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韓国映画『ペパーミント・キャンディー』感想!デジタルリマスター版の動画配信は?

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韓国映画『ペパーミント・キャンディー』感想!4KやAmazonでの配信は?

どこが面白いかわからぬまま観ているうちに、空気感にどっぷりハマってしまう映画があります。韓国映画『ペパーミント・キャンディ』は、まさにそんな作品でした。

 

この記事では、映画『ペパーミント・キャンディ』の概要、感想とお届け。4Kデジタルリマスター版のブルーレイの情報や、デジタルリマスター版の動画配信状況についてお伝えします。

 

韓国映画『ペパーミント・キャンディー』の概要

 『ペパーミント・キャンディー』は、1999年公開の韓国映画。ある男の20年に渡る半生を描いた、人間ドラマです。

ペパーミント・キャンディー
原題 박하사탕
製作国 韓国
公開年 1999年
上映時間 129分
監督 イ・チャンドン
出演 ソル・ギョング、ムン・ソリ

 この作品は、ちょっとした選択や時代背景が、いかに人生を変えてしまうかを突きつけてきます。ドライでありながらも目線はどこか温かく、不思議な魅力があります。イ・チャンドン監督作の特徴といえるでしょう。

『ペパーミント・キャンディー』のあらすじ

 

 1999年の春。

 

鉄道の下にある河原のそばで、中年の男女がバーベキューをしています。彼らはソウルのカリボンドン地区で働いていた人々で、同窓会のために集まっていました。

 

その場に現れたキム・ヨンホは奇声をあげたあと、鉄橋の線路に立ち、せまってくる列車の前で手を広げます。

「戻りたい、あの頃に・・・」

と、つぶやきながら。

 

物語は、3日前にさかのぼります・・・

円環構造と光州事件

  『ペパーミント・キャンディー』は、主人公キムが1999年に、河原そばの線路で自殺をこころみる瞬間から始まります。

 

そして、3日前 ⇨ 1994年 ⇨ 1987年 ⇨ 1984年 ⇨ 1980年 ⇨ 1979年

のように、少しずつ時間をさかのぼってゆきます。最後は、ふたたび冒頭の1999年に戻ってきます。

 キムが徴兵され、警察官となり、結婚し、事業を起こす・・・映画は節目となるエピソードで立ち止まりながら、キムの20年を描いてゆきます。

 

 

背景に描かれているのが、「光州事件」です。光州事件は、1980年5月18日に起こった韓国の民主化運動のこと。

 クーデターで実権をにぎった軍部が、高まりつつあった民主化運動を厳しく弾圧。戒厳令が敷かれ、軍は学生や市民らを武力で鎮圧し、たくさんの死傷者が出ました。

 

キムは1980年当時、警察署で勤めていて、運動をした学生を訊問する立場、という設定です。 

4KやAmazonでの配信は?

 『ペパーミント・キャンディー』の製作から20年にあたる2019年に、4Kレストア・デジタルリマスター版が発売されています。このリマスター版はブルーレイのみ。DVD版は発売されていません。

 映像特典として、イ・チャンドン監督の他作品『バーニング 劇場版』や『オアシス』の予告編が収録されています。

 

『ペパーミント・キャンディー』 4Kレストア・デジタルリマスター版 [Blu-ray]

 

 動画配信で『ペパーミント・キャンディー』を視聴することもできます。Amazonプライム・ビデオでは、デジタルリマスター版が配信されています。

※2021年1月時点

感想:妥協の連続でも、「人生は素晴らしい」

  『ペパーミント・キャンディー』は、観客を突き放した映画です。光州事件についての説明もほとんどないし、作品のテーマも見えづらい。7つの回想をつなげてゆくスタイルも、エンタメ映画の“起承転結”とはまるで違います。

 とっつきづらいので、「何が面白いか、わからない」という感想を持つ人も多いでしょう。

 

でも、この作品には時代の空気感が溢れています。人生の悲哀とはかなさが滲み出ています。

 主人公・キムは、初恋の相手スニムを必死に探しますが、なかなか巡り合うことができません。スニムが住んでいたという街を訪れ、食堂で知り合った女と寝ながら、彼女の面影を求めようとします。

 

しかし、どうやってもスニムと一緒になれなかった喪失感を埋めることはできません。

 

キムは刑事となったときは、容疑者を追いつめることで、ムシャクシャを抑えようとします。妻に浮気されたと知った時は、相手の男をボコボコに殴って、イライラを発散させようとします。

 

しかし、何をしても満たされることはありません。

 

思い通りにならなかった人生にもがきながら、必死で妥協点を見出そうとする。そんなキムの姿に、思わずもらい泣きしてしまいました。

 特にハッとさせられたのが、エピソード3にあたる「1994年 夏」の場面です。初恋の相手スニムには会えず、妻には浮気され、事業で失敗。そんなズタボロの状態で、キムは便所でとなり会った男に話しかけます。

 

「人生は美しい・・・だろ?」