いまは便利な時代です。キャンパスライフがどんなものか知りたければ、SNSで現役大学生のリアルな声を聞くことができます。
とはいえ、“大学に通う意義”は、現役大学生の頃には見えづらいものです。
筆者が早稲田に入学したのは10年以上前のことですが、社会に出て、子供を持つ年齢になってから、初めて見えることもあります。
この記事では、卒業生だからこそ感じる、“早稲田大学に通うメリット”についてお伝えします。
早稲田に興味あるんだけど、実際どんな大学なの?
子供を大学にやるなら、絶対に地元の国公立だ! 東京の私立なんてダメだ
このように感じている受験生やご両親の参考になれば、幸いです。
- 【早稲田に入るメリット①】圧倒的な学生数がもたらす、コミュニケーション能力の向上!
- 【早稲田に入るメリット②】YouTubeでは学べない“生きた学問”とは?多様な価値観とふれ合うこと
- 【早稲田に入るメリット③】図書館の蔵書数は560万冊! 知的好奇心をくすぐる本との出会いが待っている!
- 早稲田大学 参考リンク
- まとめ
【早稲田に入るメリット①】圧倒的な学生数がもたらす、コミュニケーション能力の向上!
以下は、2022年度の大学の学生数ランキングです。
第2位:早稲田大学(39,383名)・・・偏差値62.5~70.0
第3位:近畿大学(33,350名)・・・偏差値40.0~65.0
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第7位:慶應義塾大学(28,667名)・・・偏差値60.0~72.5
第25位:東京大学(14,102名)・・・偏差値67.5~72.5
(参考)YouTubeチャンネル「ランク王国」、Webサイト「大学受験パスナビ」
マンモス大学でも、たいていはキャンパスが散らばっています。
たとえば、日本大学。本部があるのは東京都千代田区ですが、国際関係学部は静岡、工学部は福島にあります。
これに対して、早稲田大学はほとんどの学部が、JR・高田馬場駅(または東西線・早稲田駅)から歩いていける距離にあります。
(例外が所沢キャンパス。こちらは埼玉県にあり、他のキャンパスと距離が離れています)
早稲田は、まさに“人間のるつぼ”。全国から理系・文系、いろんな学生が集まってきます。授業やサークル活動を通して、たくさんの人と知り合うことができます。
学生の特徴として、「変わった人」「個性的な人」がまわりに気を遣わなくともよい、居心地のよさがあります。ゼミなどで発言を求められても、自分の意見をはっきり言える人が多い印象です。
筆者が入った文学部では、
「村上春樹の小説は全部読んでます」
「ゴジラ映画のロケ地を全部言えます」
みたいな特化した知識を持った人がいて、刺激を受けたものです。
OB・OGから見ると雰囲気も変わったようですが、それでも他の大学より“多様性”を認め合う空気感はあります。
>> 早稲田のバンカラはもはやコスプレ!?:日経ビジネス電子版
>> 有名人OB・OGが語る「わが不滅の早稲田愛」(週刊現代)
サークルも公認・非公認あわせて約3000あると言われています。
忘れもしない入学式の日。私たち新入生は式典のあと、紙袋を持って【大熊記念講堂】から出ました。すると、センパイ達が列をつくってサークル勧誘のビラを押しこみ、紙袋がはちきれそうになったものでした。
高校までなら、自分と合う人とだけ付き合うことができます。
わたし自身、高校までは人付き合いがヘタでした。
しかし、早稲田でワークショップ形式の授業を受けたり、サークルを3つ掛け持つうち、“苦手なタイプの人とも関わらざるを得ない状況”に置かれます。おかげで、人並みのコミュニケーション能力を得ることができました。これは何よりの財産です。
その代わり、大学側が手取り足取りサポートしてくれる訳ではありません。主体性を持って行動しないと、やりたいことが見つからないまま過ごしてしまう可能性もあります。
【早稲田に入るメリット②】YouTubeでは学べない“生きた学問”とは?多様な価値観とふれ合うこと
早稲田大学には、「全学オープン科目」と呼ばれる講義があります。所属学部や学年の枠をこえて履修できる講義で、卒業単位にも組み込むことができます。
私が学生だった当時、文学部のオープン科目にジャーナリズムの講義がありました。テレビで活躍するようなジャーナリストのかたが、週替わりで壇上に立ちます。
中でも印象深かったのが、江川紹子さんの「取材のやり方・本質」に関する講義でした。
強烈だったのは講義の内容ではなく、江川さんの存在感です。
空気がねじ曲がって見えるような圧迫感。文字通り“オーラを感じた”のです。江川さんといえばオウム真理教を取材し、いっときは命を狙われたジャーナリスト。
