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【海外文学】映画化されたおすすめ原作小説5選!文学賞を受賞した名作たち

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【海外文学】映画化されたおすすめ小説5選!文学賞を受賞し名作たち

※この記事は、2020年11月に更新しました。

海外の小説、読んでますか?

日本の小説と違って、とっつきにくいと感じる方も多いかもしれません。でも、難しいものばかりではありません。とくに映画化されるような小説は、映像をイメージしやすいものが多く、親しみやすいはずです。

 

そこで、映画の原作となった海外小説の中から、初心者でも読みやすい作品を5つ紹介したいと思います。

  【選考の基準】

 ・文学賞を受賞するなど、批評家からも高く評価されている小説

・読んでいてイメージが湧くような、独自の世界観を持つ作品

『イギリス人の患者』

  • 映画のタイトル:『イングリッシュ・ペイシェント』
  • 作者:マイケル・オンダーチェ
  • 出版社:新潮社
  • 受賞歴:ブッカー賞(=イギリスの権威ある文学賞)

イギリス人の患者 (新潮文庫)

第二次大戦時のイタリア。野戦病院として使われていた修道院に、全身やけどを負った男と、彼を看病する看護婦がいた。さらに彼女の父の旧友や、インド人の工兵が訪れる。

戦争によって心に傷を負った4人。修道院で過ごす穏やかな時間は、彼らの傷をいやしてゆくのだった・・・

 

映画はアカデミー作品賞こそ受賞していますが、ありふれた恋愛ドラマという印象。

これに対して原作は、詩のような美しい文体で、過去と現在が交錯して描かれてゆきます。原作者のオンダーチェは、詩人としても活動しています。

『コールドマウンテン』

  • 映画のタイトル:『コールドマウンテン』
  • 作者:チャールズ・フレイジャー
  • 出版社:新潮社
  • 受賞歴:全米図書賞(=アメリカの権威ある文学賞)

南北戦争末期のアメリカ。南軍の脱走兵インマンは、故郷に残してきた恋人エイダに会うため、長い道のりを歩いてゆく・・・

 

映画版は、ニコール・キッドマン、ジュード・ロウら豪華キャストが出演し、王道のラブストーリーとして評価されています。

原作では、追っ手を逃れ故郷へ急ぐインマンと、厳しい自然の中で暮らすエイダのエピソードが、章ごとに交互に語られます。エイダに大自然の中で生きる術を教える、ルビーという女の子がとても魅力的。「タフに生き延びる術」を提示してくれます。

『二十日鼠と人間』

  • 映画のタイトル:『二十日鼠と人間』
  • 作者:ジョン・スタインベック
  • 出版社:新潮社

大恐慌時代の南カリフォルニア。出稼ぎ労働者のジョージレニーはいつも一緒。頭の弱いレニーが問題を起こすため、ひとつの場所に留まることができない。そんな2人にはいつしか自分たちの農場を持つ、という夢があったのだが・・・

 

ノーベル賞作家・スタインベックの短編。

(⇦ ちなみにノーベル文学賞は、作品単位ではなく作家のそれまでの功績に対して与えられます)

1992年にゲイリー・シニーズ、ジョン・マルコビッチの共演で映画化されています。シニーズは『フォレストガンプ/一期一会』でダン中尉を演じたことで有名です。小説は、深い余韻を残す傑作。ページ数も少なく、2~3日もあれば読了できるでしょう。

『サイダーハウス・ルール』

  • 映画のタイトル:『サイダーハウス・ルール』
  • 作者  ジョン・アーヴィング
  • 出版社 文藝春秋
  • 受賞歴:全米図書賞

孤児院で、望まれない子としてこの世に生を受けたホーマー。彼は、孤児院の医師ラーチを手伝い、医術を学んでゆく。だが、ホーマーにはどうしても納得できないことがあった。それは、中絶手術に手を貸すこと。そんな彼の前に、中絶を希望するキャンディという女性が現れるが・・・

 

原作者のジョン・アーヴィングは、現代のアメリカを代表する小説家。欠点を持った登場人物たちを、あたたかな眼差しで描く作家です。

『ホテルニューハンプシャー』『ガープの世界』など、彼の作品には共通点があります。それは“痛み”をもった登場人物たちが、不幸に見舞われながらも自分らしく生きてゆく、ということ。ヒューマニズム・フェミニズムに溢れていて、村上春樹に通ずるものがあります。

『アンジェラの灰』

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  • 映画のタイトル:『アンジェラの灰』
  • 作者:フランク・マコート
  • 出版社:新潮社
  • 受賞歴:ピューリッツァー賞(=報道、写真、文学などに贈られる、アメリカの賞)

飲んだくれで、愛国者の父。懸命に一家を支える母。極貧生活にさらされながら、たくましく生きるこどもたち・・・

アイルランド出身の作者の、幼少時代を描いた自伝的作品。映画版には、映画ならではの映像表現もあり、思わず「おおっ!」と叫んでしまいました。

 

 原作をおススメする理由は、その語り口にあります。どんな不幸が訪れても、決してユーモアを忘れないその姿勢。どうしようもない父親に対して、家族の誰ひとり悪口を言わない優しさ。心にゆとりを持つことで豊かに生きられる・・・そう思わせてくれる傑作です。

まとめ

出版不況なので、海外の小説は再販されることが少なくなっています。ここで紹介した作品も、新書で買い求めるのは困難。古本屋か、図書館で探すほうが見つかりやすいかもしれません。