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映画『怪物はささやく』テレビ放送!内容&評価、スペイン製ファンタジーの系譜

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映画『怪物はささやく』テレビ放送!評価&内容、スペイン製ファンタジーの系譜

※この記事は、2021年5月に更新しました。

美しいグラフィックと奥深いストーリーが魅力のスペイン映画『怪物はささやく』が、テレビ放送されます。本作のジャンルは、ダークファンタジー。

 この記事では、簡単なあらすじと評価をお伝えします。また、ハリウッド作品とは一味違う、スペイン製ファンタジーの傑作をいくつかご紹介します。

『怪物はささやく』テレビ放送は、いつ?

  映画『怪物はささやく』の地上波放送は、2020年7月20日(月)の深夜(=火曜の午前)。日本テレビ系列「映画天国」にて。

 

25:59 ~ 27:59

  関東ローカルのみの放送なので、その他の地域の方は見られません。

 ※すでに放送は終了しています。

スペイン映画『怪物はささやく』原作と監督

 『怪物はささやく』は、2016年公開のスペイン・アメリカの合作映画です。原作は、パトリック・ネスの同名小説となります。

怪物はささやく
原題 A Monster Calls
製作国 スペイン、アメリカ
公開年 2016年
上映時間 108分
監督 ファン・アントニオ・パヨナ
原作・脚本 パトリック・ネス
出演 ルイス・マクドゥーガル、シガニー・ウィーバー

 監督は、ファン・アントニオ・パヨナ。修道院で起こった失踪事件の謎にせまる『永遠のこどもたち』(2007)や、津波に巻きこまれる家族を描いた『インポッシブル』(2012)を監督しています。

 独特の映像表現、悲しみに立ち向かうキャラクターの繊細さと力強さ。こういった手腕が高くされ、彼は『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)の監督に大抜擢されています。

 

関連:『ジュラシック・ワールド/炎の王国』シリーズの順番と時系列

www.entafukuzou.com

『怪物はささやく』簡単な内容

 イギリスの片田舎。少年コナーは、難病の母と二人で暮らしていました。学校ではいじめられっ子。母の病気は日に日に悪くなり、コナーは悪夢にうなされていました。

 

ある真夜中の12時7分。丘の上にあったイチイの木が怪物に姿を変え、コナーの前に現れます。

「いまからお前に《3つの真実の物語》を話そう。その後で、お前が4つ目の物語を話せ」

 コナーは、怪物の話を受け入れようとはしませんでした。しかし、怪物はその夜を境に、夜ごと現れては物語を語ってゆくのでした・・・ 

泣ける? 難しい?評価と感想

 大手映画サイトの評価

Yahoo!映画:★★★★☆ 3.6

映画.com:★★★☆☆ 3.5

filmarks:★★★★☆ 3.7

面白いという意見

  • 明るい話ではないけど、観終わったあとに心があたたかくなる。
  • 子供向けだと思って見始めたら、深い内容に驚いた。

つまらないという意見

  • 意味ありげだけど、意味なし。伏線もたいしたことない。
  • 映像の雰囲気だのみで、ストーリーも適当

感想:答えは必要? いや、なくたっていい!

 物語の構造は、「少年の成長譚」。空想の世界に救いを求めていた少年が、辛い現実とどう向き合ってゆくかが描かれます。

 しかし、ハリウッド製の子ども向けファンタジーとは毛色が違います。わかりやすくカタルシスをくれる作品、伏線がスパンと回収される作品が好きな人には合わないでしょう。

 

ただ、個人的には2020年にこのブログで紹介した作品では、No.1でした。 

① まず、怪物が3つの物語を語るシーンでは、美しいCGアニメが挿入されます。幻想的な世界観は、それだけで見ごたえがあります。

 ② また、木の怪物がコナーに語るセリフは、この映画だけに留まる言葉ではないように感じます。

「信じたい物語が真実とは限らない」

「人間は複雑な生き物。都合のいい話を信じる」

「何を語るかじゃない、どう行動するかだ」

 システム化されたハリウッド映画へのアンチテーゼのようにも聞こえるし、テレビの報道を鵜呑みにする私たちへの警告にも聞こえます。映画の世界をとび出しても通用するセリフこそ、真の名セリフだといえます。 

 

③ 何より、物語上の謎をいちいち説明してしまわないところに、スペイン製ファンタジーの奥深さを感じます。

「怪物の正体は誰なのか?」

「12時7分の意味とは?」

 よく見ていれば、答えらしきものが見つかる。

でも、わからなくても、豊かな表現を見られた満足感は残る。考察したきゃすればいい。何もせず余韻に浸ってもいい。これはこれで、豊かな映画体験だと思うのです。

怖いけど、魅かれてしまう!スペイン製ファンタジー映画の系譜

 余韻を残す終わり方。観客に想像させるラスト。「なんて豊かな映像表現なんだろう」

 

スペイン製のファンタジー映画は、わかりやすいハリウッド作品とは一線を画します。ときに残酷。ときに物悲しい。だけど、静かで美しい。ファンを惹きつけてやまない独特の魅力があります。

 そんなスペインのファンタジー映画を、いくつかご紹介します。

『ミツバチのささやき』(1973年)

 1940年のスペイン内戦直後。小さな村で、映画『フランケンシュタイン』の上映会が開かれます。すっかり映画に魅せられた少女アナは、フランケンシュタインを探す旅に出かけます。

 内戦によって分断された両親。戦争が落とした死の影は、娘アナの純粋な心をも蝕んでゆき・・・

 

静謐でセリフも少なめ。説明するだけが映画じゃない。感性で感じ取ったり、さまざまなメタファーから考察する喜びを教えてくれる、スペイン製ファンタジーの原点!

『パンズ・ラビリンス』(2006年)

ギレルモ・デル・トロ監督『パンズ・ラビリンス』(2006年)

 内戦後のスペイン。父をなくした少女オフェリアは、母が独裁政権の大尉と結婚することになり、森の中にある砦に移り住みます。誰からも気にかけてもらえず、孤独なオフェリアは、妖精やおとぎ話の世界にのめりこみ・・・

 手のひらに目玉がある怪人。羊の角をもつ悪魔・・・トラウマ級のビジュアルが強烈な、ダーク・ファンタジー。鬼才、ギレルモ・デル・トロ監督。

『永遠のこどもたち』(2007年)

 孤児院で育ったラウラは、夫と7歳の息子シモンとともに孤児院に移り住みます。ラウラは、そこを障害のある子どもの施設へと改装します。ところが、空想上の友だちを作ったシモンが、屋敷からこつ然と姿を消し・・・

 ギレルモ・デル・トロが製作、ファン・アントニオ・パヨナが監督を務めたホラー感満載のダークファンタジー。グロさもあるけれど、全てを知った時に深い感動が待っています。

『ブランカ・ニエベス』(2012年)

パブロ・ベルヘル監督『ブランカ・ニエベス』(2012年)

天才闘牛士の娘、カルメン。彼女は幼い頃に母をなくし、父は意地悪な継母と再婚します。ある日、継母(ままはは)に殺されかけたカルメンは、“こびと闘牛士”たちに命を救われます。カルメンたちは、見世物巡業の旅に出て・・・

 グリム童話の「白雪姫」を現代のスペイン文化と混ぜ合わせて、大胆にアレンジ。継母役のマリベル・ベルドゥの怪演が光る、ダークファンタジーです。