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映画『ハッピー・デス・デイ』感想!元ネタは『恋はデ・ジャブ』だけど面白い!

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映画『ハッピー・デス・デイ』感想!元ネタは『恋はデ・ジャブ』だけど面白い!

いまの時代、本当の意味でオリジナルな映画は生まれにくいでしょう。実は観客も、まったく新しいものより「観たことあるけど、違ったもの」を求めていたりします。

 

ホラー映画『ハッピー・デス・デイ』は先行作品を下敷きにしながらも、新鮮なひねりを加えた佳作でした。

映画『ハッピー・デス・デイ』概要とキャスト

 『ハッピー・デス・デイ』は、2017年に公開されたコメディ寄りのホラー映画。

誕生日に殺されてしまった女子大生が、同じ1日をくり返しながら犯人に迫ってゆきます。

『ハッピー・デス・デイ』
原題 Happy Death Day
製作国 アメリカ
上映時間 96分
監督 クリストファー・B・ランドン
脚本 スコット・ロブデル
出演 ジェシカ・ローデ、イズラエル・ブルサード

 監督は、『パラノーマル・アクティビティ4/呪いの印』のクリストファー・B・ランドン。

主演は、『ラ・ラ・ランド』で主人公のルームメイト役だったジェシカ・ローデです。

 『ハッピー・デス・デイ』のストーリー

ゴーン! ゴーン!

 

 9月18日。この日、誕生日をむかえる女子大生のテレサは、鐘の音で目を覚まします。そこは、カーターという男の子の部屋でした。記憶がないテレサは、カーターと“ヤッちゃった”と思いこみ、口止めをして部屋を出ます。

 

キャンパス内を歩くテレサは、女子学生に環境保護の署名を求められても、無視。同級生にも、冷たくあたります。

女子寮に戻ったテレサは、ルームメイトのロリからケーキをプレゼントされますが、ゴミ箱に捨ててしまいます。

テレサの性悪ぶりは止まりません。授業を受けた彼女は研究室に向かい、教授との情事を楽しみます。

 

その夜。パーティに誘われたテレサは会場へ向かう途中、フットボール部のマスコットの仮面をかぶった人物に殺されてしまいます。


ガバッ!!

 

テレサがとび起きると、そこはカーターの部屋でした。

あれっ!? 様子がおかしい。目に入るすべての光景が、昨日とまったく同じなのです。仮面の人物を警戒するテレサ。昨夜とおった道を避け、クラスメートのニックといちゃついていると・・・

 

ザクッ!!

 

テレサは、再び仮面の人物に殺されてしまいます。

 

目を覚ますと、またカーターの部屋。どうも、同じ9月18日をくり返しているみたい。テレサが事情を話すと、お人好しなカーターは

「同じ1日をループしているなら、利用すればいい。そのうち犯人が誰かわかるはずさ」

 彼女は容疑者をリストアップ。犯人をつきとめようとしますが・・・

感想:元ネタは『恋はデ・ジャブ』だけど面白い!

元ネタを知らない人は、「これは新感覚ホラーだ!」と興奮するかもしれません。でも、脚本の構造からいえば、ビル・マーレイ主演『恋はデ・ジャブ』とほぼ一緒です。

 

『ハッピー・デス・デイ』の最後に、テレサとカーターはこんな会話を交わします。

カーター「今回の話、アレに似てる」

テレサ「何?」

カーター「『恋はデ・ジャブ』

テレサ「知らない」

『恋はデ・ジャブ』のシナリオ構造

『恋はデ・ジャブ』は1993年公開の恋愛コメディ映画。タイムリープものでも、屈指のシナリオの出来です。 

あらすじ

主人公のフィルは、気象予報士。同僚のリタやラリーとともに、2月2日に行われる伝統行事の取材にやってきます。退屈なロケにイラ立っていたフィルは、リタやラリーに冷たくあたってしまいます。

取材後すぐに帰る予定でしたが、天候が急変! フィルたち取材陣は、前日と同じ宿に泊まることになるのです。

 

ところが、フィルが目を覚ますと、またも2月2日でした。2度目の取材を終えたフィルでしたが、ふたたび天候不良に見舞われ、帰れなくなります。フィルは、時間のループから抜け出せなくなってしまったのです。

 

やがて、2月2日をくり返しているのは自分だけだ、と知ったフィル。“失敗してもやり直せる”という特権を利用して、同僚のリタを口説こうとしますが・・・

 タイムリープの特性を活かした脚本

主人公に欠点があり、クライマックスで欠点を克服するのが、エンタメ映画の王道パターンです。

 『恋はデ・ジャブ』では、主人公が通常よりも“イヤな奴”に設定されています。フィルは同じ2月2日をくり返すうち、「好かれるためには、人の話を聞いてあげる必要がある」と学んでゆくのです。

フィルの成長ぶりが、階段をのぼるように可視化されているのが見事! “周りの人物は変化しない”、というタイムリープの特性を活かした脚本です。

見事なアレンジ! ジャンルを変え、主人公の性別を変えた! 

『ハッピー・デス・デイ』は、『恋はデ・ジャブ』からジャンルと主人公の性別を変えています。

・恋愛コメディ ⇨ ホラー・コメディ
・わがままな気象予報士(男) ⇨ ビッチな女子大生(女)

 物語構造は変わらないのに、ジャンルと主人公の性別を変えるだけで、まったく別ものに見えるから面白い! 「タイムリープ+ホラー」という組み合わせが、ありそうでなかったからでしょう。

 特に、主人公テレサの清々しいほどのビッチぶりは新鮮です。彼女の個性が強烈なので、“いい人”に変わってゆくのが寂しいぐらい(そのままビッチでいてくれ~)。

 

残念なのが、「なぜ、テレサがループをくり返すのか?」という疑問が、解消されないこと。

ただし、この作品には続編があり、その謎にも一応の答えが出されます。続編のタイトルは、『ハッピー・デス・デイ 2U』。「ハッピー・バースデイ・トゥー・ユー」に掛けているのが笑えます。

 

2020年8月現在、『ハッピー・デス・デイ』は1作目・2作目ともAmazonプライムビデオで配信されています。