった西部劇】
鉱山によって成り立つ町・ラーゴ。
乾いた土に陽炎が立ち込める、ある日のこと。馬に乗った正体不明の男(役名:ストレンジャー)が、ゆっくりと町にやってきます。
男は、からんできた男どもをあっという間に撃ち倒すと、バーで酒を飲み始めます。
住民たちは戸惑います。
実は、1年前に住民たちが刑務所送りにした3人のならず者が、まもなく出所する予定でした。今、ストレンジャーが撃ちのめした男たちは、ならず者の復讐に備えて住民が雇った用心棒だったのです。
住民たちには、ならず者を迎え撃つ銃の腕もなければ度胸もありません。そこで住民は、
「どんな望みも聞く」
という条件で、ストレンジャーを雇うことにします。
ところが、ストレンジャーは無茶な要求ばかりして・・・
Malpaso Company Archives
— Clint Eastwood Official (@RealTheClint) March 4, 2024
Candid Shot High Plains Drifter 1973 pic.twitter.com/jiasRcDulZ
(出典:Clint Eastwood Official on X)
ここから先は、ネタバレを含みます。
心に深く残る作品となる可能性がありますので、映画をご覧になった後でお読みください。
『荒野のストレンジャー』考察:アンチ勧善懲悪!正体は心の中にある怖れ?それとも幽霊?
悪党はどっちだ? 荒野の町・ラーゴの暗い過去
前半は不愛想なストレンジャーと、彼に振り回される住民たちのコントラストが、笑いを誘います。
ところが!
物語が進むにつれ、荒野の町・ラーゴが抱える暗~い過去が明らかになってゆきます。数年前、ラーゴの鉱山からは、金脈が見つかっていました。
しかし、金鉱の権利は国にあります。本来なら、ラーゴの鉱山は国有地となるべき土地。当時のダンカン保安官は、正直に金鉱の権利を国に渡そうと考えていました。
しかし、町の住人たちは金に目がくらみます。ならず者に頼んで、ダンカンの命を奪ったのです。ダンカンがムチで打たれているとき、住民たちは皆、見て見ぬフリをしていました。
住民たちがどんな目に遭うかは、映画を観ていただくとして・・・
正体は心の中にある怖れ?それとも幽霊?
正体不明の男・ストレンジャーとは、いったい何者だったのか?
そのヒントとなるやり取りがあります。
まず、ストレンジャーと、彼が抱こうとした人妻の会話から。
人妻「みんな、あなたを怖れている」
ストレンジャー「何か、身に覚えがあるからさ」
まるで、住民たちの過去を知っているような口ぶりです。
"They didn't know his face - They didn't know his name. But they'd never forget the day he drifted into town."☀️
— SensCritique (@SensCritique) June 17, 2021
Quel est votre film préféré de Clint Eastwood ?
🎬 : "High Plains Drifter", [Clint Eastwood, 1973] pic.twitter.com/JieKOpyWrr
そして、物語のラスト。
町を去ろうとするストレンジャーに、大工らしき男が話しかけます。
大工「名を聞いてなかったね」
ストレンジャー「知っているはずだ」
ずーーーん。カメラがアップで映したのは、今はなきダンカン保安官の墓標でした。
“保安官 ジム・ダンカン、ここに眠る”
劇中、これ以上の説明はありません。
数少ないヒントから解釈すると、ストレンジャーはかつて住民たちに見殺しにされたダンカン保安官の幽霊では?
いつも、社会的なメッセージを投げかけてくるイーストウッド作品。『荒野のストレンジャー』はその中でも、皮肉の効きまくった一本だといえます。