今の映画と昔の映画は、テンポが全く違います。そこだけで評価してしまうのは、勿体ないと思います。
今回ご紹介するのは、『オーシャンと十一人の仲間』。ジョージ・クルーニー主演の『オーシャンズ11』の元になった作品です。現代映画のスピード感に慣れているとスローテンポに感じるかもしれませんが、オリジナルならではの良さもあります。
- 映画『オーシャンと十一人の仲間』概要
- 『オーシャンと十一人の仲間』あらすじ
- 『オーシャンと十一人の仲間』登場人物とキャスト
- 感想!皮肉と洗練されたセリフ!オシャレな会話に心も弾む!
映画『オーシャンと十一人の仲間』概要
『オーシャンと十一人の仲間』は、1960年に公開されたコメディタッチの犯罪映画。2001年に公開された『オーシャンズ11』は、この作品のリメイクとなります。
オーシャンと十一人の仲間 | |
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原題 | Ocean's Eleven |
製作国 | アメリカ |
公開年 | 1960年 |
上映時間 | 130分 |
監督 | ルイス・マイルストン |
脚本 | チャールズ・レデラー |
出演 | フランク・シナトラ、ディーン・マーティン |
フランク・シナトラ、ディーン・マーティン、サミー・デイヴィスJr.といった歌手が出演しているのが特徴で、劇中、彼らの歌唱シーンも見どころとなっています。
監督はルイス・マイルストン。文芸映画『廿日鼠(はつかねずみ)と人間』(1939)や戦争映画『西部戦線異状なし』(1930)で知られています。
『オーシャンと十一人の仲間』あらすじ
クリスマス1週間前のビバリーヒルズ。ギャングのアシーボスは、ラスベガスのカジノから現金を強奪する計画を立て、元空挺部隊のダニー・オーシャンに依頼します。
初めは乗り気でなかったダニーでしたが、大金が得られると知って、気が変わります。戦争から15年たち、ダニーの仲間たちも生活は困窮していました。そこでダニーはかつての戦友たちに声をかけ、メンバーを集めます。
アシーボスのアジトに戦友たちを集めたダニーは、計画を説明します。それは、大晦日の夜12時に街を停電させ、ラスベガスにある5つのカジノに同時に盗みに入るという、大胆なものだったのです・・・
『オーシャンと十一人の仲間』登場人物とキャスト
オーシャンと仲間たち
ダニー・オーシャン(演:フランク・シナトラ)
主人公で、元82空挺部隊の軍曹。
サム・ハーモン(演:ディーン・マーティン)
ダニーの右腕で、参謀役。広い人脈を持ち、ピアノでの弾き語りを得意とする。
ジョシュ・ハワード(演:サミー・デイヴィスJr.)
元・野球選手で、歌も得意。片目の視力が下がったのが悩み。現金の運び屋を任される。
ジミー・フォスター(演:ピーター・ローフォード)
金持ちの息子。母親は恋多き女性で、6度目の結婚をひかえている。
“カーリー”・ステファンズ(演:リチャード・ベネディクト)
巻き毛の元オートレーサー。
アンソニー・バーグドーフ(演:リチャード・コンテ)
電気技師。偽装盗難事件を起こし、刑務所に入れられていた。
ロジャー・コーニール(演:ヘンリー・シルヴァ)
サーカス団員。妻はショーパブで踊るミュージカル女優。
ヴィンス・マスラー(演:バディ・レスター)
“マシー”・オコナーズ(演:ジョーイ・ビショップ)
ピーター・レイマー(演:ノーマン・フェル)
ルイス・ジャクソン(演:クレム・ハーヴェイ)
その他の登場人物
アシーボス(演:エイキム・タミロフ)
カジノからの現金強奪計画の立案者。ダニーから冗談を言われては、真に受けてしまう。ユーモラスな見た目もあり、笑わせてくれます。
ビートリス・オーシャン(演:アンジー・ディキンソン)
ダニーの別れた妻。ダニーに対して未練がある。
デューク・サントス(演:シーザー・ロメロ)
ジミーの母親との結婚を考えている資産家。
酔っぱらった女性(演:シャーリー・マクレーン)
大晦日のカウントダウン前に、ダニーが駐車場で出会う女。
感想!皮肉と洗練されたセリフ!オシャレな会話に心も弾む!
みんな旧知の仲だからこその、空気感!
『オーシャンズ11』を見てからこの作品を知り、さかのぼって鑑賞する人も多いと思います。ですが、綿密な犯罪計画と、警備の目をかいくぐるスリルを求めても、ガッカリするでしょう。
まだ監視カメラもない時代。計画を立てるほうも杜撰(ずさん)ならば、盗まれるほうものんびり。犯罪映画としてのハラハラドキドキ感は皆無です。
それを補ってあまりあるのが、オシャレすぎる会話。
とにかく、ああ言えばこう言う。皮肉には皮肉で返し、たとえ話には乗っかってあげ、クールな冗談にふっと笑う。一時代をともに生きた戦友だから醸し出せる空気感が、心地よいのです。
洗練されたセリフのやり取りを、一部紹介します。
刑務所から出てきたアンソニーに、ロジャーがひと言。
「あんたがアンソニーか。第82空挺部隊で、最初にドイツ娘と寝た男」
ジミー「ハワイの話を聞かせろ。いつも晴れか?」
サム「雨が降る時もあれば、日がかげる時もある」
ジミー「女は?」
サム「雨が降る時もあれば、日がかげる時もある」
ジョシュ「オレの辞書じゃ、“勇気”と“マヌケ”は同義語だ」
デューク「俺がお金の稼ぎ方を教えてやる」
ジミー「僕は、僕のやり方でやる。裕福な親を持つのさ」
リメイクされた『オーシャンズ11』では、初めから知り合いだったのはダニー(ジョージ・クルーニー)とラスティ(ブラッド・ピット)だけ。他のメンバーは元々の知り合いでもないし、金で集められているので、かけ合いの面白さはありません。
大女優シャーリー・マクレーンの登場に、テンションMAX!
現金強奪計画を実行する直前。ダニーは、駐車場で酔っぱらった女に絡まれます。大晦日のカウントダウンの後、街の人々は「蛍の光」をみんなで歌います。
この酔った女性を演じるのは、往年の名女優シャーリー・マクレーン。
このシーンは、彼女が出演した名作コメディ映画『アパートの鍵貸します』へのオマージュとなっています。『アパートの鍵貸します』でも、新年を迎えた街の人々が「蛍の光」を歌うシーンがあるのです。