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たまには昔の映画もね!不朽の名作・白黒映画おすすめ8選【ヨーロッパ編】

 

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※この記事は約10分で読めます。

 古いヨーロッパの映画って、割とスルーされがち。映画好きな人でも、自分から歩み寄らないことには接点がないでしょう。でも、実はこの分野にこそ傑作が眠っていたりします。

 

この記事では、ヨーロッパのモノクロ映画からおススメ作品をチョイス、製作した国別にご紹介します。決してわかりやすいくはないかもしれません。ただ、映画好きなら一度は観ておきたい作品ばかり。

 

【アメリカ映画編】はこちら

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【フランス】

天井桟敷の人々(1945年)

 

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19世紀のパリ。大勢の人々がゆきかう街の大劇場を舞台に、4人の男たちが美しい女芸人ガランスをめぐって恋のかけ引きを繰り広げます。4人はそれぞれ、タイプがまったく違います。

パントマイム芸人のバチストは、口下手だけど心の優しい青年。

シェイクスピア役者のフレデリックは、女ったらし。

戯曲の代筆業をしているフランソワは、強盗や人殺しをしているという裏の顔があります。

伯爵のモントーレは、富豪で社会的地位も高い人物。

 

映画は2幕構成になっていて、前半でガランスは4人のうちのひとりと結ばれることになります。後半になると、4人の男たちの運命がガランスひとりのために狂わされてゆきます。オーソン・ウェルズの『市民ケーン』と並ぶ、映画史に残る傑作。

「愛なんて本や夢の中だけよ」

「愛し合ってるもの同士にはパリは狭いわ」

など、素晴らしいセリフもたくさん出てきます。

 

恐怖の報酬(1953年)

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ベネズエラのさびれた街。職を失い、食うのにも困った移民たちは暇を持て余していました。ある日のこと。500km先の油田で火事が起きてしまいます。石油会社の重役たちは、ニトログリセリンを使って火を消そうと考えます。これは“爆破消火”といって、燃えさかる炎の横で爆薬を爆破させ、空気中の酸素を奪って火を消すやり方です。

 

ニトログリセリンをトラックで運ぶことを思いつきますが、トラックには安全装置がほどこされていません。命がけの任務となります。そこで、石油会社は街の失業者たちに2000ドルを払ってニトログリセリンを運ばせることするのですが・・・

 

選ばれた4人の男たちをめぐる人間ドラマ、手に汗握るサスペンス。今なお色あせない名作です。

 

死刑台のエレベーター(1958年)

  

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ジュリアンとフロランスは不倫関係にありました。ジュリアンは、フロランスの夫である会社社長を、自殺に見せてなき者にします。ところが、証拠隠滅をはかるため現場に戻ったジュリアンは不運に見舞われます。会社の電源が落ち、エレベーター内に閉じ込められてしまうのです。フロランスは約束の時間になっても現れないジュリアンを心配して、パリの街を出歩きます。やがて物語は、たったひとつのミスから思いがけない方向へ展開し・・・

 

マイルス・デイヴィスによるトランペットの即興演奏も必聴。2010年には日本でもリメイクされていますが、まったくの別物だと思ったほうがよいでしょう。

 

【イタリア】

ドイツ零年(1948年) 

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第二次大戦直後の荒廃したベルリン。12歳のエドモンドはとてもデリケートな少年。病弱な父、キャバレーで働く姉、元ナチスの兄と暮らしていました。ある日、そんな彼のもとに小学校時代の先生が現れます。先生は、エドモンドにナチの思想をとうとうと説きます。

「弱い人間は、強い人間に滅ぼされるべきだ」

エドモンドは先生の言葉に影響され、父親に毒を盛ろうとするのです・・・

 

“イデオロギーの変更は、子供の純粋な心まで変えてしまう”というのが本作のテーマです。SNSに囲まれ危険な思想に染まりやすい現代だからこそ、見るべき1本と言えるのではないでしょうか。

