映画に出てくる幽霊や化け物って、子どものときは怖いけど、大人になると怖くなくなるんですよね。どんなに精巧にできていても、作り物だってわかるから。
それよりも、あきらかに“普通じゃない”人が出てくるほうが怖かったりします。今回ご紹介する映画は、ジム・キャリーがトラウマ級に怖い『ケーブルガイ』です。
映画『ケーブルガイ』概要
『ケーブルガイ』は、1996年公開のアメリカ映画。不動産会社の社員が、ストーカー気質をもつ男に追いかけ回されるサスペンスです。
映画『ケーブルガイ』 | |
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原題 | The Cable Guy |
ジャンル | ブラック・コメディ、サスペンス |
製作年 | 1996年 |
製作国 | アメリカ |
上映時間 | 95分(1時間35分) |
監督 | ベン・スティーラー |
脚本 | ルー・ホルツ・Jr. |
出演 | ジム・キャリー、マシュー・ブロデリック |
距離感が近すぎる男を演じるのは、ジム・キャリー。
『マスク』(1994年)『ライアー ライアー』(1997年)などで知られる、アメリカのコメディ俳優です。
監督はベン・スティーラー。演出家としてより、『メリーに首ったけ』(1998年)『ナイトミュージアム』(2006年)などの主演俳優としてのほうが有名かもしれません。
トラウマ映画『ケーブルガイ』あらすじ
不動産会社に勤めるスティーヴン(マシュー・ブロデリック)は、彼女・ロビンとの仲がぎくしゃくし、郊外のアパートへ引っ越します。暇ができたスティーヴンは、軽い気持ちでケーブルテレビに加入します。
スティーヴンがアンテナの配線工事を頼むと、やってきたのは“ケーブルガイ”(ジム・キャリー)という男。
“ケーブルガイ”は4時間も遅れてきたにも関わらず、やたらなれなれしい人でした。彼はスティーヴンのことをすっかり気に入り、
「いまから一緒に、ケーブルテレビの中継アンテナを見に行こうよ!」
と、誘ってきます。
スティーヴンは断るにも断り切れず、“ケーブルガイ”とともに中継アンテナを見に行きます。スティーヴンが彼女と別れることになった経緯を話すと、“ケーブルガイ”は親身になって聞いてくれ、よりを戻す作戦を教えてくれます。
「距離感が近すぎるけど、案外いいヤツかも・・・」
“ケーブルガイ”の助言をきっかけに、スティーヴンは彼女との関係を修復。彼女を部屋に招き、一緒にテレビを見る約束まで取りつける事ができました。
ところが、デートの予定日。テレビが映りません。困ったスティーヴンが、“ケーブルガイ”に電話しようとすると・・・
「遊ぼうよぉぉ~」
ドン! ドン! ドン!
はげしいノックの音。スティーヴンがチェーン付きのドアを開けると、そこには“ケーブルガイ”の顔が! ぎょぎょっ!! 彼を体を押しこみ、強引に室内に入ってこようとして・・・
『ケーブルガイ』感想!距離感が近すぎる人は怖い!
わたしの実体験なのですが、バイトで知り合った人が距離感の近すぎる人で、出会ったその日に飲みに誘われた事があります。
そこまではともかく、アパートまでやってきた“彼”から
「お疲れでしょう? マッサージしてあげますよぉ~」
と言われ、ゾッとした覚えがあります。
わたしは、初対面からグイグイくる人が苦手。彼には悪気はなかったかもしれないけど、距離感のつめ方が“怖い!”と感じてしまいます。
『ケーブルガイ』は、まさにそういう映画です。
ジム・キャリー演じる“ケーブルガイ”は、他人との距離をいっきに縮めようとするタイプ。本作では、彼の代名詞ともいえる「顔芸」も健在です。
白目をむいて、歯ぐきをむき出しにして、首を全力で振る・・・顔は笑ってるんだけど目の奥が笑ってないのが、余計に怖い!!
『マスク』や『ライアー ライアー』では<笑い>として機能していたジム・キャリーの顔芸が、本作では<恐怖>として機能しています。彼の出演作を知っていればいるほど、“ケーブルガイ”の恐怖感が増すのです。
そのいっぽうで、ちょっぴり切ない要素もあります。物語の終盤、“ケーブルガイ”には不幸な生い立ちがあり、孤独に悩んでいたことがわかります。本名がわからず、役名がそのまま【 Cable guy 】なのも、なんとも悲しい。
でもね。 “ケーブルガイ”みたいな変わった人を、一方的に<異常なヤツ>と決めつけない。そんなバランス感覚のおかげで、トラウマ級ではあるけれど救いのある作品となっています。