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何故こっちじゃないんだ! アカデミー作品賞を獲って欲しかった映画10選

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 ※この記事は、約7分で読めます。

映画の祭典、アカデミー賞。この賞で作品賞に輝いた映画は、「その年一番優れた映画」であると思いがちです。しかし、選考には大手映画会社の思惑が絡むこともあり、お金をかけた大作映画が受賞しやすい傾向があります。

 

このため、歴代の受賞作の中には、その後話題とならない作品もちらほら。この記事では、作品賞を逃がしながらも、忘れがたい名作をご紹介したいと思います。

 

 

『ローマの休日』(1953年)

 

オードリー・ヘップバーンの代表作で、恋愛映画の代名詞となっている『ローマの休日』。赤狩りでハリウッドを追われていたダルトン・トランボが脚本を執筆していて、戦後復興が隠れたテーマだとも言われています。主演女優賞や監督賞は受賞していますが、作品賞は獲れませんでした。

この年の作品賞は『地上より永遠に』。原作は、陸軍内部の暗部を描いた社会派小説らしいのですが、映画のほうはドロドロした昼メロ、という印象しかありません。

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『地獄の黙示録』(1979年)

 

泥沼のベトナム戦争の中、脱走兵となり暴走を始めたカーツ大佐。彼を倒すよう密命を受けたウィラード大尉だが、戦争がもたらす異常な光景を目の当たりにする・・・「ワルキューレの騎行」をバッグに、騎兵隊がヘリでベトコンの村を襲うシーンは鳥肌もの。

この年の作品賞は、『クレイマー、クレイマー』でした。奥さんに逃げられたダスティン・ホフマンが、父ひとりで子育てに奮闘するお話。

  

『ブロードキャスト・ニュース』(1987年)

女性プロデューサーレポーター新進キャスターの3人が、くっついたり別れたりを繰り返しますが、何年経っても変わらず友情は続いていきます。この映画を、どれだけの人が知っているかはわかりません。ただ、重たくなりがちな題材を後味よくまとめた脚本は秀逸で、大好きな1本です。『ピアノ・レッスン』出演前のホリー・ハンターが可愛らしかった。

作品賞は、清朝最後の皇帝を描いた『ラストエンペラー』でした。音楽を担当した坂本龍一が作曲賞に輝いています。『ガンジー』を観たときも思ったんですけど、実在の人物を描いた史劇って「ふーん。そうかあ」で終わってしまうんですよね、私の場合。2度観たいとは思えない。

 

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『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(1992年)

目の見えない孤独な退役軍人(アル・パチーノ)が、彼の世話をする青年(クリス・オドネル)と心を通わせてゆく・・・アル・パチーノの見事な演技と、ガブリエル・アンウォーとのダンスシーンが忘れられません。

この年の作品賞は、イーストウッドの西部劇『許されざる者』でした。罪ある人間たちが本当に裁かれていない、というのがテーマでした。いかにもアカデミー会員が好きそうな内容。でも、同じ西部劇なら『夕陽のガンマン』や『荒野の用心棒』のほうが遥かに好きなだあ。

『パルプ・フィクション』(1994年)

 3つの物語が入った犯罪映画のアンソロジー。1つの物語の主人公が、別の物語では脇役に。小説の手法を映画に取り入れ、数々のフォロワーを生みました。一見意味のない会話がダラダラ続くのも、タランティーノ監督の真骨頂。

この年の作品賞は、『フォレスト・ガンプ/一期一会』。合成を巧みに使い、歴代の有名人とガンプが共演するシーンはよくできていましたね。他にも、感動作として今でも人気が高い『ショーシャンクの空に』もノミネートされていて、激戦の賞レースでした。

 

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997年)

 天才的な数学の才能を持ちながらも、他人に心を開けない青年。彼が、精神科医(ロビン。ウィリアムズ)と出会ったことで新しい人生を歩み出してゆく・・・当時、ハーバード大学の学生だったマット・デイモンベンアフレックが、ハリウッドに持ち込んだシナリオをもとに製作された映画。アカデミー賞で脚本賞を受賞していますが、実はこれ、大御所の脚本家が相当手直ししたらしいです。

 

暗黒街の混乱を描いた『L.A.コンフィデンシャル』も、この年のノミネート。自分の中では、甲乙つけがたい。

この年の作品賞は、あの『タイタニック』。公開当時、記録的大ヒットだったので、文句は言えませんね。

 

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『プライベートライアン』(1998年)

 ノルマンディー上陸作戦を舞台に、一人の兵士を救うために命がけの任務を決行する部隊の物語。ドキュメンタリーと見まごう迫力の映像、とびかう轟音。戦争映画の中でも出色の出来だと思うのですが・・・

作品賞は、『恋におちたシェイクスピア』でした。ありふれた文芸映画だと感じるのは、私だけでしょうか。脚本賞も受賞してますけど、そうかなあ。上手いかなあ。

 

『ダークナイト』(2008年)

 本来、子ども向けであるコミックヒーローの世界を、あくまでもシリアスな犯罪サスペンスへと昇華。ヒース・レジャー演じるジョーカーは、単なる悪役を越える存在。法で裁けぬ悪を、力でねじ伏せるバットマンは正義ではなく、犯罪者ではないのか? ジョーカーの問いかけは、ヒーロー映画どころかアメリカそのものを批判しているようにすら思えます。

 

しかし、これだけの完成度を誇りながら、助演男優賞と音響編集賞を受賞したのみ。なんと、作品賞にノミネートすらされていません。この年の作品賞は、スラムドッグ$ミリオネア』。構成の面白い映画でしたが、完成度はというと・・・

 

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『ウィンターズボーン』(2010年)

 この年の作品賞候補は佳作ぞろい。フェイスブックの創始者を描いた『ソーシャル・ネットワーク』。夢の世界を映像化した『インセプション』。ナタリー・ポートマンの演技が際立つ『ブラックスワン』。好みによって意見が大きく割れる年でしょう。

 

でも、私は断然、ジェニファー・ローレンスの出世作、『ウィンターズボーン』なんですよ。失踪した父を見つけるため、雪道を捜しまわる少女・・・私、寒いところで頑張る少女やおばさんに弱いんですよ。2008年の『フローズンリバー』も好きだったので。

 

ちなみに、2010年の作品賞は、『英国王のスピーチ』でした。コリン・ファース演じるジョージ6世が大観衆の前で演説するのが最大の見せ場。これ以外は、う~ん・・・

 

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『ラ・ラ・ランド』(2016年)

 

好き嫌いは別にして、映画を観終わった後「スゲーものを見た!」と思うことが数年に一度あります。デミアン・チャゼル監督の『セッション』を観たときが、まさにそう。教師と教え子のギリギリの闘いは、音楽映画なのにスリラーかサスペンスを見ている感覚でした。

 

『ラ・ラ・ランド』はそんなチャゼル監督の、テンポのよい演出が光るミュージカル映画です。往年のミュージカル映画にオマージュを捧げながらも、新しいことをやってやるんだ! という野心に満ちた傑作でした・・・

この年の作品賞は、『ムーンライト』。アイデンティティを探す黒人の少年の成長を描いた佳作。大作ではなくインディーズ映画を評価したのは、価値あることだと思いますけどね。