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友達の死をめぐるドラマ。Netflix『13の理由』が凄い

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出演者みずから、「視聴の際は気をつけて!」と注意をうながす前代未聞の展開。Netflix制作の『13の理由』は、クラスメイトの死に揺れ動く高校生たちをめぐる人間ドラマです。

 

繊細な10代の心をリアルに描いたこのドラマは、評判が評判を呼び異例の大ヒットとなりました。この記事では、ドラマ『13の理由』のおすすめポイント、シナリオの構成の面白さについてお伝えしたいと思います。

 

 

『13の理由』のシーズン1のあらすじは?

 

郊外にある高校に引っ越してきたばかりのハンナが、自ら命を絶ってしまいます。ハンナは死の直前に、自分を死に追いやった13人について吹きこんだカセットテープを残していました。

 

ハンナと映画館で一緒にアルバイトをしていたクレイは、彼女の残したテープを手に入れます。誰のどんな行動がハンナを追いつめたのか? クレイはテープを再生しながら、ハンナの死の真相に迫ってゆくのです。

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壮絶すぎる現代の高校生のいじめ

 

SNS時代のいじめに晒される高校生たち

 

筆者の高校生時代、学校に携帯電話をもってくる生徒などほとんどいませんでした。田舎の高校なら、そもそも携帯電話を持ってない子のほうが多かったぐらいです。

 

ところが今は、誰もがスマホをもつ時代。高校生でも当たり前のように、ツイッターやフェイスブックを使いこなしています。しかし、便利なはずのSNSは使い方を間違えば、凶器と化します。

 

『13の理由』のハンナは、女友達のコートニーとじゃれ合ってキスしてしまいます。ところが、運悪くその行為を同級生のタイラーに撮影されていたのです。写真はSNSでまたたく間に拡散され、ハンナはクラスメイトから白い目で見られるようになります。

 

それだけではありません。ハンナはある夜、生徒会長のマーカスに喫茶店に呼び出されます。頭脳明晰で感じのいいマーカスに好意をもっていたハンナは、喜んでお店に向かいます。ところが、店にはバスケ部のザックを始めとする体育会系の男子たちが待っていたのです。

 

ハンナのことを“尻軽女”とみなしていたマーカスが、あいつなら「簡単にヤらせてくれる」と噂を広めていたのです。

「集団暴行されるかも」

ハンナは恐怖にさらされながらも、一歩も動くことができませんでした。

 

陰湿、陰湿、そして陰湿(← 一部ネタバレを含みます)

 

ハンナを救えなかった、という自責の念にかられた内気な少年クレイ。彼はハンナの残したテープを聞きながら、ハンナをいじめた生徒たちを追求し、真相をただしてゆきます。

 

ところが悪質なことに、ハンナをいじめた生徒たちはこっそり集まって作戦会議をします。クレイが真相に迫るのを邪魔しようとするのです。彼らにも彼らなりの理由があります。みな、人に言えない秘密をかかえていました。

  

クレイがハンナのことを調べ続けたら、自分たちの秘密がバレてしまうかもしれない。いじめた連中が自分たちの秘密を守ろうと結託する様子は、実に胸糞クソ悪いものです。ただ、このドラマが面白いのはハンナがなくなる前に色々と仕掛けておいたこと。

 

タイラーの恥ずかしい動画をあらかじめ撮影しておき、予約投稿しておいたのは、その一例。すでに死んでいるハンナが、あの手この手で自分をいじめた連中に一泡ふかせるのが斬新です。また、気弱だったクレイが友達の無念を晴らそうと、いじめた生徒たちに歯向かっていくのも見どころです。

 

これは、ホラー映画『13日の金曜日』。なんの関係もな~い!

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短いのに胸に突き刺さるセリフ

10代の少年少女が何気なく放つセリフに、思わずハッとさせられます。


「人生が壊れる」
「人生は、もう壊れてる」

「いい子なんかいない」

「あの子は意地悪だ。だから人気がある」

 

 

わかっている結末を、どう物語るか?

