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将棋中継を見るようになったけど、専門用語ばかりでわからない。こんな風に思ったことはありませんか? 将棋の棋士はしゃべりのプロではないので、人によって解説のやり方もまちまちです。
ですが、初心者が見てもわかりやすい・楽しい解説をしてくれる先生もいます。
そこで、将棋は指さないけれど観戦は好きという観る将におススメの、解説の面白い棋士・わかりやすい棋士を10名を選んでみました。
聞き手の女流棋士との組み合わせを楽しむ場合は
丁寧でわかりやすい! 初級者も楽しみながら学べる解説をする棋士たち
中村太一七段・・・爽やかな見た目で、キャスターもこなす
爽やかなルックスと早稲田卒という経歴を生かして、NHKの情報番組の司会も務めていた逸材です。どんな話題にも笑顔で対応し、駒の動かし方がわからない超初心者にも楽しめるように気を配ったりと、本当に卒がない棋士です。
ニコ生の将棋放送では、解説や聞き手の先生に視聴者から質問が届くことも。
どういう訳か、中村七段への質問メールは圧倒的に男性からのものが多いのも特徴です。2017年には羽生王座とのご番勝負を制して王座奪取、初タイトルを獲得します。
しかし翌年、斎藤慎太郎七段に敗れ、失冠しました。
野月浩貴 八段・・・初心者にもありがたい、丁寧な解説
You tubeで、初段を目指す人のための講座を開いていた中堅棋士。その経験からか、教え方の上手さが伝わってくる解説です。
番組放送中も、時間をみてはミニ講座を開いてくれるので、対局の解説と将棋教室をいっぺんに楽しめるお得な棋士です。
サッカーが大好きで、将棋とサッカーのコラボイベントも積極的に行なっています。自身の将棋では相掛かりや横歩取りという激しい戦法を好み、さらにその中でも攻撃的な闘い方を好みます。
将棋連盟公式のアマチュア初段をめざす動画 ↓
話のつきないしゃべりの達人! 面白トークが光る棋士たち
木村一基 王位・・・スベラない「おじさん」
一見サラリーマン風の容姿ですが、しゃべり出したら止まりません。サービス精神旺盛で、ボケはもちろん、ぼやきも毒舌も巧みに使い分け、視聴者や観客の棋力に応じて話を変える器用さを持ち合わせています。
ついたあだ名は「解説名人」。親しみをこめて、「(将棋の強い)おじさん」と呼ばれることも。
大のお酒好きで、特に好きなビールは琥珀エビスだとか。
自身の将棋では粘り強く守備的に闘い、ときに玉自ら顔面受けをすることもあり、「千駄ヶ谷の受け師」の異名はダテではありません。とくに、相手の攻め駒にアタックする攻撃的な守備が特徴です。
そして、46歳にして初のタイトル、王位を獲得。23歳でプロ入りした苦労人が、ついに大輪の花を咲かせました。
高見泰地 七段・・・母性本能をくすぐる喋り上手
アベマTVで頭角を表した、次世代の解説名人。丁寧な解説と、すべらない話で一躍脚光を浴びています。かわいらしい仕草が女心をくすぐるのか、女性ファンも急増中。
自ら「観る将」と自称するだけあって、将棋番組の内容にメチャメチャ詳しく、ネタがつきません。増田康宏 六段に見た目がそっくりで、よく間違えられるのが本人の悩みだそう。逆に増田六段は、間違えられたことがないと言うのも面白いです。横浜DeNAベイスターズの大ファンでもあります。
AIをも欺くか(笑) / 他1コメント https://t.co/jw9aJXq3pV “高見泰地五段と増田康宏四段が本当に似てるのかAIに聞いてみた” https://t.co/jkV7vLkCXD
— あっちょんぶりけ (@ihsazemuzus) 2018年2月21日
第3期叡王戦では、金井恒太 六段との七番勝負を制して、叡王位を獲得。実力の上でも、スター棋士の仲間入りを果たします。
しかし翌年、永瀬拓矢 七段(当時)にやぶれ、失冠。奮起が期待されます。
飯島栄治 七段・・・伝説の9択外し
マンガ、レトロゲームに造詣が深く、話のネタがつきません。自ら考案した戦法「引き角」をグッズにして、キャラクタービジネスも展開する商売上手でもあります。
肝心の解説のほうは手が見えないことが多く、かつて視聴者に出題した次の一手で、自ら挙げた9択を全て外すという荒業をやってのけました。
「その手もあると思ってました」が口癖。
自虐的なエピソードにも、事欠きません。叡王戦の予選で、弟弟子の村山慈明 七段と対戦したときのことです。対局に勝った村山さんは、飯島さんと指したことをすっかり忘れてしまいます。
そして、1ヶ月後。練習将棋で顔を合わせた2人。
村山さんは、
「飯島さん。叡王戦、どうされました?」
と質問。
