手軽に食べることのできる、パン。ご飯とならんで、私たち日本人になじみ深い食品です。
このパン。もともとは何語なのでしょうか? また、漢字ではどう表記するのでしょうか?
パンは、もともとはポルトガル語!
ポルトガル語の「pão = パォン」から、「パン」へ
「ロイヤル・ブレッド」という商品名の食パンがあるように、パンのことを英語では「bread= ブレッド」と呼びます。デンマークやノルウェーでも同じく「bread」。
これは、古いゲルマン語からきている言葉です。たとえばオランダ語では「brood」、ドイツ語では「Brot」と表記します。
いっぽう、わたしたちが普段使っている「パン」は、もともとはポルトガル語の「pão = パォン」が由来です。
こちらはラテン語が語源で、たとえばフランス語では「pain」、イタリア語では「pane」と表記します。
日本での「パン」の歴史
「パン」が日本に伝わったのは、16世紀後半。鉄砲などどいっしょに、ポルトガルから種子島に入ってきます。
ところがその後、日本が鎖国政策をとったために、パンは市場に出回らなくなります。ただ、長崎では、製法の似ているビスケットが作られていました。
19世紀のこと。天保13年(1842年)、韮山(にらやま)の代官・江川太郎左衛門は、日本で初めてパンを焼きます。これは、アヘン戦争後のイギリスが攻めてくることを想定して、兵糧(ひょうろう)として備蓄しておくためでした。
明治2年。東京・日影町(現在の新橋)に【木村屋総本店】がオープンします。
明治7年、【木村屋総本店】があんぱんの開発に成功。
明治8年、明治天皇に初めてあんぱんが献上されたことで、爆発的に普及します。
お店で焼いて販売する、という意味で日本初のパン屋さんと言われているのが、1864年に開店した【横浜ベーカリー】。最初の店主はイギリス人のクラークで、やがて打木 彦太郎に引き継がれます。
パンは、漢字では「麺麭」と書く
「パン」を辞書で調べると、よく載っている漢字が「麺麭」です。めん類を表す「麺」と、粉餅やだんごを意味する「麭」から成り立っています。
また、少し難しめですが、「麪包」や「麵麭」もパンと読みます。
中国語では、パンのことを「面包」(miànbāo = ピンイン)と表記します。