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『荒野のストレンジャー』あらすじ【アンチ勧善懲悪?幽霊?皮肉の効きまくった西部劇】

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『荒野のストレンジャー』あらすじ【アンチ勧善懲悪?幽霊?皮肉の効きまくった西部劇】

勧善懲悪? 世の中、かんたんに善と悪で割り切れるのか?

 

そんな声が聞こえてきそうなほど、皮肉が効きまくった映画『荒野のストレンジャー』がテレビ放送されます。

この記事では、映画『荒野のストレンジャー』のあらすじをご紹介。イーストウッドの描く“アンチ勧善懲悪”について考察します。

映画『荒野のストレンジャー』BSプレミアムでのテレビ放送はいつ?

『荒野のストレンジャー』は1973年のアメリカ映画。

鉱山の町にやってきた正体不明の男が、町の住人たちに雇われ、3人のならず者から町を守ろうとする西部劇です。

映画『荒野のストレンジャー』
原題 High Plains Drifter
製作 1973年
製作国 アメリカ
ジャンル 西部劇
上映時間 130分
監督

クリント・イーストウッド(『グラン・トリノ』『運び屋』)

脚本 アーネスト・タイディマン(『フレンチ・コネクション』)
出演 クリント・イーストウッド、ヴァーナ・ブルーム、マリアンナ・ヒル

監督は、今なお精力的に映画を撮り続ける、クリント・イーストウッド。『恐怖のメロディ』(1971)に次ぐ、2作目の監督作品となります。

 『荒野のストレンジャー』のテレビ放送は、2022年12月23日(金)。NHKのBSプレミアム「BSシネマ」にて。
13:00 ~ 14:46

映画『荒野のストレンジャー』あらすじ【皮肉の効きまくった西部劇】

鉱山によって成り立つ町・ラーゴ。

乾いた土に陽炎が立ち込める、ある日のこと。馬に乗った正体不明の男(役名:ストレンジャー)が、ゆっくりと町にやってきます。

男は、からんできた男どもをあっという間に撃ち倒すと、バーで酒を飲み始めます。

 

住民たちは戸惑います。

実は、1年前に住民たちが刑務所送りにした3人のならず者が、まもなく出所する予定でした。今、ストレンジャーが撃ちのめした男たちは、ならず者の復讐に備えて住民が雇った用心棒だったのです。

 

住民たちには、ならず者を迎え撃つ銃の腕もなければ度胸もありません。そこで住民は、

「どんな望みも聞く」

という条件で、ストレンジャーを雇うことにします。

 

ところが、ストレンジャーは無茶な要求ばかりして・・・

ここから先は、ネタバレを含みます。

心に深く残る作品となる可能性がありますので、映画をご覧になった後でお読みください。

>> Amazonプライムビデオ『荒野のストレンジャー』(字幕版)

『荒野のストレンジャー』考察:アンチ勧善懲悪!正体は心の中にある怖れ?それとも幽霊?

悪党はどっちだ? 荒野の町・ラーゴの暗い過去

前半は不愛想なストレンジャーと、彼に振り回される住民たちのコントラストが、笑いを誘います。

ところが!

物語が進むにつれ、荒野の町・ラーゴが抱える暗~い過去が明らかになってゆきます。数年前、ラーゴの鉱山からは、金脈が見つかっていました。

しかし、金鉱の権利は国にあります。本来なら、ラーゴの鉱山は国有地となるべき土地。当時のダンカン保安官は、正直に金鉱の権利を国に渡そうと考えていました。

 

しかし、町の住人たちは金に目がくらみます。ならず者に頼んで、ダンカンの命を奪ったのです。ダンカンがムチで打たれているとき、住民たちは皆、見て見ぬフリをしていました。

 

住民たちがどんな目に遭うかは、映画を観ていただくとして・・・

正体は心の中にある怖れ?それとも幽霊?

正体不明の男・ストレンジャーとは、いったい何者だったのか?

そのヒントとなるやり取りがあります。

 

まず、ストレンジャーと、彼が抱こうとした人妻の会話から。

人妻「みんな、あなたを怖れている」

ストレンジャー「何か、身に覚えがあるからさ」

まるで、住民たちの過去を知っているような口ぶりです。

 

そして、物語のラスト。

町を去ろうとするストレンジャーに、大工らしき男が話しかけます。

大工「名を聞いてなかったね」

ストレンジャー「知っているはずだ」

 

ずーーーん。カメラがアップで映したのは、今はなきダンカン保安官の墓標でした。

“保安官 ジム・ダンカン、ここに眠る”

劇中、これ以上の説明はありません。

 

数少ないヒントから解釈すると、ストレンジャーはかつて住民たちに見殺しにされたダンカン保安官の幽霊では?

 

いつも、社会的なメッセージを投げかけてくるイーストウッド作品。『荒野のストレンジャー』はその中でも、皮肉の効きまくった一本だといえるのではないでしょうか。