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地上波テレビ放送!『未来のミライ』簡単なあらすじと声優&脚本の問題点

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人気アニメーション作、細田守 監督の『未来のミライ』が、初めて地上波テレビ放送されます。

 

この記事では、『未来のミライ』の簡単なあらすじと出演声優をご紹介。そして、賛否両論あった脚本の問題点を考察します。

 

 

地上波テレビ放送は、ノーカット?

 

放送日時は、2019年7月12日(金)。日本テレビ系列『金曜ロードSHOW!』にて。

 

 

21:00 ~ 22:54

 

 

『未来はミライ』の劇場公開時の上映時間は、98分。番組公式ページでも、本編ノーカットを告知しています。

 

 関連:地上波テレビ放送!『サマーウォーズ』簡単なあらすじと声優紹介【2019年】

 

 

 

『未来のミライ』簡単なあらすじ【ネタバレなし】

 

 

 

 

妹のミライちゃんが、おかあさんとおとうさんの愛を独りじめ!

 

 

都会にある、一軒家。4歳の男の子・くんちゃんと、ばあばは、お留守番をしていました。2人は、出産を終えて退院してくるおかあさんを待っていました。

 

まもなく、おかあさんとおとうさんが、生まれたばかりの妹・ミライちゃんと一緒に帰ってきます。

 

それからというもの、おとうさんもおかあさんも、ミライちゃんの世話にかかりっきり。くんちゃんは、なかなか構ってもらえなくなります。

 

「これまでは、おとうさんもおかあさんも、ボクのことを一番に考えてくれていたのに・・・」

くんちゃんは、両親の愛情を横取りされて、妹にしっとします。

 

 

そんな時、くんちゃんが庭にいると、謎の男が現われます。

「君たちが生まれる前は、僕がこの家の“王子さま”だったんだぞ」

 

そういう男のお尻には、しっぽが生えていました。男の正体は、この家の飼い犬・ゆっこだったのです。

 

 

現れた女の子は、未来からきたミライちゃん?

 

 

そのころ。くんちゃんの家では、大きな変化がありました。おかあさんが仕事に復帰、外で働くようになります。代わって、建築家のお父さんは家で仕事をすることになり、くんちゃんやミライちゃんの子育ても担当します。

 

子育てに慣れていないおとうさんは、ミライちゃんのお世話でいっぱいいっぱい。くんちゃんは、ますます構ってもらえなくなります。

 

ヤキモチを焼いたくんちゃん。ミライちゃんを叩いたり、ミライちゃんの耳を引っぱったりしてしまいます。

 

すると・・・

 

「ちょっとお兄ちゃん。わたしの顔で遊ばないでよ~」

庭に、セーラー服を着た少女が現われます。彼女は、未来からやってきた、大きくなったミライちゃんだったのです。

 

ミライちゃんは、男の姿に変身したゆっこと一緒に、部屋のお片付けをしようとしますが・・・

 

 

 

 『未来のミライ』声優一覧・・・声が合っていない?

 

『未来のミライ』は、声優についても「下手」「声が合っていない」という意見が目立ちます。しかし、幼い男の子の声を女性が演じること自体、外国映画の吹き替えやアニメでは当たり前のように行われています。

 

本作では、プロの声優ではなく、ドラマや映画でも活躍する俳優さんが多くキャスティングされています。むしろ、くんちゃんを演じた女優の上白石 萌歌さん始め、適役だったのではないでしょうか? 

 

 

くんちゃん/本名:太田 訓(おおた くん)・・・上白石 萌歌(かみしらいし もか)

 

本作の主人公。4歳の甘えん坊の男の子。電車の車両が大好き。

(⇦ 作中には、山手線や京浜東北線が登場します)

 

妹のミライちゃんが生まれ、お父さん・お母さんの愛情がミライちゃんに向かっていることに、ねたんでしまう。

 

 

ミライちゃん・・・赤ちゃん:本渡 楓(ほんど かえで)/女子高生:黒木 華(くろき はる)

 

くんちゃんの、生まれたばかりの妹。本作では、女子高生に成長した姿のミライちゃんも登場する。

 

