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『狸合戦ぽんぽこ』ハンバーガーや多摩ニュータウンが登場する理由は?

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※この記事は、約5分で読めます。

スタジオジブリのアニメ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』には作中、マクドナルドのハンバーガーが登場します。また物語の舞台となるのは、開発中の多摩ニュータウンです。

 

 

この記事では、ハンバーガーや多摩ニュータウンを題材に用いた理由について、考察します。また、『耳をすませば』との関連性についてもお伝えします。

 

※なお、一部ネタバレを含みますので、閲覧にはご注意ください。

 

 

 

 

高畑勲さんは、作家性の強い映画監督である!

 

『平成狸合戦ぽんぽこ』の監督は、高畑 勲(たかはた いさお)さんです。

 

スタジオジブリ作品としては、『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』『かぐや姫の物語』などを監督されています。

 

高畑さんは、東京大学の仏文科を出ています。たいへんな勉強家で、制作にあたっては事前研究と時代考証を重視するのが特徴です。子ども向けのアニメとしては不向きな、やや難解な題材も扱います。

 

 

『平成狸合戦ぽんぽこ』は、コメデイ要素のたくさんある楽しい作品です。しかし、宅地開発をめぐる人間とタヌキの闘いのなかで、かなりの負傷者・死亡者がでています。

 

このことからも、単に面白おかしい物語ではないことがわかります。

 

 

 

 

マクドナルドのハンバーガー登場する理由とは?

 

映画の時代設定と制作時期の関係

 

 

『平成狸合戦ぽんぽこ』の物語上の時代設定は、昭和40年代です。

 

昭和43年に日本のGNP(=国民総生産)は世界第2位となり、高度経済成長がピークを迎えます。

 

 

 

いっぽう。映画が公開されたのは、1994年7月。企画・製作は、数年前からスタートしています。

 

折しも、日本が“バブル崩壊”という景気後退期に入ったのが、1991年から1993年。つまり、景気がドーンと落ちこむ時期に、華やかな時代の作品を制作していたことになります。

 

 

マクドナルドのハンバーガーが登場するシーンは? 

 

『平成狸合戦ぽんぽこ』の劇中、東京・多摩市の丘陵にすむタヌキたちは、会議を開きます。

 

ニュータウン開発のため、人間たちは山や森を切り拓こうとしています。住みかを奪われつつあったタヌキ達は、この危機を乗りこえるために緊急会議をひらきます。

 

会議では、有名な変化の術をあやつる長老たちを招くことが決まります。

 

 

 

その中で、こんなナレーションが差し挟まれます。

 

ナレーション「なお、議事進行にあたり、議長団の用意したマクドナルドのハンバーガーが有効にはたらき、無事族長会議は終了した・・・」

 

 

 

 

ハンバーガーは、大量消費社会に対する風刺?

 

映画では、タヌキ達が会議の最中、おいしそうにハンバーガーをほおばるシーンがあります。

 

このハンバーガーは、どうやって手に入れたのでしょうか?

 

 

ポイントは、まだ若いタヌキ達に『化け学』(=変身の術)を教える前だということ。

 

つまり、このハンバーガーは人間に化けたタヌキが購入したものではなく、拾ったハンバーガーであることが推測されます。

 

 

初期の時代、マクドナルドのハンバーガーは作り置きでした。マネージャーが売り上げを予測し、調理クルーに指示を出し、調理したバーガー類をストックしておきました。

 

 

それらは10分経つと、廃棄されていました。

 

お客さんは注文してから待たずに食べられる反面、マネージャーが読みを誤ると、大量にバーガーを廃棄することになります。

 

 

 

なお、マクドナルドではシステムを改善し、廃棄を大幅に減らしています。具体的には、2001年ごろから注文を受けてからスピード調理する『メイド・フォー・ユー』

というシステムを導入し、廃棄バーガーを半減させているのです。

 

 

 

映画が作られたのは1990年代初期ですので、バーガーが大量廃棄されていた時代。

まだ食べられるものを捨てていた、大量消費社会への警告という意味合いもあるのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 物語の舞台が、多摩ニュータウンである理由とは?

 

 

 

多摩ニュータウンとは?

 

多摩ニュータウンは、東京・多摩丘陵に開発されたニュータウンです。都市再生機構や東京都が主体となって、“便利で自然と調和した都市”をめざしていました。

 

ところが、駅から遠い場所に無理やり住宅団地を造ったため、さまざまな弊害があらわれます。

 

 

坂道が多いため、通勤・通学が大変。

買い物に不便。

 

新しい街に期待して移住してきた若者たちは、次々とニュータウンを離れてゆきます。その結果、高齢者の割合が多くなり、人口分布はいびつな形に・・・

 

 

 

 

 

開発前から、当然のごとく反対の声も多かったのも事実です。

 

「自然との調和」を謳っておきながら、山や森を切り拓くなんて・・・

 

 

 

動物たちを追い出してまで巨大なニュータウンを造ったのに、都市計画が失敗して人が減り続けるとは、なんとも皮肉です。

 

もちろん、これだけ大きな開発計画が持ち上がったのは、当時の日本に経済力があったからです。『ぽんぽこ』の舞台が多摩ニュータウンなのは、経済発展の影の部分だからという意味合いでしょう。

 

 

『耳をすませば』の舞台も、多摩ニュータウンだった?

 

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『平成狸合戦ぽんぽこ』のエンディングで、ある風景が映ります。高台から見たらしき、東京の夜景。

 

驚くべきことに、『耳をすませば』のオープニングの映像とそっくりです。まるで2つの物語がつながっているかのようです。

 

 

 

『耳をすませば』の舞台は、東京多摩市の聖蹟桜ヶ丘です。

 

作中には、実在する風景がそこかしこに出てきます。

 

京王線・聖蹟桜ヶ丘の駅。

いろは坂。

バスのロータリー。

杉村が雫(しずく)に告白する、神社。

 

 

『平成狸合戦ぽんぽこ』で開発中だったニュータウンが完成し、その集合住宅に『耳をすませば』の主人公・月島 雫は住んでいるのです。

 

 

『耳をすませば』と『ぽんぽこ』をつなぐ、都市伝説

 

 『耳をすませば』の主人公・月島雫は、『カントリー・ロード』の替え歌を作ります。それが、『コンクリート・ロード』でした。

 

 

コンクリート・ロード どこまでも

 

森を切り 谷を埋め

 

ウエスト・東京 マウント・多摩

 

ふるさとは コンクリート・ロード

 

 

歌詞に出てくる「ウエスト・東京」は“西東京”、「マウント・多摩」は“多摩の丘”という意味。

 

 

この作詞を担当したのは、『耳をすませば』の監督でもある宮崎駿さんです。

 

雫(しずく)はこの歌詞を披露したあと、笑っています。しかし、宮崎駿さんは面白がってこの詩を書いたとは思えません。

 

 

というのも宮崎監督は、『もののけ姫』では“自然と人間の共生”をテーマにしているからです。

 

 

「動物たちを追い出し、自然を壊して、コンクリートばかりの場所に人間は住むべきなのか?」

 

と、問題提起をしているのではないでしょうか?

 

だとすると、『コンクリート・ロード』の歌詞は、『平成狸合戦ぽんぽこ』でタヌキたちを追い出した人間に対する皮肉にも聞こえます。

 

 

 『ぽんぽこ』が公開されたのが、1994年。

『耳をすませば』が公開されたのが、1995年。

 

制作時期がきわめて近いので、意図的に関連性を持たせたとしても不思議ではありません。