※この記事は、2021年7月に更新しました。
今回ご紹介する映画は、2018年公開のベルギー映画『ギャングスタ』。本国をはじめ、ヨーロッパでスマッシュヒットした犯罪アクションです。
日本でも公開されましたが、さほど話題にはならず。そんなマイナー作品になぜ注目するのか? それは本作の監督が、ハリウッド大作『バッドボーイズ』最新作でもメガホンを取ることになったからです。
クライム・アクション『ギャングスタ』の概要
『ギャングスタ』は、ベルギーの犯罪アクション映画。アントワープで育った幼なじみ4人の不良たちが、国際的な麻薬戦争に巻きこまれてゆく姿が描かれます。
ギャングスタ | |
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原題 | Paster |
製作国 | ベルギー |
公開 | 2018年 |
上映時間 | 125分 |
監督 | アディル・エル・アルビ、ビラル・ファラー |
脚本 | アディル・エル・アルビ、ビラル・ファラー他 |
出演 | マッテオ・シモーニ、ノラ・ガリブ |
監督は、アディル・エル・アルビと俳優としても活動するビラル・ファラー。二人は、デビュー作から共同監督をしているコンビ。
軽いノリの雰囲気だけの映画と思いきや、移民問題も描かれていて、骨のある作品となっています。
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ベルギー映画『ギャングスタ』あらすじとレビュー
簡単なあらすじ
ベルギーのアントワープに住むアダムは、モロッコ系移民の青年。彼には、3人の幼なじみがいます。
ダンスが得意なジュネス、興奮するとギャング映画の口真似をするヴォルト、そしてキックボクサーで紅一点のバディア。4人は、子どもの頃から仲良し。大人になってもつるんで、格闘ゲームをして遊んだり、ギャングへの憧れを語り合ったりしていました。
そんな彼らに、麻薬密売の大物ギャング・マリーの仕事を手伝うチャンスが訪れます。アダムたちは、初めての運び屋の仕事に成功! つい調子に乗った彼らは、マリーのブツをこっそり横流しして、大もうけします。
大金を稼いだアダムたちは、バカンスに出かけたモロッコで、ハッサンという男とトラブルを起こします。実はハッサンは、マリーと縄張り争いする大物ギャングでした。
やがてアダムたちは、汚職警官や大物政治家も関与する巨大な麻薬戦争に巻きこまれてゆくのでした・・・
監督は、ゲーム世代の映画マニア?
この映画、7つの章立てによってストーリーは進みます。新しい章にうつる度に、「レベル2 強欲」「レベル6 憤怒」のような格闘ゲームのような字幕があらわれます。
ときおりアダムたちの少年時代の回想がはさまれますが、ゲーム画面もよく出てきます。(⇦ おそらく、SFCの格闘ゲーム『モータルコンバット2』)
また、効果音にもマリオが土管に入る音や、テトリスのゲーム音楽が使われたりしていて、監督のゲーム好きが伝わってきます。
さらに、名作映画にオマージュを捧げる場面も多々あります。
・7つの大罪を用いた章立ては、ブラッド・ピット主演の『セブン』
・アダムが鏡にうつった自分に銃を向ける場面は、『タクシー・ドライバー』
・ヴォルトが散弾銃を撃つフリをする場面は、『スカー・フェイス』
・ギャングのボスの「第3次世界大戦になるな・・・」という台詞は『コマンドー』
監督の映画マニアぶりがわかります。
極彩色のネオンカラー
この映画、夜の場面が多いのですが、豊かな色彩感覚にも驚かされます。蛍光色の真っ黄色な車に、ネオンの青白い光、夜の工場の明かり、バーのカクテル光線・・・
色とりどりのセロファンを貼ったような画面には、目新しさがあります。
ラップかっけえ!
『ギャングスタ』では、ラップ・ミュージックも頻繁にかかります。
中でも印象的なのが、カー・アクションの場面。アダムたちと汚職警官の車が衝突するときに、「YOYOYO!」などというラップが流れてきます。
こういった音楽の使い方は、『バッドボーイズ』(1995年)によく似ています。あの映画では、ダイアナ・キング、ウォーレンG、2パックなど、ヒップホップやR&B系の音楽が惜しげもなく使われていました。
映画に挿入されるラップ・ミュージックを耳ざわりと感じるか、カッコいいと感じるかは人それぞれでしょう。わたしは、だんぜん後者!
ベルギー映画『ギャングスタ』は2021年7月現在、Amazonプライムビデオで視聴することもできます。
『ギャングスタ』の監督コンビ、アディル・エル・アルビ&ビラル・ファラーは、本作のヒットがきっかけでハリウッドに招かれます。
そして、30代前半という若さで『バッドボーイズ』『ビバリーヒルズコップ』といった大作の続編に、異例の大抜擢! 世界が注目する次世代の才能から、目が離せません。