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映画『歓びの毒牙(きば)』実写版コナン?黒いシルエットの人が大活躍!

ダリオ・アルジェント監督作『歓びの毒牙』

『名探偵コナン』をはじめ、推理マンガでは正体不明の人物を“黒いシルエット”で描くことがあります。あれって、マンガだから許される表現だと思いませんか?

 

アニメでさえ、全身黒タイツの男が動き回るのは違和感があります。まして、実写であれをやったらふつうはコントになってしまいます。

 

しかし、50年も前にそれをやってのけた映画があります。ダリオ・アルジェント監督の『歓びの毒牙(きば)』です。

 

 

映画『歓びの毒牙(きば)』の概要

 

 『歓びの毒牙』は、1970年に制作されたサスペンス映画。女性ばかり狙われた連続殺人事件が発生! 容疑をかけられた作家が謎に挑む推理ものです。

 

歓びの毒牙(きば)
原題 L'uccello dalle piume di cristallo
製作国 イタリア、西ドイツ
製作年 1970年
上映時間 98分
監督&脚本 ダリオ・アルジェント
原作 フレドリック・ブラウン
出演 トニー・ムサンテ、エヴァ・レンツィ

 

監督は、ダリオ・アルジェント。のちに『サスペリア』(1977)『フェノミナ』(1985)など、映画史に残るアート系ホラー映画をつくるイタリアの巨匠です。

(⇦ 2019年に『サスペリア』のリメイク版が公開されましたが、オリジナルのほうの監督さんです)

 

 

ダリオ・アルジェント監督作『歓びの毒牙』あらすじ

 

 アメリカ人の作家サム・ダルマスは、ローマでモデルのジュリアと同棲しています。2年にわたるイタリア滞在を終え、まもなく帰国する予定でした。

 

出国を2日後にひかえた、夜のこと。

 

ある画廊の前を通ったサムは、恐ろしい光景を目撃します。それは、黒ずくめの男が女性を襲っている場面でした。サムは救出に向かいますが、時すでに遅し。

 

女は襲われ、男は逃げたあとでした。それでも、女は一命をとりとめます。彼女は、画廊の経営者アルベルトの妻でした。

 

 

サムは警察に自分が見たことを伝えますが、警部はサムを疑います。実は、ローマではブロンドの女性ばかりが狙われる事件が多発していました。

 

サムは、独自に調査をはじめます。最初の犠牲者は、古物商の店員でした。彼女がある絵を売ったあと、一連の事件は起きました。サムは、この絵が事件のカギを握っているとにらみますが・・・

 

 

実写版コナン? 黒いシルエットの人が大活躍!

黒ずくめの犯人

  『歓びの毒牙(きば)』は、ダリオ・アルジェント監督のデビュー作です。彼はのちにホラーの巨匠となりますが、本作はきわめて正統派の推理ものです。

 

いわゆる「誰が殺ったのか?」系のサスペンスで、主人公といっしょに犯人さがしを楽しめます。

 

劇中、ときおり全身黒ずくめの犯人が登場します。あるときはナイフを持って女性に襲いかかり、あるときは警察や主人公に電話をかけて挑発します。この、“黒い人”の見せ方が抜群にうまい!

 

黒い手袋だけしか映さなかったり、人物が判別できないように遠くから撮影したり、夜の道を歩く姿を街灯だけで照らしたり・・・犯人視点のカメラワークもあります。

 

“黒ずくめの人物”を登場させながら、違和感を感じさせないほど映し方が巧いのです。監督の映像センスとしか言いようがありません。

 

 

犯人を当てるのは絶対ムリ! 心理のウラをついたトリック!

 

この映画の面白いのは、【主人公は犯行現場を見ているのに、肝心なことが思い出せない】、という設定です。

 

 

このトリックが効いていて、推理ドラマを見慣れている人でも、犯人を当てるのはかなり難しいと思います。それだけ意外性に満ちた真相がまっています。

 

ふつう、あまりに突飛な犯人や犯行動機をもってくると、白けてしまいます。ただ、『歓びの毒牙(きば)』が上手いのは、科学捜査官や精神科医を登場させ、理論だてて犯行理由を説明している点です。

 

理屈に沿って事件の経緯を解説しているので、作品内のリアリティを高めることになり、意外な真相もストンときます。

 

 ダリオ・アルジェント映画は、後期になればなるほどホラー映画色が強くなります。最近のホラー映画が子供だましに思えるほど、トラウマ級の作品も少なくありません。

 

『歓びの毒牙』は女性が襲われる場面はちょこっと怖いけど、本格推理ファンも楽しめる作りとなっています。