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海外文学・初心者におすすめ!短くて読みやすい名作小説7選【文庫版】

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※この記事は、約8分で読めます。

たまには海外の小説も読んでみたいけど、長~いのはちょっと・・・そこで、海外文学の初心者でも読みやすい名作を集めてみました。

 

海外文学の古典ってハードル高そう ⇦ そんなことない!初心者でも楽しめる

小説、まして海外文学はとっつきにくそう・・・そう思われているかたも多いかもしれません。でも100年、200年と時代をこえて読み継がれている古典には、現代の私たちにも通ずる何かがあるのです。

 

もちろん、読書好きでも読み進めるのが困難な作品もあります。でも、それだけじゃない! というわけで、文庫で気軽に読める短めの小説をご紹介します。

 

『異邦人』アルベール・カミュ

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あらすじ

「きょう、ママンが死んだ」。母の葬式で涙をみせなかったムルソーは、翌日には何事もなかったようにコメディ映画を観にゆく。そしてその後、「太陽がまぶしかったから」という理由で、アラブ人を殺害してしまう・・・

 

見どころ

人間らしさが欠如したムルソーは、現代でいうサイコパスに当たるのでしょうか。この作品は、不条理小説として有名です。不条理とは、物事の筋道が立たないこと。しかし、常識の通用しない主人公だからこそ、物語の展開が予想できないとも言えます。

 

ムルソーを悪いやつだ、と糾弾することは簡単です。もちろん、殺人は許される行為ではありません。でも、私たちだっていつも理にかなった行動をしている訳ではありません。その意味ではムルソーと同じです。一般的な道徳観からはみ出しているからといって、個人を攻撃してもよいのか? そんなことを考えさせてくれる小説です。

 

『夜間飛行』アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ

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あらすじ

郵便物を飛行機で運んでいた時代。支配人のリヴィエールの厳しい指導の下、飛行士たちは命がけの夜間飛行に臨んでいた。ある夜のこと。優秀な飛行士・ファビアンの操縦する機体が、暴風雨のため遭難してしまう・・・

 

見どころ

宮崎 駿がこの作品の世界観にあこがれて、『天空の城ラピュタ』を作ったと言われています。確かに飛行シーンのち密な描写は、空への憧憬をかき立ててくれます。

 

ただそれ以上に感じるのは、働く者たちの仕事に対する姿勢です。みんなの安全のために、ベテラン整備士を泣く泣く解雇するリヴィエール。絶望的な状況下でも、任務遂行をあきらめないファビアン。いつの時代も、仕事に真剣な男はカッコいい!

 

夜間飛行 (新潮文庫)

 

『変身』フランツ・カフカ

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あらすじ

ある朝。夢からさめたグレーゴルは、巨大な毒虫に変身していた。いったい、どうしてこんな事になってしまったのか? 心配した家族が様子を見にくるが、グレーゴルは言葉を発せない。最初は世話をしてくれた家族の心も、しだいに離れていき・・・

 

見どころ

海外文学の最高峰との呼び声も高い、カフカの『変身』。主人公の疎外感は、ユダヤ人であるカフカ自身が受けてきた差別を表現している、という説もあります。

 

でも、深読みしなくとも楽しめるのが『変身』です。最初は、変わり果てた自身の姿に驚いていたグレーゴル。そんな彼が、状況に順応してゆく姿が実にユーモラスです。手はどこまで届くのか? 体を転がすことができるか? 冷静に分析する主人公・・・なぜ落ち着いているんだ、グレーゴル? あんた科学者か! と、思わずツッコミたくなります。

 

『老人と海』アーネスト・ヘミングウェイ

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あらすじ

老漁師のサンチャゴは、天候不順のせいもあって84日間も魚を獲ることができていなかった。周囲の人々は、サンチャゴに漁師をやめるように助言する。それでもサンチャゴは、小さな舟で大海原に漕ぎ出すのだった。そんな老漁師がしかけたエサに、大物マグロが食いつく・・・

 

見どころ

『日はまた昇る』『武器よさらば』でも知られる、ヘミングウェイの短編。三日三晩にも及ぶカジキマグロとの死闘が描かれています。ですが、サンチャゴが相手にしているの目の前の獲物だけではありません。

 

自分をバカにする周囲の声、自身の老いや孤独とも闘っているのです。人間の尊厳をかけて大自然と奮闘するじじいに、涙。まさに人間賛歌。アメリカ文学の金字塔です。

 

『地下室の手記』フョードル・ドストエフスキー

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あらすじ

20年も地下室に閉じこもっている役人の男。彼は、社会に絶望したという。どうして彼は、世間を拒絶するようになったのか・・・

見どころ

主人公はあまりにも自意識過剰なため、一般社会から離れることを選択します。理性で社会を変革することは無理だと決めつけ、社会をしんらつに批判します。

 

社会のあり方について考えさせられる小説です。しかし、別の見方もできます。中二病にかかったニートが、延々と自分に都合の良いことをまくしたてているだけだ、と。 そう考えると、堅苦しい名作文学にも親近感がわいてきます。小説の楽しみ方なんて、人それぞれ。

 

『動物農場』ジョージ・オーウェル

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あらすじ

 ろくにエサももらえず、農場主から虐げられていた「荘園農場」の動物たち。ある日、2匹の豚をリーダーとして革命を起こす。人間を追い出し、動物たちだけで平和に暮らすことを目的に・・・ところが、いつの間にか新たなヒエラルキー(=階級制度)が生まれてゆく・・・

 

見どころ

革命が成功したあと、指導者が私利私欲におぼれて新たな独裁者になってゆく・・・現実の社会でも起こっていることですね。このように、強烈な社会風刺がこめられた作品です。動物たちのキャラクターづけは、旧ソ連の政治体制をモチーフにしていると言われています。イソップ童話など動物を擬人化した寓話(ぐうわ)はたくさんありますが、メッセージの鋭さでは本作がピカイチ。

 

ロシア、カンボジア、トルコなどの政治体制の知識があると、より心に刺さります。何度読み返しても、深イイ。

 

動物農場〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)

 

 

『予告された殺人の記録』ガブリエル・ガルシア=マルケス

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あらすじ

サンティアゴ・ナサールは、朝の五時半に起きた。サンチャゴは、船でやってくる司教を迎えにゆくため港に向かおうとする。その後、自分がめった刺しにされるとも知らずに・・・

 

見どころ

これは、よくあるフーダニット系(=だれがやったのか?)の推理小説ではありません。サンチャゴが2人の兄弟から命を狙われていることは、町中の人間が知っていたのです。にも関わらず、どうして事件を防げなかったのでしょうか?

 

兄弟の裁判が行われるうちに、町の住人たちが隠し持っていた差別や嫉妬、憎悪といった負の感情が浮かび上がっていきます。閉鎖的な町だからこその、濃ゆ~い人間関係。そんな複雑な人間模様が、霧が晴れるように収束してゆくラストは必見!

 

いつかチャレンジしたい、おすすめの海外文学・西洋文学【長編】

上記でご紹介した作家は、他にも有名な長編を書き残しています。本を選ぶ際、参考にしていただけたら幸いです。

アルベール・カミュ

『ペスト』

サン=テグジュペリ

『星の王子さま』『人間の土地』

フランツ・カフカ

『城』『審判』

アーネスト・ヘミングウェイ

『日はまた昇る』『武器よさらば』『誰がために鐘は鳴る』

ドストエフスキー

『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』『悪霊』

ジョージ・オーウェル

『1984年』

ガルシア=マルケス

『百年の孤独』『コレラの時代の愛』