映画ときどき海外ドラマ

ドラマや映画の感想・ネタバレなど、エンタメ全般を楽しむサイト。たま~に雑学も。

道徳的に間違ってる!『コンフィデンスマンJP』5話あらすじとシナリオ考察

f:id:entafukuzou:20190523041124j:plain

 ※この記事は約8分で読めます。感想&シナリオ分析だけなら約2分です。

長澤まさみ主演ドラマ『コンフィデンスマンJP』。第5話のあらすじ、シナリオ分析をまとめました。

 

はっきり言って、第5話のシナリオは道徳的に良くないと思います。古沢良太 脚本の悪いところが出ています。

 

※シナリオ分析は、ページの下段にあります。

  

 

『コンフィデンスマンJP』第5話あらすじ

 

悪徳理事長とダメ医者

 

野々宮病院は、メディアによるイメージ戦略で入院患者を集めていました。やり手の理事長・野々宮ナンシー(かたせ梨乃)とスーパードクターの息子・ニール(永井大)。この病院にリチャード(小日向文世)が入院します。虫垂炎でした。

 

「名医に切ってもらえる」

と喜んでいたリチャードでしたが、執刀医はブサイク顔の田淵(正名僕蔵)に決まります。ところがこの田淵、手術の腕はピカイチ。なんなくリチャードの手術を成功させます。

 

1か月後。田淵は病院を解雇されていました。

 

実は、スーパードクターと騒がれていたニールは、腕のよい外科医ではありませんでした。ニールの手術は、裏で田淵が執刀していたのです。ニールの黒子として働いていた田淵が給料アップを望むと、理事長のナンシーはあっさり田淵をクビにしてしまったのです。

 

ナンシーはお金持ちの患者を最優先し、賄賂も受け取っていました。そのお金でホストクラブで派手に遊んでいました。

 

 

健康体のナンシーを、重病人にする

 

「許せない!」

命をもて遊ぶナンシーに、ボクちゃん(東出昌大)の怒りが爆発します。

 

「田淵先生を復活させてやろうぜ!」

田淵に救われたリチャードも張り切ります。ダー子(長澤まさみ)は、名医である田淵を解雇したナンシーが代わりの医師を探しているに違いない、と推測します。

 

そこでボクちゃんが、ボストンで腕を磨いた名医という設定で、野々宮病院委にもぐり込みます。ナンシーは、偽の履歴書にだまされます。ボクちゃんはニールの助手という形で、医師として勤務することになったのです。

 

次の日。ボクちゃんは腕に包帯を巻いて現れます。これで、医療行為をしなくて済みます。

 

「手術の予定が詰まっているのよ!」

声を荒げるナンシーに、ボクちゃんは言います。

「声がかすれてますね。どこか気になる所はありませんか?」

 

ボクちゃんはナンシーを精密検査させます。ナンシーは健康で、どこも悪い所はありませんでした。そこでボクちゃんは、五十嵐(小手 伸也)の準備した偽の診断書をナンシーに見せます。大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)を患っている、と嘘の報告をしたのです。手術をするためには高度なスキルを要する病気です。

 

「問題ないでしょう? スーパードクターのニールさんがいるじゃないですか!」

 

ボクちゃんは平然と言ってのけます。

 

ニールの腕を信用していないナンシーは、困った顔をします。ダー子たちは、ナンシーがスキルの高い田淵を呼び戻すに違いない、と考えていました。

 

ところがナンシーは、ボクちゃんの師匠である名医・ジョンに執刀してほしいと言い出すのです。ジョンは、ボクちゃん達がでっち上げた架空の人物。

 

ブラックジャック、ダー子

 そこでダー子は、ジョンの弟子・日系人のナオミ、という名医を考案します。ダー子はナオミに扮し、ジョンの代役という形で野々宮病院にやってきます。

 

ダー子はナンシーの診断書を見ると、

「ノープロブレム! 私ならオペできま~す」

と言います。

 

その上で危険なオペだからと、300万ドルもの手術代を要求します。ナンシーは渋々要求を飲みます。「ただし、報酬を払うのは手術の後よ」と条件をつけました。お金をもらうためにはオペするしかなくなります。そもそもナンシーは、ホントは病気じゃなないのに!