飯島七段は対局で敗れただけでなく、自分に勝った相手に対局そのものを忘れられる、という屈辱を味わわされたのです。
藤井猛 九段・・・モットーはテキトー。棋界きっての人気解説者
居飛車アナグマを攻略した『藤井システム』の考案者。奨励会への入会が遅かったにも関わらず、努力を重ねてプロ入りした苦労人でもあります。
序盤の研究家として知られますが、解説は適当がモットー。自分が詳しくない戦型が現れると「専門家じゃないんで~」と言い出し、終盤の難しい局面に突入すると「だいたい詰み」とごまかしたりします。
また、対局中の2人の心情を実況中継するアテレコも得意。
ファンからは、「てんてー」と呼ばれて親しまれています。かわいい女流棋士や注文ガールに積極的に声をかけるという、スケベな一面も? 若いコが好き、という噂も。
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将棋連盟は人材の宝庫! キャラが濃い棋士たち
豊川孝弘 七段・・・意地でもダジャレをぶっこむ
何食わぬ顔で、マシンガンのようにおやじギャグを挟むベテラン棋士。ギャグは、昭和のネタ・将棋の棋士の名前をもじった内輪向けのものが多いのが特徴。
「両取りヘップバーン」「青野とるイチ」「間に淡路」「同飛車大学」「(形勢が)難解ホークス」「(飛車や角を)キリマンジャロ」「いかんガー」「夜に頭が働いてナイトフィーバー」「イタイ。小結イタイ」「高段者に新潮社」などなど。
聞き手がピンとこなくても、スルーされてもガンガン突き進む姿勢はプロの鑑です。かつて奨励会の幹事を務めていた頃は相当怖い先生だったらしく、渡辺棋王などもよく怒られていたそうです。
佐藤紳哉 七段・・・桂馬が跳ねると、カツラが飛ぶ!
NHKのインタビューでカツラを被ったまま「豊島?強いよね。序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ。だけど俺負けないよ」と発言し、将棋ファン層の拡大に貢献した棋界の革命児。
解説では、出オチにカツラを取ったり、桂馬が跳ねた瞬間にカツラを取ったりするが、ことごとくスベッています。しかし、本人は寧ろ楽しんでいるようで、毎回手を変え品を変えネタを仕込んできます。アドリブに弱いのが、玉にキズ。解説では、バシバシと手が当たることが多く、そのギャップも魅力の棋士です。
糸谷哲郎 八段・・・多彩な才能、あふれるサービス精神
大阪大学で哲学を学んでいた異色の棋士。驚異の早見え早指しで、NHK杯では実力者の渡辺棋王を早々と打ち負かし、放送時間の後ろに臨時番組が組まれる、という珍事を招きました。ゲームをやらせればポケモンカードゲーム大会で優勝し、食レポをやらせれば豊富な語彙でおいしさを伝えてくれます。
また、視聴者からのメールを短時間でさばききる手腕から、「DJダニー」と呼ばれることも。多芸多才ですが腰の低いいじられキャラで、関西の棋士たちからの人望が厚い棋士です。積極的に将棋普及のイベントを開いています。番組内では聞き手にせがまれて、アカペラで「もののけ姫」を披露したこともありました。
窪田 義行 七段・・・『りゅうおうのおしごと!』扇子がお気に入り
自身の対局では空気清浄機を準備し、詰め将棋カラオケでは河島英五『野風増(のふうぞ)』を選曲し見事な歌声を披露。個性的な棋士として、注目を浴びていた窪田 七段。
解説としての姿は長い間ベールに包まれていましたが、ついにニコ生に登場しました。なぜか、アシスタントは女流棋士ではなく、井出 四段。窪田 七段の早口を聞き取れるから、というのが抜擢の理由です。
窪田 七段は、解説ではマニアックなマンガや歴史の知識を披露します。
- 『キン肉マン』のマッスル・リベンジャー(偽物)
- 『おいしんぼ』の海原雄山
- 『キャプテン翼』の石崎くん(顔面受け)
- 『ピュンピュン丸』のきびしーっ
- 『ラブライブ』
などなど。サブカルチャーへの並々ならぬ造詣の深さに、視聴者も盛り上がります。
さらに解説中には勝手にお菓子を食べ始めたり、井出 四段が話を振ると「その話はさておき・・・」とうけながしたり・・・フリーダムな一面を見せます。
視聴者の「早口を聞き取れるようになった」という意見に窪田 七段、「スピードラーニング?」という絶妙の返し。まさに神回。ひふみんに匹敵する逸材が、ここに爆誕です。
その他
この他、見た目がさわやかで解説も丁寧な村山泰明(むらやま やすあき)七段、阿久津主税(あくつ ちから)八段などもおすすめです。
藤井 四段(当時)の連勝を止めたイケメン棋士の佐々木勇気六段、小児科の先生のような優しい語り口の北島忠雄七段、丁寧な言葉遣いが魅力の飯塚祐紀七段、ひょうひょうとしたキャラがクセになる佐々木慎六段もおさえておきたい棋士です。