※この記事は、2022年6月に更新されました。
ブラックユーモアが好きな海外ドラマファンを熱狂させたドラマがあります。
その名は、『ザ・ボーイズ』。
腐敗したヒーローたちの不正をただそうと、一般人たちが闘いを挑むという・・・いまや、世界を席巻しているマーベル映画や『X-MEN』シリーズを痛烈に皮肉ったドラマです。
この記事では、『ザ・ボーイズ』の簡単なあらすじをご紹介し、作品が描こうとしたテーマについて考察してゆきたいと思います。
『ザ・ボーイズ』シーズン1の簡単なあらすじ
神セブンならぬ、ヒーロー『セブン』?
What’s the difference between a superhero and a supervillain? Branding. #TheBoysTV pic.twitter.com/ZVHVt3kbHK
— The Boys (@TheBoysTV) October 12, 2018
目から怪光線。空を飛ぶ。透明人間になれる・・・特殊能力を持ったスーパーヒーローたちが存在する世界。そんなスーパーヒーローたちをマネジメントする巨大企業がありました。製薬会社【ヴォート社】です。
ヒーローたちの活動は、人命救助や凶悪犯をこらしめるだけではありません。キャラクターグッズの販売や、スポンサードしてくれる議員や企業のイメージアップにも協力しています。
なかでも、ホームランダーをリーダーとする7人のヒーロー集団『セブン』は、国民から絶大な人気を誇っていました。
腐敗!乱れた風紀!スーパーヒーローたちの裏の顔
さて。そんな世界の片すみ。
雑貨店ではたらくヒューイは、ごく普通の青年。その日も恋人のロビンと、他愛ないおしゃべりをしていました。
ところが!
ヒューイの目の前で、ロビンは一瞬で吹き飛んでしまいます。
『セブン』のメンバーで、超高速で走る能力をもつAトレインが、不注意でロビンとぶつかってしまったのです(⇦ まるで、よそ見運転の自動車が衝突したように)。
彼女を殺されたヒューイはAトレインを裁判で訴えようとしますが、【ヴォ―ト社】は弁護士を派遣し、もみ消します。
納得ゆかないヒューイの前に、元・CIAだというブッチャーという男が現われます。
ブッチャーは、ヒューイをセレブ御用達のナイトクラブに連れてゆきます。そこでヒューイが見たのは、性のサービスを受けるスーパーヒーローたちの姿でした・・・
ある日のこと。『セブン』に復讐を誓うヒューイは、公園でアニーと知り合います。アニーは『セブン』の新メンバーとなった女の子で、変身時はスーパーヒロイン“スターライト”になります。
アニーと打ち解けたヒューイは、ヒーロー集団『セブン』のこと、彼らを裏であやつる【ヴォート社】のことを聞き出そうとして・・・
Becoming a superhero was her dream. Being one is a f**king nightmare. pic.twitter.com/Z4NccIfyyX
— The Boys (@TheBoysTV) May 2, 2019
ヒーローは汚いヤツばかり?ドラマ『ザボーイズ』シーズン1感想
グロい!悪趣味! 「持つもの」と「持たざるもの」の不公平感
このドラマ、マーベル映画やドラマ『HEROES』のような王道ヒーローものを期待する人には、向きません。また、ヒーローが高速で走ったり、透明人間になるようなシーンはありますが、SFXは正直しょぼいです。でも、アクションが売りではないのです。
描かれるのは、社会の不平等に対するはげしい怒り。その意味で、アクションではなく完全に社会派ドラマです。
原作のアメコミが描かれたのは、2006年。原作者は、ガース・エニス。いまから10年以上も前に描かれた作品です。
しかし、驚くべきことに、いまのテレビ界や芸能界を風刺しているような内容なのです。大手の事務所に所属するタレントが不祥事を起こしても、テレビ局は報道しない。タレントは事件などなかったかのように、今日も笑顔をふりまいている。
ところが、小さな事務所に所属するタレントが不倫でも起こせば、一日中ワイドショーのネタにされる。この、圧倒的な不平等さ。不公平感。
『ザ・ボーイズ』でも、ヒーローたちは取り返しのつかない失敗をしますが、会社が尻ぬぐいしてくれます。
「スーパーヒーロー」 VS 「一般人」の対立構造からの変化? “悪役”の心の弱さをも描くドラマ!
『ザ・ボーイズ』シーズン1は、序盤こそ「超人的な能力をもつヒーロー」 VS 「彼らに踏みにじられる普通の人」という対立構造で話はすすみます。
ところが、シーズン1の第6話以降になると、クズだったスーパーヒーローたちの心の弱さやトラウマも描かれてゆきます。
- セクハラ問題を起こし、『セブン』のメンバーから外されてしまったディープの葛藤。
- ヒューイの恋人を吹き飛ばしてしまったAトレインが、狂ってゆく様子。
吐き気がするようなクズたちの、心の再生をも描いているのです。だからこそ、ヒーロードラマなのに、“等身大の人間”として親しみが持てます。
「人生のどん底まで描き切っているからこそ、“本当の感動”がある!」
『ザ・ボーイズ』は、動画サービスAmazonプライムビデオのオリジナルドラマです。月額500円のプライム会員だけが視聴できます。
キレイごとばかりのドラマに飽き飽きしているなら、ぜひ見てほしい。ドハマりすること、間違いなし!