 

おかあさん・・・麻生 久美子(あそう くみこ)

 

くんちゃんのお母さん。産休を終えて、久しぶりに仕事に復帰する。つい最近まで、お片付けができなかった。

 

 

おとうさん・・・星野 源(ほしの げん)

 

くんちゃんのお父さん。会社をやめ、家で建築の仕事をしながら、くんちゃんとミライちゃんの育児も担当する。

 

 

ゆっこ・・・吉原 光男(よしはら みつお)

 

 

 

 

くんちゃんの家に飼われている、犬。種類は、ミニチュア・ダックスフンド。

 

太田家の庭に、人間の男性の姿で現れる。

 

 

 

ばあば・・・宮崎 美子(みやざき よしこ)

 

くんちゃんのおばあちゃん。出産のため入院していたおかあさんの代わりに、くんちゃんの面倒をみていた。

 

 

じいじ・・・役所 広司(やくしょ こうじ)

 

くんちゃんのおじいちゃん。誕生したばかりのミライちゃんの写真を撮ろうとする。

 

 

青年・・・福山 雅治(ふくやま まさはる)

 

くんちゃんが異世界で出会った、若い男。くんちゃんをバイクに乗せてくれる。

 

 

 

 

 

賛否両論? 評価が分かれた理由は、脚本力の弱さ?

 

『未来のミライ』は、細田守 監督作品のなかでも、もっとも賛否両論がうず巻いた作品です。

 

インターネット上では、「失敗作」「イライラする」「意味不明」「最悪」という、ネガティブな感想も目立ちます。

 

その最たる理由は、脚本にあります。

 

 

名脚本家・奥寺 佐渡子の不在

 

細田守 作品のなかでも評価の高い『時をかける少女』『サマーウォーズ』。脚本を担当したのは、奥寺 佐渡子氏です。

 

映画『八日目の蝉』で日本アカデミー賞を受賞し、ドラマ『リバース』や『わたし、定時で帰ります』を執筆している脚本家です。

 

特に、回想シーン、過去と現在を行ったり来たりするシーンの描き方に定評があります。こういった脚本技術を持つ彼女は、異世界モノの多い細田作品とも相性が良かったのですが・・・

 

『おおかみこどもの雨と雪』では細田守 監督と奥寺氏の共同脚本となり、『バケモノの子』『未来のミライ』では、完全に細田監督単独の脚本となります。

 

 

 

「うざい」「むかつく」・・・共感を得られなかった主人公・くんちゃん

 

ドラマや映画の脚本には、「冒頭に主人公の欠点を見せておく」というセオリーがあります。

 

主人公に欠点がある ⇨ 物語を通して、主人公が成長 ⇨ 感動!

 

持っていた欠点を主人公が克服する姿に、わたしたち観客は感動し、カタルシスを得られるわけです。

 

しかし、序盤にやっておかなければならない事がもう一つあります。それは、主人公に「共感してもらう」ことです。

 

「ダメな所もあるけど、こいつ、好きだな~。応援したいな~」

このように観客に思ってもらえなければ、主人公としては失格です。

 

『未来のミライ』の主人公・くんちゃんの場合は、どうでしょう?

 

・お片付けができない

・妹の耳をひっぱる

・新幹線のおもちゃで、妹をなぐる

・鼻くそをポケットにしまう

 

欠点ばかりです。くんちゃんを好きになる要素が、見当たりません。作者は、“克服すべき欠点”を示すことに夢中で、くんちゃんの“いい所”を描き忘れているのです。

 

※くんちゃんには、優しいところもあります。育児に疲れたお母さんが眠りながら涙を流しているとき・・・くんちゃんは、お母さんの頭をなでてあげます。

 

ただ、よい部分が描かれるのは中盤。序盤にこういったエピソードが一つでもあれば、まったく印象は変わってきます。

 

 

見え隠れする、細田監督の女性観

 

 共感を得られなかったのは、くんちゃんだけではありません。お母さんも同じです。

 