ペン1本で死線をくぐり抜けてきた人だからでしょうか? 言葉では説明できない“人間力”を感じました。
こんなこともありました。
ある演劇の教授は、とても陽気なおばさんでした。しどろもどろで課題を発表した私は、からかわれたこともありました。
「早稲田で教授をやってるぐらいだから、エリート街道を歩いてきて、きっと悩みなんてないだろう」
私は、彼女をそんな風に決めつけていました。
ところが、数名の学生とその教授と、飲みに行ったときのこと。酔ったおばさん先生は突然泣き出し、
「どうせ、私にはいい出会いなんかないの」
としぼり出すように語ったのです。
おばさん先生は容姿を気にしており、独身でいることを嘆いたのです。
ギャップがあるだけに、衝撃的でした。この経験から、
「どんなに幸せそうに見える人でも、どんなに表で明るく振舞っている人でも、みんな悩みを持っているんだ!」
と学びました。
他にも、
- 専任教授との給与の差を嘆く、非常勤講師のフランス語の先生。
- 学生に絡んできたヤクザを丸めこんだ、ワークショップの先生(映画監督)。
- 講義中にケンカした学生と飲み会にゆき、和気あいあいと語る直木賞作家。
との出会いがありました。
講義の内容より、年の離れた大人が見せる「人間臭さ」や「心の弱さ」のほうが、学びとなっています。
昨今、不祥事があった人を、よってたかってSNSで誹謗中傷する人がいます。正義感から攻撃しているのでしょうが、世の中必ずしも「善と悪」だけで割り切れません。
立場が違えば、ものの見方が変わってきます。Aさんから見た正義とBさんから見た正義は、イコールではありません。
価値観の異なる人との対話が少ないと他人を許容できなくなり、生きづらい人生になってしまうのです。
早稲田大学では、どこよりも多様な価値観とふれ合うことができます。これは、中田敦彦さんやメンタリストDaiGoさんのYouTubeを見ても学べない、“生きた学問”です。
【早稲田に入るメリット③】図書館の蔵書数は560万冊! 知的好奇心をくすぐる本との出会いが待っている!
早稲田大学には21の図書館があり、その蔵書数は564万冊。これは東京大学、京都大学、日本大学に次ぐ、4番目の数です(2019年のデータ)。
早稲田キャンパスにある中央図書館には、地下1階には“持ち出し厳禁”の貴重な図書もあります。文化財に指定されるような数百年前の古典もあり、そういった資料を直接見られるのも大きなメリットです。
(⇦ 日本史の教科書に載っているような有名古典が、目の前に!)
わたし自身が経験した、図書との出会いをひとつご紹介します。
中学の頃から推理小説を読み出したわたしは、ミステリー作家アガサ・クリスティの大ファンでした。高校時代にクリスティの長編小説を読破し、中でも『アクロイド殺し』という作品にドハマりしていました。トリックが論争を呼んだ名著です。
あるとき、早稲田の図書館で、気になるタイトルの本を見つけます。
『アクロイドを殺したのはだれか』
著者はピエール バイヤールという精神分析医で、パリ第8大学で教鞭をとっていた人です。
この本は、精神医学の観点から、アガサの小説『アクロイド殺し』の犯人は「あの人物」ではない、と指摘。名探偵ポワロの推理を再検証し、“真犯人”を提示しているのです。
いわば「二次創作」や「考察」にあたるミステリー評論なのですが、抜群に面白く、イッキ読みしてしまいました。5時間も図書館にこもってしまうぐらい、知的好奇心をくすぐられたのです。
早稲田の図書館には、このような書籍との出会いがあります。純粋に学問を探求したい人にも、応えてくれる大学です。
早稲田大学 参考リンク
早稲田大学の2022年度のオープンキャンパスは、すでに終了しています。
ただ、YouTubeには「早稲田大学体験webサイト」というチャンネルがあり、学科紹介や学生活動の動画を見ることできます
早稲田大学の一般入試の日程や、学部ごとの受験科目など
なお、わたし自身、高校時代は落ちこぼれでした。
戦略は必要ですが、偏差値50あれば逆転合格はじゅうぶん可能です。旧帝大や慶應に比べれば、早稲田は合格しやすい大学です。
まとめ
偏差値や社会的評価だけで大学を決める人が増えています。早稲田OBとして、ちょっと悲しい。社会に出て10年も経てば、“仕事ができるかどうか”のほうが大事。どこの大学を出たかなんて、ほぼ意味を持たなくなります。
それよりも、もっと“無形の財産”に目を向けてほしい。
早稲田に入ってよかった。価値観を変えるような人々と出会えて、よかった。子供が大きくなったら、早稲田に通ってほしい。
わたしは心からそう思います。
もっと広い視野で大学を選んでいただけると、人生の大きな糧となるはずです。