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エンジンかかってきた!『コンフィデンスマンJP』第4話の脚本は古沢節がさく裂!

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※この記事は約10分で読めます。シナリオ分析だけなら3分です。

月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』の第4話、映画マニア編。あっと驚く伏線回収と、社会に対する強烈な皮肉。脚本家・古沢良太の面目躍如、本領発揮。

 

いや~、楽しかった。1話ごとに出来・不出来の差が激しいのが玉にキズですが。第4話のシナリオは素晴らしかったと思います。コメディの王道を外してないし。映画ネタもたくさんあったしね。この記事では簡単に第4話のあらすじを振り返りながら、シナリオの解説をしてゆきたいと思います。

 

第3話はフツーすぎて、私のレビューも覇気がありません。

www.entafukuzou.com

 

見逃し配信については、中断に記載しました。

 

 

 

 

第4話の簡単なあらすじ&ネタバレ

偽装に手を染めた社長は、超がつくほどの映画マニア!

冒頭、ダー子のナレーションで映画に関する名言が語られます。

 

【俵屋フーズ】はウナギの加工食品を扱う会社。ここの社員・宮下(近藤公園)は、工場長に昇進したばかり。しかし、気分は晴れません。彼は、会社を告発するかどうかで悩んでいたのです。【俵屋フーズ】はワンマン社長・俵屋勤(佐野史郎)の指示で、外国産のウナギを国産と偽って表示していたました。宮下は俵屋に直談判しますが、「社員寮の管理人に格下げするぞ!」と脅されます。告発をあきらめざるを得ないのでした。

 

ダー子(長澤まさみ)は、映画館でマリリン・モンローの映画を観ていました。ハニートラップの研究をするためです。その帰り道、ダー子は悪酔いして道端に倒れこんでいる宮下に遭遇します。ダー子は、宮下が落とした封筒を手にします。それは、彼が国に提出しようとして断念した、【俵屋フーズ】への告発文でした。

 

二代目社長の俵屋は、セクハラはするわ社員を恫喝するわの暴君ぶり。そんな俵屋は、度が過ぎる映画マニアでした。そこでダー子たちは、俵屋が毎月楽しみにしている映画雑誌『キネマ新報』のニセモノを作り、俵屋の家に届けます。俵屋は、ニセ雑誌に掲載されていた銀座のバーに足を運びます。そこは、映画人たちが足しげく通ったという伝説のお店。もちろん、ダー子たちが用意したニセのお店です。ダー子も店員に扮します。

 

ターゲットが、金を出そうとしてくれない!

俵屋がお店の逸話に感心していると、プロデューサーに扮したリチャード(小日向文世)と映画監督に扮したボクちゃん(東出昌大)が現れます。リチャードとボクちゃんは、座頭市や遠山の金さんをごちゃ混ぜにしたような映画の脚本をわざと落とし、俵屋に近づきます。

 

俵屋とすっかり意気投合したリチャードとボクちゃんは、新作映画への出資を持ちかけます。しかし、脚本を読んでノリノリだった俵屋ですが、出資の話には飛びつきません。映画にあこがれが強すぎて、その世界に足を踏み入れる勇気がなかったのです。

 

そこでダー子たちは、京都の撮影所に俵屋を誘います。時代劇のセットや本物の伊吹五郎を見て、俵屋もテンションが上がります。リチャードは主演女優が降板した影響で、出資者が降りたとカマをかけます。ところが、俵屋はそれでも「金を出す」とは言いません。なかなか落ちない、ターゲットの俵屋。

 

そこで、ダー子はニセ映画に主演する中国人女優、マギー・リンに扮します。独身の俵屋に枕営業をかけようというのです。「ハニートラップはやめておけ!」というボクちゃんの制止をふり切り、ダー子は羽田空港に来日したマギーになりすまします。かけつけた俵屋も、すっかり心を奪われたようす。俵屋は、とうとう3億円を出資すると約束します。やっと、魚が針にかかった!

 

「ボクの映画だ!」「オレの映画だ!」

ところが、ここから俵屋の暴走が始まります。まずはニセ映画に58か所のダメ出し。脚本を担当していたボクちゃんの前に、まむしドリンクと生卵が用意されます。

「必死に書き直せ!気合を入れろ!」

 

撮影現場にも押しかけた俵屋は、監督(ボクちゃん)の演出に容赦ないダメ出し。あげくの果てに「自分も出演したい」と言い出します。現場にはマギー(ダー子)がくのいち姿で現れ、アクションシーンを撮影。その後、俵屋とマギーが会話を交わすシーンも撮られます。俵屋はすっかり満足し、現場を後にします。

 

一方、ダー子はエキストラとして参加していた宮下に声をかけます。

「あなたもセリフのある役、してみない?」

 

さて、俵屋に金を出させるためには、俵屋の要求に応えなければなりません。ダー子はマギーに変装して、俵屋とベッドを共にする覚悟がです。

「ひと晩くらい相手するわよ。私、女優だもの」

ボクちゃんはそんなダー子が気がかり。そこへ、俵屋が現れます。
「僕は、今後も映画に出資していくつもりだ。さあ、2人で飲みに行こう」

 

ところが、俵屋が誘った相手はマギー(ダー子)ではなく、監督(ボクちゃん)だったのです!!!