くんちゃんのお母さんは復職し、外に働きに出ることになります。逆に、今まで勤めに出ていたお父さんが、家で育児を担当することになります。

 

ところが、お母さんは育児のできないお父さんに、辛らつな言葉を浴びせます。これが、ファミリー向け映画とは思えない、ドキッとするようなセリフ。

 

 

① お父さんが、ご近所さんに愛想よくあいさつしていると・・・

 

お母さん「前から好きだよね。他のお母さんの前で、“やさしいお父さん”の顔するの

 

 

② お父さんがミライちゃんを抱っこしても、泣き止まない時は・・・

 

お母さん「うまくいかなくて当然だよ。くんちゃんのときは何もしなかったんだから」

お父さん「ごめん。仕事に逃げてました」

 

お母さん「そのくせ、私の顔色ばかりうかがう

 

 

③ 家族でお出かけすることになったものの、お気に入りの服でないくんちゃんがダダをこねた時は・・・

 

くんちゃん「ねえ、黄色がいい」

飼い犬のゆっこも吠える。

 

お母さん「ゆっこ、だまって! 頭にひびくから」

お父さん「もう時間だよ」

 

お母さん「わかってます。わかってるって!

お父さん「もう口答えしません」

 

お母さん「なに、その言い方!

 

 

お母さんは、ヒステリック。イライラしている場面が多いのです。迷いながら子育てをしているのは、お父さんも同じはずなのに・・・お母さんばかりが嫌味な人物として強調され、バランスが悪いのです。

  

 

“この作者、心の底では「女性は家庭にいるべき」という古い考えを持っているのでは?”

 

そう感じてしまうのです。

 

 

おかあさんがくんちゃんを叱るときに

男の子でしょ!

 と発する場面があります。

 

こういう台詞が無意識に出てくるところに、

男はこうあるべき、女はこうあるべき・・・

という古い価値観が見え隠れします。

 

 

本作がファミリー向けであることを考えると、もう少しプロデューサー側が、細田監督の脚本を修正すべきだったのではないでしょうか。

 

 

『未来のミライ』は、誰に向けたお話?

 

 それでは、『未来のミライ』の優れている点はどこなのでしょうか? 作品のどこを楽しめばよいのでしょうか?

 

本作は、これまでの細田監督の過去作と比べると、とてもスケールの小さい作品です。

 

「未来からきた妹とふれ合う」というファンタジー要素もありますが、現実世界で描かれるのは、4歳の男の子の成長。そして、子育てに悩むおかあさん、おとうさんの成長です。

 

取りたてて、ドラマチックな物語がある訳ではありません。

 

ごくささやかな家族の成長を描くだけなら、別に実写でも構わないはず。作り手がわざわざアニメーションで描きたかったのは、“4歳”という年齢の子どもの可愛らしさだったのではないでしょうか。

 

・全身をつかって、階段をのぼるところ

・「お片付けをしようね」と言われて、「は~い」と返事をするものの、すぐに遊びだす

・雪を一生けんめい、つかもうとするところ

・お尻をつきだして、眠っているところ

・くすぐられて爆笑する

・手の平の裏で、涙をぬぐうところ

・大人を見上げるときの、顔の角度

・片足をつま先立ちさせながら、自転車に乗るしぐさ

 

くんちゃんの行動のひとつひとつが、ある意味、エンターテインメントだと言えます。アニメーションで誇張して描くからこそ、4歳児の行動の神秘さにワクワクするのです。

 

 

 

 

細田脚本のよかった点は、何度も出てくる庭の階段の描写です。最初はおっかなびっくり階段を下りているくんちゃんが、物語が進むにつれ、しっかりと足をふみ出すようになります。

 

ここに、くんちゃんの成長が描かれています。短い間でも、少しずつ成長している様子が、くんちゃんの行動・しぐさから感じ取れるのです。

 

『未来のミライ』は、我が子の成長を見届けた経験のある、お父さん・お母さんに向けられた作品といえるのではないでしょうか。

 

劇場ではイマイチだと思ったかたも、視点を変えて、今回の地上波テレビ放送を楽しんではいかかでしょうか?