映画ときどき海外ドラマ

ドラマや映画の感想・ネタバレなど、エンタメ全般を楽しむサイト。たま~に雑学も。

ヒーローは汚いヤツばかり?Amazon『ザ・ボーイズ』は風刺ドラマ!

f:id:entafukuzou:20190804192200j:plain

Amazonのオリジナルドラマ、『ザ・ボーイズ』。腐敗したスーパーヒーローたちの不正をただそうと、彼らに幸せを踏みにじられた一般人たちが闘いを挑むという・・・

 

いまや、世界を席巻しているマーベル映画や『X-MEN』シリーズを強烈に皮肉ったブラックなドラマです。

 

この記事では、『ザ・ボーイズ』の簡単なあらすじをご紹介し、作品が描こうとしたテーマについて考察してゆきたいと思います。

 

※なお、極力ネタバレは避けています。

 

 

 

Amazonプライム・オリジナル『ザ・ボーイズ』の簡単なあらすじ

 

神セブンならぬ、ヒーロー『セブン』?

 

 

舞台は、特殊能力を持ったスーパーヒーローたちが活躍する世界。そんなスーパーヒーローたちを雇用する巨大企業がありました。それが、民間会社の【ヴォ―ト社】です。

 

 

【ヴォ―ト社】のもとで、スーパーヒーローたちが行なうのは、凶悪犯と戦ったり、災害時に人命を救助したりすることだけではありません。キャラクターグッズの販売や、スポンサードしてくれる議員や企業のイメージアップにも協力するのです。

 

なかでも、万能戦士『ホームランダー』をリーダーとする7人のヒーローチーム【セブン】は、庶民たちから圧倒的な人気を誇っていました。

 

 

スーパーヒーローたちの裏の顔 

 

 

さて。そんな世界の片すみ。雑貨店ではたらくヒューイは、どこにでもいるような普通の青年でした。その日も、恋人のロビンと、他愛のないおしゃべりをしていました。ところが!

 

ヒューイの目の前で、彼女は一瞬で吹き飛んでしまいます。スーパーヒーローの一人で、超高速で走る能力をもつ『Aトレイン』が、不注意でロビンとぶつかってしまったのです。(⇦ まるで、よそ見運転の自動車が衝突したように)

 

彼女を殺されたヒューイはAトレインを裁判で訴えようとしますが、【ヴォ―ト社】は弁護士を派遣し、事故で片付けようとします。

 

納得のいかないヒューイの前に、元・CIAだというブッチャーという男が現われます。ブッチャーは、ヒューイをセレブ御用達のナイトクラブに連れてゆきます。

 

そこでヒューイが見たのは、性のサービスを受けるスーパーヒーローたちの姿でした・・・

 

 

f:id:entafukuzou:20190804190551j:plain

 

Amazonビデオ『ザ・ボーイズ』シーズン1(字幕版)

 

 

 

風刺ドラマ『ザボーイズ』の魅力

 

「持つもの」と「持たざるもの」の不公平感

 

  このドラマ、マーベル映画や『HEROES』のような王道のヒーローものを期待する人には、向きません。かといって、ヒーローものを茶化すようなブラック・コメディでもありません。

 

また、スーパー・ヒーローが高速で走ったり、透明人間になるようなシーンはありますが、SFXは正直かなりしょぼいです。でも、アクションが売りではないのです。

 

描かれるのは、社会の不平等に対するはげしい怒りです。その意味で、アクション・ドラマではなく、完全に社会派ドラマです。

 

 

原作のアメコミが描かれたのは、2006年。原作者は、ガース・エニス。すでにAmazonでドラマ化されている『プリーチャー』の作者です。いまから10年以上も前に描かれた作品です。

 

しかし、驚くべきことに、いまの日本のテレビ界や芸能界を風刺しているような内容なのです。

 

大手の芸能事務所に所属するタレントが不祥事を起こしても、テレビ局は報道しない。そのタレントは、事件などまるでなかったかのように、今日も笑顔をふりまいている。

 

ところが、小さな事務所に所属するタレントが不倫でも起こせば、一日中ワイドショーのネタにされる。この、圧倒的な不平等さ。

 

大企業に所属している、お金持ちの家に生まれる、とびっきり容姿に恵まれている・・・それだけで優遇される、不公平感。

 

『ザ・ボーイズ』でも、スーパー・ヒーローたちは取り返しのつかない失敗をしますが、会社が尻ぬぐいしてくれます。

 

 

人間ドラマとしても面白い!

 

 

このドラマを面白くしているのが、ヒーローチーム【セブン】に新規参入することになる女の子・アニーの存在。

 

電気をあやつる能力をもつ彼女は、【ヴォ―ト社】の面接試験をパスして、スーパーヒーロー『スターライト』として、【セブン】の一員となってゆきます。しかし、憧れていたヒーローが裏でセクハラまがいのことをしていると知り、幻滅します。

 

アニーは、【セブン】に失望しているときにヒューイと公園で出会い、ヒューイに励まされます。そこで、腐敗した組織の中で闘っていこうと決意するのです。

 

 

恋人を殺された恨みから、【ヴォ―ト社】をたたきのめそうとするヒューイ。理不尽なあつかいに耐えながら、【ヴォ―ト社】のやりかたに順応してゆこうとするアニー。

 

組織の外と内。対照的な立場にいる2人が、恋愛関係になってゆくことにドラマが生まれます。

 

 

グロくて、露悪的! それでも面白い!

 

 本作には、グロい場面や、胸くその悪いシーンも頻繁に出てきます。意図的に観客がみたくないような場面を見せているフシがあって、こういうものが嫌いな人には合わないと思います。

 

それでも、社会の理不尽さ、不平等さに怒りを感じている人にはスカッとするドラマです。キレイごとばかりの世界に飽き飽きしたら、少しアクの強い『ザ・ボーイズ』でもいかかでしょうか。