 

ダー子は、医学書やマンガ『ブラックジャック』を読み漁って猛勉強を始めます。

 

ある日の事。ダー子とボクちゃんはナンシーの病室を訪れます。ナンシーは「こんな物食えるか!」と病院食に八つ当たり。病気のために精神的に追い込まれているようです。ダー子が「なんでも言って下さい」と声をかけると、ナンシーは「あんたになんか頼みたくなかった」と本音を漏らします。

 

大がかりなニセ手術の始まり~

 

さて、ナンシーの手術当日。ナオミは医療チームを引きつれ、野々宮病院にやってきます。五十嵐や怪しい外国人が医療スタッフに扮していました。ダー子は睡眠導入剤を注射して、ナンシーを眠らせます。

 

一方、オペ室のようすを見ることのできる部屋では、ニールが心配そうに見守っていました。実は、モニターに流れる映像はボクちゃんが用意した手術映像。ところが、この手術映像が途切れてしまい、実際のオペ室が映ってしまいます。ニセ映像のDVDがうまく再生されなくなってしまったのです。さあ、大変! ニールの目をごまかしきれなくなりました。

 

ボクちゃんは急いでオペ室にかけこみ、事情を説明。これには、ダー子やニセ医療チームの面々も焦ります。完全に油断しておしゃべりしていたからです。ダー子は本当に手術する気になります。ボクちゃんが役にのめりこむダー子を正気に戻そうとしますが、時すでに遅し。

 

私、失敗しない・・・気がする

ダー子はナンシーの体にメスを入れ始めます。

 

別室のニールが感心するほどの手さばきで、ダー子は手術を進めます。と・こ・ろ・が! 突然、ナンシーの体から大量の出血!

 

 

『コンフィデンスマンJP』5話・ネタバレ

 

 

 

手術してもらいたかった相手とは?

 

ニールがオペ室のようすに慌てていると、田淵が入室してきます。田淵は、病院から呼び出しを受けたというのです。ニールは頭を下げて田淵にオペを頼みます。

「悪いな。そのばばーが俺にした仕打ちは許せないな」

穏やかだった田淵は本性を現します。

 

実は、ナンシーが田淵を解雇したのは給料アップを要求してきたため、ではありませんでした。勤務態度、患者に対する態度に問題があったのです。

 

そして、ナンシーが本当に切って欲しかった相手は息子のニールでした。お人好しで、本当は腕があるはずなのに自分に自信がないニール。そんな息子のことをナンシーは信じていたのでした。

 

母親の本当の思いを知り、ニールはオペ室にかけこみます。ところが、

「だめだ。何も見えないよ、君たちがやってよ」

と逃げ帰ってしまいます。えっ!?

 

田淵からもニールからも見放されたナンシーはピンチに。

「どうするんだ?」

とボクちゃんも慌てます。すると、ダー子達は手術部位を覆っていた布をはぎ取ります。そこには、シリコンで作られたニセモノの皮膚や内臓が! すべてはハリウッドで活躍するメイクアップアーティスト・ジョージ松原(山田孝之)が製作したものだったのです。

 

ボクちゃんは松原に、というか山田孝之に

あんた、仕事選んだほうがいいよ

とアドバイス(笑)

 

生死の境をさまようと、人は変わる

 

さて、数日後。ナンシーは息子のニールを解雇します。

「あなたには、医者よりもっと向いてる仕事がある」

息子を思っての、あえての厳しい決断でした。

 

しかし、このナンシーの心変わりもダー子は予期していました。生きるか死ぬかの大手術を経験すると、人間は生き方を改める傾向があるというのです。

 

ナンシーは、病室で手術の痕をかくす絆創膏をはぎ取ります。そこには、手書きで書かれた手術の痕が・・・だまされたことを知ったナンシーは、怒るどころか思わず笑いがこみ上げてきたのでした。