エンディングがわかっているのに、面白いの?

 

『13の理由』は、おもに2つにパートから成り立っています。

1つは、ハンナの死後。クレイの視点で、事件の関係者に話を聞きまわってゆく部分。

もう1つは、ハンナが自ら命を絶つまで。ハンナの視点で、誰が自分を追いこんだのかを告発してゆく部分。

 

で、どちらかと言えば、後者のほうにウェイトが置かれています。これは、物語としては変わった構成です。つまり、もうわかりきっている結末に向かうお話なわけですから。犯人の名前を知っていながら推理小説を読むようなものです。

 

しかし、『13の理由』はそれなのにミステリーとして面白い。関係者たちが、思いもよらないような秘密をかかえているからです。そして、一見エラそうで自信過剰なヤツが、とんでもなく繊細な一面を持っていたりします。

 

 

『13の理由』に影響を与えた映画

この、「誰かの死へ向かって展開する」というストーリー。実は、似たような構成の映画が2本あります。

 

1つは、1999年のアメリカ映画『アメリカン・ビューティー』。物語は、すでにこの世を去ったレスターという中年男性のモノローグで語られます。平凡だったレスターの家庭がどう崩壊していったのか、またレスターがなぜこの世を去ることになったのかが、ミステリー仕立てで描かれます。

 

第72回のアカデミー賞で作品賞を受賞しています。

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もう1つは、2006年のオーストラリア映画『明日、君がいない』です。14時37分。校内の誰かが自殺を図る。いったい、誰が自ら命を絶つのか? また、それはなぜなのか?

 

6人の悩み多き高校生たちを中心に、登校から事件が起こるまでをドキュメンタリーの手法で描いた問題作。撮影技法は、ガス・ヴァン・サント監督の『エレファント』を思い起こさせます。まるで、サッカー中継のように縦横無尽に校内を動き回るカメラワークは、必見です。監督のムラーリ・K・タルリは、本作をわずか19歳のときに撮ったというから驚き。

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これが、ホントに衝撃の映画。あまりに生々しく、痛々しくさえある10代の告白。

 

ドラマ『13の理由』のシナリオの構造は、この映画にすごく似ています。というか、ぶっちゃけこの映画を真似したんじゃない? ごめん。それは言い過ぎでした。

 

『13の理由』が10代の支持を集めた理由とは?

ハンナ役のキャサリン・ラングフォードがインタビューで答えています。『13の理由』は10代の視聴者を大人として扱っている、と。これ、本当に大切なことで、これを意識したドラマがどれだけあるでしょう?

 

また、「ネットいじめは放課後もつづく」という出演者の声は、あまりにリアルです。学生の頃にSNSがなかった大人たちは、現在の高校生がおかれた息苦しい環境を『13の理由』を見て初めて知るかもしれません。

 

性的暴行については、ジェシカ役のアリーシャ・ボーも語っています。

「酔って愚かな行為をしないように。相手と自分の人生を台無しにするから」

10代の出演者たちが高い問題意識をもって、撮影にのぞんでいたことがわかります。作り手たちのこの熱意が、同世代の視聴者に届いたのではないでしょうか?

 

まとめ

最後になりますが、『13の理由』を現在いじめに悩む中高生が見る場合は、やはり注意が必要です。その衝撃的な内容にショックを受けることが予想されるからです。とくに最終話は、本当に大人と見たほうがいいかもしれません。

 

ある程度人生経験を経てくると、他人から否定される事なんてしょっちゅうです。たとえイケメンでも美女でも、すべての人から好かれるなんてことはないのです。誰かに否定されたからといって、人生が終わるわけではありませんよ。どこかに必ずあなたを理解してくれる人がいます。

 

このドラマが、あくまでフィクションである事だけはつけ加えておきます。