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ハケンの品格【2020】評価&感想!あり得ない?脚本からみる現実社会との距離

ハケンの品格【2020】評価&感想!あり得ない?脚本からみる現実社会との距離

篠原涼子さん主演ドラマ『ハケンの品格』(2020)がスタートしました。2007年に放送された同名ドラマの続編です。第1話の視聴率こそ14.2%でしたが、感想は賛否の真っ二つに分かれています。

 

この記事では、『ハケンの品格』(2020)を観た人の感想と評価をざっくりまとめ、シナリオの観点から意見が分かれた理由を考察してみたいと思います。

 

 

『ハケンの品格』(2020)第1話あらすじ

 

食品会社S&Fは、一時期のいきおいを失っていました。営業企画課の課長・里中(小泉孝太郎)は、かつて同社で働いていたスーパーハケン社員・大前春子(篠原涼子)の復帰をのぞみます。

 

戻ってきた春子は、面談の席で

「残業はいっさいいたしません」

などの要求を突きつけ、部長の宇野(塚地武雅)をあ然とさせます。

 

そんな中、里中たちはロシアの商社との商談に臨むことになり、春子も通訳として同行します。商談が決裂しかけたとき、里中の携帯電話が鳴ります。

 

電話は部下の小夏(山本舞香)からで、ハケン社員の亜紀(吉谷彩子)が人事部の人間に監禁されているという内容でした・・・

 

 

爽快? 時代錯誤? みんなの感想まとめ

 

YAHOO!やFilmarksにあった代表的な感想をまとめます。

YAHOOテレビ ★★★☆☆ 2.7

Filmarks ★★★★☆ 3.9

 

面白いという意見

 

  • 人間の描き方や伏線の回収のしかたが凄い。就職を控えた時期に見れてよかった。
  • 見どころは大前春子のスーパーマン的な活躍。みんなが思っていることをズバッと言ってくれるので、気持ちよかった。

つまらないという意見

 

  • いまどき、あそこまで酷い派遣差別・パワハラはないですよ。あったら、即ブラック企業のレッテルを貼られます。
  • 人事部に監禁されるなんて、あり得ない。有休もあるし、3か月更新にいちいち喜ばないですね。もう少し時代に寄り添ってほしかった。

 

興味深かったのは、実際に職場で働いている人からは、かなり厳しい意見が多かったこと。現実とかけ離れている内容に、違和感を持つ人がたくさんいました。

 

 

正社員vsハケン社員! 中園ミホ脚本の特徴は、「水戸黄門」ばりの勧善懲悪!

 

 

『ハケンの品格』(2020)の脚本家は、中園ミホさん。前作の脚本家であり、『ドクターX~外科医・大門未知子』の生みの親でもあります。

 

  • 『ハケンの品格』(2007)
  • 『ドクターX~外科医・大門未知子』第1シリーズ(2012)
  • 『ドクターX~外科医・大門未知子』第2シリーズ(2013)
  • 『ドクターX~外科医・大門未知子』第3シリーズ(2014)
  • 『ドクターX~外科医・大門未知子』第4シリーズ(2016)
  • 『ハケンの品格』(2020)

 

中園ミホ脚本の特徴は、はっきりとした勧善懲悪です。『ハケンの品格』では【正社員vsハケン社員】という対立構造、『ドクターX~外科医・大門未知子』では【病院長を中心とする組織vsフリーランス】という対立構造があります。

 

いずれも、組織の中では弱い立場の者が、強大な権力に立ち向かってゆくところに爽快感があります。善と悪をはっきり区別して描く構造は、往年の時代劇『水戸黄門』と同じです。

 

『水戸黄門』で格さんが印籠を出すシーンの代わりに、『ハケンの品格』では春子が驚きのスキルを見せ、『ドクターX』では未知子が神業の手技を見せます。

 

『ハケンの品格』【2007】が共感を得た時代背景

 

  『ハケンの品格』(2007)は、平均視聴率20.2%という驚異的な数字を残しました。多くの視聴者から共感を得た理由は、放送当時、派遣社員や契約社員という不安定な立場の人がたくさんいたからです。

 

彼らは、いわゆる就職氷河期(1993年ごろから2004年ごろ)に就職活動をしました。高校や大学を卒業しても正社員採用を勝ち取れず、非正規雇用の道を選ばざるを得ませんでした。その数、およそ1700万人。

 

派遣社員の人たちは、契約が打ち切られる“派遣切り”におびえながら、肩身の狭い思いをして過ごしていました。業務の内容は正社員と変わらないのに、給与にも天と地ほどの差がありました。

 

  『ハケンの品格』(2007)は、会社組織に属せなかった派遣社員や契約社員の気持ちを代弁してくれるようなドラマでした。だからこそ、大ヒットにつながったのです。

 

あり得ない? ハケンの品格【2020】脚本からみる現実社会との距離

 

時代錯誤の企画?

 

ドラマの企画を立てるのに大事なのは、“時代の空気感を読む”ことだと思います。その意味で、『ハケンの品格』(2020)は企画としては“旬の”時期をとうに過ぎています。時代の空気感ともマッチしていません。

 

 『ハケンの品格』(2007)や『ドクターX~外科医・大門未知子』初期の頃には、「フリーランスってかわいそう」という空気がありました。

 

けれど、2020年はどうでしょう?

 

確かに、コロナ禍の影響で窮地に立たされたフリーランスの方もいます。仕事を辞め、田舎に戻った人だっているでしょう。そうかと思えば、あえて契約やハケンを選び、空いた時間に副業をやってガンガン稼いでいる人もいます。

 

 ハケン社員の中にもさまざまなタイプの人がいて、ひとくくりに「かわいそう」「弱い立場」と決めつけるのには無理があるのです。

 

 

つまり、正社員(強い立場)vs派遣社員(弱い立場)という二項対立が、昔ほど成り立たないのです。となれば、派遣社員が正社員をこらしめても、以前ほどの爽快感は得られなくなってしまいます。

 

13年で変わったのは、待遇より態度

 

『ハケンの品格』(2007)からは、13年も経っています。

 

正社員と派遣社員の関係も、この13年で大きく変わりました。たとえば、わたしの働く会社では、派遣社員・契約社員だけでなく中国人やベトナム人のアルバイトも働いています。正社員は研修を受け直し、雇用形態の異なる人々に対する態度に気を付けています。

 

『ハケンの品格』(2020)第1話であったような、正社員が派遣社員を監禁するようなことはあり得ません。パワハラとしてもあり得ないし、もしあったとしてもスマホで音声や動画を記録されていたら一発でアウトです。

 

 

お仕事ドラマというのは、社会構造や時代の空気感をもろに反映してしまいます。『花咲舞が黙ってない』(2014・2015)のように、続編を作るなら、あいだを空けないほうが良かったのかもしれません。

 

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