 

本作はイタリアの巨匠、ロベルト・ロッセリーニの戦争三部作のひとつ。後のふたつは、『無防備都市』『戦火のかなた』です。

 

道(1954年)

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 旅芸人のザンパノは芸のサポートをする女がなくなったため、その姉妹のジェルソミーナをお金で買い取ります。知恵遅れのジェルソミーナは、事あるごとにこき使われます。ところが純粋な彼女は自分が必要とされていると思って、健気にもザンパノについてゆくのです。ザンパノがムシャクシャしていれば八つ当たりされ、ザンパノが女を買えば置いてけぼりにされ・・・

 

それでもただただ、ザンパノに尽くすジェルソミーナのなんと不憫なことか。決して美人とはいえないジェルソミーナですが、感情移入してしまうこと間違いなし。イタリアの巨匠、フェデリコ・フェリーニの最高傑作。年間200~300本の映画を観ている筆者ですが、オールタイムベストには必ず入れる名作

 

元フィギュアスケーターの高橋大輔さんが、フリーの演技でこの映画のテーマ曲を使用していました。

 

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鉄道員(1956年)

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 まだ幼い末っ子のサンドロは、機関士の父アンドレアを心より尊敬していました。アンドレアは長男や長女には口やかましくて、嫌われていました。それでも一家は、なんとか平和を保っていました。ところが長女のジュリアが妊娠してしまい、家を出ることになります。アンドレアは運転中に事故を起こしそうになり、左遷されます。アンドレアは労働組合に訴えますが、相手にされず。やがてお酒に逃げ、家にも帰らなくなります。

 

しかし、サンドロにとってはやっぱり父親はヒーローだったのです。彼は父を探しに街をさまよい歩くのでした・・・家族愛とは、いつの時代も不変のもの。世界の映画ファンをあたたかな感動で包んだ、珠玉の一作。

 

 

【イギリス】

 

第三の男(1949)

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舞台は第二次大戦後のウィーン。売れない作家のホリーは親友ハリーの誘いで、アメリカからウィーンに呼び出されます。ところがホリーがハリーの家を訪ねると、管理人は

「ハリーは事故死した」

と告げるのです。ハリーの葬儀に参列したホリーは、そこでイギリス人のキャロウェイ少佐と出会います。少佐はハリーが密売人だったと明かしますが、ホリーには信じられません。そこでホリーは、独自に調査を始めるのですが・・・

 

プロット(話の筋)が複雑なので、初見ではすべてを理解するのは難しいかもしれません。しかし光と影を巧みに使った演出、戦争の十字架を背負ったキャラクター造形の見事さは、今なお一見の価値があります。

 

【ポーランド】

地下水道(1956年)

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第二次大戦末期のワルシャワ。ポーランド軍はドイツ軍の激しい攻撃にさらされ、絶望的な状況に追い詰められていました。ドイツ軍に追われたレジスタンスたちは地下水道に逃げ込みます。ところが暗闇と悪臭、迫りくる恐怖のために皆バラバラになってしまいます。かといって、地上に出ればドイツ軍に殺されてしまいます。

 

地下に閉じ込められたレジスタンスたちは、過酷な状況のなかで人間的な弱さや醜さを露呈してゆきます。はてして、彼らに希望はあるのでしょうか?

 

ポーランド映画界は知る人ぞ知る名監督の宝庫。クシシュトフ・キェシロフスキ、イエジー・スコリモフスキ、ロマン・ポランスキーなど名前を聞いたことがある方も多いのでは? 『地下水道』はそんなポーランド映画の先駆者、アンジェイ・ワイダの代表作です。『灰とダイヤモンド』も抑えておきたいところ。

 

まとめ

ページの都合上、8作に留めておきましたがまだまだ傑作はたくさんあります。いずれ、機会をみてご紹介できればと思います。