 

新作映画『立ち上がれ!つわものども』の試写会

 

試写会に呼ばれた俵屋は、スクリーンに流される映像を見てビックリします。そこには、【俵屋フーズ】の工場内に立つ宮下の姿があったのです。宮下は、会社の食品偽装を告発します。と同時に、俵屋の会社での暴君ぶりがあきらかになります。それは、現場で撮影された俵屋のシーンをコラージュした映像でした。

 

産地偽装を新聞報道された俵屋は逮捕されます。悪徳社長をこらしめたダー子たちですが、撮影にお金をかけすぎてまさかの赤字。おまけに、たまたまボクちゃんが渡した台本を伊吹五郎がそのままパクッて映画化するという、見事なオチがつきました。

 

見逃し配信はこちら

 

 フジテレビのドラマは、パンドラやデイリーモーション、YouTubeなどにアップされても特にすぐに消されます。【フジテレビオンデマンド】なら、放送済みのエピソードがすべて視聴できます。

 

 

 

第4話の視聴率は?

9.2%!

 

第1話からの推移は、9.4% → 7.7% → 9.1% → 9.2% です。

 

このところ低迷している月9では、健闘している部類。フジテレビが社運をかけてPRしていることを考えたら、イマイチの数字とも言えますね。

 

ここがスゴかったよ、第4話のシナリオ

ターゲットの部下を、感情のあるキャラとして描いている!

これまでは、ダー子たちの詐欺のターゲットとなる悪役だけが掘り下げられていました。悪役の部下の従業員たちは、単なるモブキャラ。感情のないキャラでした。

 

でも、第4話は違いました。悪徳社長・俵屋の部下、宮下にも焦点をあてています。産地偽装を知りながら黙認していた宮下は、会社を告発するかどうか、迷います。

「オレは、自分の子供に恥じない生き方ができているのか?」

 

この宮下の葛藤を描くことで、人間ドラマとしての面白さが増します。これは、第1話と第3話に決定的にかけていた部分。

 

ダー子と依頼者の出会い方に、工夫がある。

詐欺もののお話の決まったパターン。それは、悪いヤツにだまされた被害者が主人公たちに泣き寝入りして、物語がスタートすること。『コンフィデンスマンJP』の第1話から第3話も、基本的にはこのパターンでお話が動き出していました。

 

しかし、第4話は違います。ダー子と宮下の出会い方はひねりの効いたものでした。ダー子は映画館でマリリン・モンローの映画を観ていました。ハニートラップの参考にするためです。一方の宮下は、俵屋からおどされて会社の告発を思いとどまったばかり。飲んだくれて、道端に座り込んでいます。

 

ダー子は、そんな宮下に遭遇します。ダー子はハニートラップの練習のために、宮下に声をかけるのです。これがきっかけでダー子は、宮下の告発文を入手。俵屋の犯罪に初めて気がつくのです。2人の出会い方に、工夫の後が見られます。しかも物語の後半、ダー子は実際に俵屋に色じかけで迫るわけですから、伏線として効いてくるのです。

 

悪役に脚本家の本音を言わせる

 

外国産ウナギを国産ウナギと偽って表示させた、社長の俵屋。平然とこんなセリフをしゃべっています。

「この国の消費者はバカだから、妙な偏見を持っちゃってるでしょう? こっちがバカに合わせてやるしかない」

 

これ、古沢良太氏の本音でしょう。社会に強烈な毒を吐く古沢氏らしいセリフ。脚本家が、悪役に自分のホンネを言わせるというのはハリウッド映画にもよくある手法。これがうまくいっていると名作になりやすい、『ダークナイト』とかね。

 伏線のなかで一番うなった個所は?


第4話では数多くの伏線が張られ、見事に回収されていきます。中でも一番「おおっ!」と思ったのは、ダー子が紹介する冒頭の名言。映画評論家の淀川長治さんの言葉を紹介しておいて、映画マニアの俵屋が男好きだったという・・・淀川さんは生前、同性愛者だということを告白してましたからね。

なるほど、そういうフリだったのか・・・結局、色仕掛けがヘタだというダー子の設定はまだ活きているわけですね。ホント、よくできてるわ。

 

コメディのお約束を外さない!

第4話では、ダー子たちが俵屋からお金をせしめようとします。ところが、この俵屋、なかなか「うん。お金出すよ」とは言ってくれません。ダー子たちは、より過剰な接待をするハメになります。

 

そして、ようやく金を出してくれることになったと思ったら、今度は映画に口を出し始めます。監督に扮したボクちゃんも、「これはボクの映画だ!」と俵屋に対抗心を燃やすのです。初めは“フリ”だったダー子たちの映画作り。ところが、映画マニアの俵屋の熱烈ぶりのせいで、本気で映画を作るハメになってゆくのです。「俵屋から金をせしめる」という本来の目的を忘れて、映画作りに没頭してゆくのです。

   

主人公たちが、自分たちが利用しようとしていた相手に振り回されてしまう・・・まさにコメディ映画、黄金の方程式。このパターンをちゃんと踏襲しているので、第4話は笑えるのです。岡本喜八の『大誘拐』とか、イギリス映画の『マダムと泥棒』とかもこのパターン。『赤ちゃんのおでかけ』なんて楽しい映画もありましたっけ。

 

振り回される、といえばこのフランス映画! 主人公たちがバカにしようと集めた変わり者は、想像のはるか上を行っていた!

 

でもさ。ここはどうなの? あえて1ヵ所ツッコむと・・・

 

ダー子は期待の新人として、マギー・リンという中国人女優を作り上げ、映画雑誌に紹介記事を載せます。雑誌の記事には、『少林寺忍者ガール』のヒットで注目される存在になった、と書かれています。

 

俵屋はこの記事にだまされて飛びつく訳ですが・・・映画マニアなら、『少林寺忍者ガール』のDVDなり映像なりを取り寄せて本編を見ようとするんじゃないの? この映画が実在していないことがバレたら、詐欺もすぐにバレてしまうのでは?

 まとめ

 

 マリリンモンローに黒澤明、岡本喜八に深作欣二。映画ファンなら思わずニヤリの第4話。初めてもう一度見たい、と思う内容でした。