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男同士でキスして何が悪い!ドラマ『おっさんずラブ』が支持される理由

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※この記事は、約5分で読めます。

まさかこれほど話題になるとは!!

 

2018年春スタートのドラマ。フジの『コンフィデンスマンJP』、日テレの『正義のセ』、TBSの『花のち晴れ』など各局が力を入れてPRした作品が視聴率的には苦戦しています。そんな中で、大きな話題となっているのが、テレビ朝日の『おっさんずラブ』です。男性同士の恋愛を描いたきわどい内容のドラマが、どうして人気を得たのでしょう?

 

この記事では、『おっさんずラブ』が支持を集める理由を考察してみました。

 

第2話の副音声についてはこちら。田中圭さんと林遣都さんのラブラブ撮影秘話です。

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テレビ朝日のしたたかな戦略

スペシャルドラマで視聴者の反応を探っていた?

本作は原作はなくて、完全なオリジナル。ただし、2016年12月にスペシャルドラマが放送されています。【男同士の恋愛】という極めてセンシティブな話題なだけに、視聴者の反応をうかがっていたのでしょう。この放送が好評だったので、今回の連続ドラマ化という流れになったわけです。それにしても、年の瀬にこんな大胆なドラマを放送していたとは!

 

Amazonプライムビデオ 2016年版おっさんずラブ

 

 

『おっさんずラブ』の脚本家は誰?

スペシャルドラマも連続ドラマも、脚本を担当するのは徳尾 浩司(とくお こうじ)さん。劇団を主宰しながら、テレビドラマの脚本も書かれているようです。おもな脚本作品は

 

ドS刑事(2015年)

徳山大五郎を誰が殺したか?(2016年)

きみが心に棲みついた(2018年)

 

お笑い芸人パンサーの尾形さんがどっきりにかけられた、『ロンドンハーツ』のミュージカルの脚本・演出も担当しています。

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不快感を排除するための脚本の工夫

同性愛は、根深い偏見があるだろうに

同性同士の恋愛、いわゆるLGBTの恋愛には、まだまだ日本社会が寛容であるとは思えません。現に私の父の世代などは、いまだに大きな偏見を持っています。

 

ですので、これを正面から【人間ドラマ】として描けば、少なからず反感を買ったことでしょう。本作では、コメディとして完全に割り切って描いています。

 

“純愛コメディ”として成り立たせるための工夫

1:上司(吉田鋼太郎)は、パワハラで春田に迫ったりしない

上司の黒澤は、上司と部下という間柄を利用して春田に関係を迫ることはしません。あくまで正々堂々、正面から告白して春田に思いを伝えます。

 

2:おさななじみ(内田理央)は、同性愛に対してまったく偏見を持たない

本ドラマの登場人物は、極端にLGBTに対しての偏見を持っていません。特に春田の幼なじみのちずは、まったく偏見を持たないキャラ。春田が黒澤から告白されたことを話すと、即座に「よかったね」と返すほど。

 

3:ときどき春田の独白(心の声で)を入れることで、コメディ色を出す。

男性から迫られ、慌てているようす、相手の意図を図りかねているようす。これを、主人公・春田の心の声で表現しています。この演出によって春田のコミカルさを出しています。もし、心の声がまったくなかったら・・・黒澤に迫られるところ、牧にお風呂でキスされるところはもっと生々しく感じられたでしょう。

 

大人気!黒澤部長のインスタグラム

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いい意味でアクがない。田中圭の魅力

主人公・春田創一を演じる田中圭さん。人気俳優の田中さんは、数多くのドラマに出演しています。しかし、個性の強い役者さんたちと共演すると、目立たなくなることも珍しくありません。

 

『おっさんずラブ』ではそんな田中さんの、自己主張しすぎない演技がハマっています。部長と牧、2人のキャラクターの魅力をうまく引き出しているのです。“受け役”として、田中さんほど春田を演じきれる人はいなかったでしょう。

 

 

『おっさんずラブ』はファンタジー?

不快になる要素を切り捨てたのが、成功の秘訣

確かに、笑えてキュンとなるドラマでもあります。でも、これはそういう風に感じられるような人物配置をしているから。現実は、こんなに理解ある人ばかりじゃないでしょう。意地悪な言い方をすれば、「不快になる要素、見たくない要素をすべて排除している」ともいえます。

 

同時代に作られたLGBT作品は、痛みも描いている

『おっさんずラブ』を、ほぼ同年代に作られたドラマや映画と見比べてみました。1つ目はAmazonプライムのオリジナルドラマ、『トランスペアレント』。60歳を越えた父親がある日突然、家族に同性愛者であることを告白、これによって少しずつ家族の生活が変化してゆくというドラマ。父はもちろん、子供たちも偏見にさらされながら自分らしい生き方を求めてゆく作品でした。

 

トランスペアレント シーズン1 字幕版

 

 

2つ目は、2015年製作のオーストラリア映画『ホールディング・ザ・マン -君を胸に抱いて-』。高校生の頃からゲイの関係を持っていた2人。主人公のせいで愛する人がAIDSにかかってしまう悲劇を描いた作品。相手の家族からの理解を得られず、主人公が苦悩する姿が印象的です。2つの作品に共通することは、主人公が厳しい偏見にさらされる、ということ。

 

『おっさんずラブ』では、このような“辛い現実”は極力見せないように作られています。コメディとしては、上手な描き方だと言えます。

 

まとめ

『おっさんずラブ』のようなドラマが世間に受け入れられることで、LGBTに対する偏見が少なくなれば、素晴らしいことだと思います。ただ、現実には世間ではまだまだ偏見が多いことも知っておかなくてはなりません。

 

余談ですが、ブログに使うフリー画像を探していたときに、『同性愛』の画像がかなり掲載されていたのは驚きでした。それだけ、社会が変化してきているのでしょう。