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

道徳的に間違ってる! 第5話のシナリオ分析

 

 第5話のシナリオの流れは、こうです。

 

① 野々宮病院は、ナンシーが運営。息子のニールはヤブ医者。難しい手術は、ブサイクな田淵が担当していた。

 

② ナンシーは田淵を解雇。田淵に世話になったリチャードは、ナンシーの病気をでっちあげ。田淵が戻ってくるように仕向ける。

 

③ ナンシーは潜入したニセ医者(=ボクちゃん)の師匠に、手術を依頼。ダー子が手術するハメに。

 

④ ボクちゃんは、田淵先生に連絡。ナンシーの手術を頼む。

 

⑤ 田淵先生は、態度を急変させる。勤務態度、患者への接し方が悪かったことが判明。

 

⑥ ナンシーはダマされた(=どこも悪くなかった)ことを知り、笑い飛ばす。

 

まず、シナリオの構造に問題があります。田淵先生が本当に患者への接し方が悪いのなら、どうしてリチャードは「田淵先生のかたきを討ってやろうぜ!」と発言するのでしょう? よくしてもらったからじゃないの?

 

矛盾します。

 

 しかし、そんなことよりもっと大きな道徳上の問題があります。

 

 

ブサイクな人間は、傷つけてもいいのか!

 

本当はスキルがあるのに、ニールの黒子として安月給で働かされていた田淵先生。ナンシーは、そんな田淵の顔をみて「気持ち悪い、気持ち悪い」とバカにして、挙句の果てにクビします。

 

物語の後半には、田淵は本性を現します。ナンシーをばばあ呼ばわりすると、病院の経営権まで要求し始めるのです。

 

かわいそうな被害者だと思われていた田淵が、実は嫌なヤツだったという設定なのですが・・・

 

 

でも、ナンシーが田淵を、容姿の事でからかったのは事実。

 

人を傷つけるような暴言を吐いておきながら、そのナンシーが「息子思いのいい母親だった」と印象付けようとするのは、感心できません。

 

こんなの、全然いい人じゃないでしょう!

 

 

明らかに、田淵と言うキャラクターにだけ作者の愛がないような気がしました。ブサイクな人間は、容姿のことで傷つけても構わないのでしょうか?

 

ここだけは、道徳的に間違っています!

 

 

もしここで、ナンシーが他人を傷つけたことを反省する描写があったらでどうでしょう? ナンシーの成長を描くことができます。

 

それでこそ、ドラマです。

 

成長も反省もしない人間を無理矢理【いい人】として描くのは、脚本としては大きな欠陥です。

 

はっきりいって、非常に不愉快です。

 

 

『勇者ヨシヒコ』『漫才ギャング』にも、脚本家の差別意識が!

 

 

同じように不快な思いをした作品があります。

 

ひとつは、ドラマ『勇者ヨシヒコと魔王の城』の第2話。

 

渡辺直美さん演じるオシナは、山の神をしずめるため、生贄となります。

勇者ヨシヒコは、そんなオシナに対して

「ブス! ブス!」

と連発。

 

山の神がいらないから連れて帰ってくれ、と言ったときも

「ブスでよかったですね」

と、ひと言。

 

勇者ヨシヒコは、他人の心を傷つけておきながら、反省もしません

 

 

 

もうひとつは、品川ヒロシ 監督の映画『漫才ギャング』

 

ロバート秋山さん演じる小淵川は、ガンダムオタクのキャラクター。そんな彼のことを、デブタクという人物は、「気持ち悪い、気持ち悪い」とひたすらバカにします。

 

デブタクは暴言を吐いたことを反省もしなければ、誰かに注意もされません。

 

それどころか、他人を傷つけたデブタクは、別のシーンでは“友達思いのいい人”として描かれます。

 

オタクの小渕川に対するフォローは、一切なし。この扱いの差。この違和感。

 

 

こういった作品を見ていると、脚本家の差別意識が作品に表れているように感じます。彼らは、普段から「ブス」や「オタク」の人たちは傷つけても構わない、と思っているのではないでしょうか?