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おっさんが、ティーン向け恋愛映画『好きっていいなよ。』を見る

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最近、少女マンガが原作の映画って多いですよね? 『君に届け』『ちはやふる』『アオハライド』など、挙げればキリがありません。

 

この手のティーン向け恋愛映画は、当然、女子中高生をターゲットに作られています。それは百も承知しています。しかし、ここまで少女マンガばかり映画化されるのは、どうしてなんでしょう? 映画会社には、いろいろな企画が持ち込まれているはずなのに。

 

映像化されるからには、きっと理由があるんだろう。対象年齢以外の人が見ても、何かを得られるに違いない。そう思った私は、2014年公開の映画『好きっていいなよ。』を鑑賞してみることにしました。

 

原作は、葉月かなえの同名マンガ。主演は、川口春奈福士蒼汰

あらすじは、こんな感じです。

橘めいは女子高生。学校でしゃべらず友達もいない。学校一のイケメン・大和はそんなめいを気に入る。ある日、大和はめいに突然キスをする・・・

 

最近の高校生は、こんなにも唇を重ねるのですか?

 

大和は、学校一のモテ男。すべての女子生徒の憧れの的。そんな彼がどういう訳か、内気で目立たないめいに好意を持ちます。連日、めいに猛アタック! 連絡先を強引に渡します。

 

めいはパン屋でバイトをしているのですが、ある日、お客さんの一人に付け回されてしまいます。そんなピンチを救ったのが大和でした。大和はお客さんに見せつけるように、いきなりめい口づけをします。映画が始まってから、15分46秒

 

大和「わかるよね。今の(キス)。あいつを撒くための・・・」

!!! イケメンでなかったら、絶対に許されない台詞をはきます。

 

ここから地獄のショーが始まるぜ、ヒャッハー! 5分に一度ワナがある映画は過去にありました。しかし、まさか10秒に一度接吻をする映画があったとは!

大和「なんか、またしたくなっちゃった」    24分01秒

大和「今のが挨拶代わりのキス」        24分35秒

大和「これは、可愛いな、と思った時のキス」  24分46秒

大和「恋が進展した人とのキス」        24分58秒

大和「これが、気持ちのこもったキス」     25分09秒

・・・す、すみません。リタイアしてよろしいですか

 

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ただでさえ、私の高校時代は暗黒の時代。そんな私をあざ笑うかのように、リア充たちの見せつけショーは続きます。み、見るな! そんな自信満々の顔でこっちを見ないでくれ・・・こちらのライフは、ジェットコースターのような勢いで削られていきます。

 

 

作品の中で、大和はどこまでも優遇されています。女の子を執拗に追いかけても許され、友達をいじめても相手からは根に持たれないのです。人は、法の下に平等である・・・あの言葉は嘘だったのでしょうか? 

 

私は、満身創痍になりながらアテナ神殿を目指す聖矢のように、何とかエンディングまでたどり着いたのでした。

 

少女マンガの主人公の欠点

 

少女マンガにありがちですが、主人公のめいが、とにかく受け身です。何もしていないのです。一方的にイケメンから好かれ、問題が起こっても友達が解決してくれます

 

これでは、観客は彼女を応援する気にはなれません。映画の主人公は、自分からアクションを起こす人間でなくては! ダサくても構いません。内気なコでもいいんです。ただし、物語を進展させるのは、あくまで主人公の行動であるべきです!

 

原作に忠実に映像化したのかもしれません。しかし、映画には映画に合った約束事というものがあります。観客が感情移入するためには、主人公にはっきりとした動機や目的が必要です。『好きっていいなよ。』では、めい何をしたいのか、伝わってこないのです。

 

まとめ

原作のファンの方がいたら、すみません。リア充たちが、私にはあまりにも眩しすぎたのです。映画が悪いのではない。みじめなハイスクールライフを送った私が悪いのです。

 

ただ、『ズートピア』は子供向けですが差別と偏見を描いた傑作でしたし、『旅するジーンズと16才の夏』はティーン向けですが、少女たちの悩みは大人でも共感できるものでした。ハリウッド映画は脚本を何度も練り直し、より多くの人が楽しめるような工夫をしています。

 

もっともっと、日本映画も頑張ってほしい。原作ファンのためだけに作るのではなく、見た人たちの心に何か残るものを作ってほしい。邦画への、ちょっと辛めのエールでした。